■講義編■民法[28]請負契約


建物の新築やリフォームを依頼する場合に使われるのが請負契約です。頼まれて仕事する側を請負人、頼む側を注文者と呼びます。請負人は仕事を完成する義務を負い、注文者は報酬を支払う義務を負います。
両者の義務の関係は、請負人の仕事完成義務が先履行で、その後に注文者の報酬支払義務が発生します。2つの義務の間に、同時履行の関係はありません。

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1.請負契約とは

当事者の一方(請負人)がある仕事を完成することを約束し、
相手方(注文者)が仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する

2.注文者の権利・義務

(1).報酬支払義務
①同時履行の抗弁権(⇒[22]2(1)②
(a).物の引渡しがある場合

★過去の出題例★
同時履行の抗弁権:請負契約に関する目的物引渡債務と報酬請求権(民法[22]2(1)②)
同時履行の抗弁権:請負契約に関する目的物引渡債務と報酬請求権(民法[28]2(1)①)
年-問-肢内容正誤
115-09-2目的物の引渡しを要する請負契約における目的物引渡債務と報酬支払債務とは、同時履行の関係に立つ。
206-08-1注文者の報酬支払義務と請負人の住宅引渡義務は、同時履行の関係に立つ。
(b).物の引渡しがない場合

 

②割合的報酬
  1. 注文者に帰責事由がないのに仕事を完成できなくなったとき
  2. 請負が仕事の完成前に解除されたとき注文者が利益を受ける場合
    →仕事の完成とみなす
    →利益の割合に応じて報酬請求◯
(2).注文者による契約の解除

・いつでも解除可能
・損害賠償が必要

★過去の出題例★
注文者による契約の解除(民法[28]2(2))
[共通の設定]
請負契約により注文者Aが請負人Bに木造建物を建築させた。
年-問-肢内容正誤
1R01-08-4Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。
2H07-10-4Aは、Bが建物の建築を完了していない間にBに代えてCに請け負わせ当該建物を完成させることとする場合、損害を賠償してBとの請負契約を解除することができる。
3H02-08-4請負契約において請負人が仕事を完成しない間は、請負人は、損害を賠償して契約を解除することができる。×

3.請負人の担保責任(売主の担保責任⇒[24]3

(1).注文者の責任追及方法
①注文者の権利

②請負人の担保責任の制限

★過去の出題例★
請負人の担保責任:損害賠償請求(民法[28]3(1))
年-問-肢内容正誤
129-07-1請負契約が請負人の責めに帰すべき事由によって中途で終了し、請負人が施工済みの部分に相当する報酬に限ってその支払を請求することができる場合、注文者が請負人に請求できるのは、注文者が残工事の施工に要した費用のうち、請負人の未施工部分に相当する請負代金額を超える額に限られる。
218-06-1請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、目的物の修補が可能であれば、AはBに対して損害賠償請求を行う前に、目的物の修補を請求しなければならない。
×
307-10-3注文者が請負人から完成した建物の引渡しを受けた後、第三者に対して建物を譲渡したときは、その第三者は、その建物の欠陥について、請負人に対し修補又は損害賠償の請求をすることができる。
×
401-08-1完成した目的物に契約の内容に適合しない欠陥がある場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、目的物の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
501-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な欠陥があるときは、注文者は、目的物の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。
×
請負人の担保責任:建替費用相当額の損害賠償(民法[28]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R01-08-1請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないためこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は請負人に対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
224-05-2請負の目的物である建物が種類又は品質に関して本件契約の内容に適合しないためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることができる。
318-06-2請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
請負人の担保責任:解除(民法[28]3(1))
年-問-肢内容正誤
126-06-4請負の目的物である建物に種類又は品質に関して契約の内容に適合しない欠陥がある場合、そのために請負契約を締結した目的を達成することができない場合でなければ、注文者は請負人との契約を一方的に解除することはできない。
×
218-06-3請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合せず、目的物の修補に要する費用が契約代金を超える場合であっても、請負人は原則として請負契約を解除することができない。
×
306-08-2注文者は、住宅の引渡しを受けた場合において、その住宅に契約の内容に適合しない欠陥があり、契約をした目的を達成することができないときであっても、その契約を解除することはできない。
×
401-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な欠陥があるときは、注文者は、目的物の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。
×
501-08-4完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物に契約をした目的を達することができない重大な欠陥があるときであっても、注文者は、契約の解除をすることができない。
×
請負人の担保責任:修補請求(民法[28]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R05-03-2Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合がある場合、Aは工事が終了した日から1年以内にその旨をBに通知しなければ、契約不適合を理由とした修補をBに対して請求することはできない。×
2R05-03-3Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了し、Aが工事終了日から3年後に契約不適合を知った場合、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。
3R05-03-4増築した部分にAが提供した材料の性質によって契約不適合が生じ、Bが材料が不適当であることを知らずに工事を終了した場合、AはBに対して、Aが提供した材料によって生じた契約不適合を理由とした修補を請求することはできない。
4H18-06-1請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、目的物の修補が可能であれば、AはBに対して損害賠償請求を行う前に、目的物の修補を請求しなければならない。
×
5H07-10-3注文者が請負人から完成した建物の引渡しを受けた後、第三者に対して建物を譲渡したときは、その第三者は、その建物の欠陥について、請負人に対し修補又は損害賠償の請求をすることができる。
×
6H01-08-1完成した目的物に契約の内容に適合しない欠陥がある場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、目的物の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
7H01-08-2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な欠陥があるときは、注文者は、目的物の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。
×
請負人の担保責任の制限(民法[28]3(1)①)
年-問-肢内容正誤
1R05-03-4Aを注文者、Bを請負人として、A所有の建物に対して独立性を有さずその構成部分となる増築部分の工事請負契約を締結し、Bは3か月間で増築工事を終了させた。増築した部分にAが提供した材料の性質によって契約不適合が生じ、Bが材料が不適当であることを知らずに工事を終了した場合、AはBに対して、Aが提供した材料によって生じた契約不適合を理由とした修補を請求することはできない。
(2).担保責任の期間の制限
①期間の制限

注文者が不適合を発見してから1年以内に請負人に通知しない
→請負人の責任追及×

②例外

請負人が引渡時or仕事終了時に不適合について悪意or重過失あり
★過去の出題例★

請負人の担保責任:担保責任を追及できる期間(民法[28]3(2))
年-問-肢内容正誤
1R05-03-2Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合がある場合、Aは工事が終了した日から1年以内にその旨をBに通知しなければ、契約不適合を理由とした修補をBに対して請求することはできない。×
2R05-03-3Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了し、Aが工事終了日から3年後に契約不適合を知った場合、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。
3R01-08-2請負契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合で、当該建物が種類又は品質に関して本件契約の内容に適合しないときは、注文者は、当該建物の引渡しを受けた時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ、注文者は、本件契約を解除することができない。
×
4H07-10-1建物の完成後その引渡しを受けた注文者は、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合は、引渡しの時から2年以内に限り、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求又は契約の解除をすることができる。×
5H06-08-3引渡しを受けた住宅に契約不適合があるとき、注文者は、不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ、担保責任を追及することができない。
6H01-08-3完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物が引き渡しを受けてから3年目に契約の内容に適合しない欠陥により損傷したときは、注文者は、その時から2年以内にその旨を請負人に通知しなければ、請負人の担保責任を追及することができない。
×
(3).担保責任を負わない旨の特約
①原則

自由に軽減・加重できる
「担保責任を一切負わない」という特約も◯

②例外

知っているのに告げなかった事実
→免責×
★過去の出題例★

請負人の担保責任:担保責任を負わない旨の特約(民法[28]3(3))
年-問-肢内容正誤
1H29-07-4請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡した場合に担保責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実については、その責任を免れることはできない。
2H18-06-4請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に請負人が担保責任を負わない旨の特約をしたときには、注文者はその不適合について請負人の責任を一切追及することができなくなる。
×
3H06-08-4請負人は、その住宅に契約の内容に適合しない欠陥がある場合でも担保責任を負わないとする特約を注文者と結ぶこともできるが、その場合でも、請負人がその欠陥の存在を知っていて、注文者に告げなかったときは、免責されない。

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