■講義編■民法[09]相隣関係
民法は、相互に隣接した土地の利用関係を調整するルールを定めています。これが、相隣関係です。
例えば、隣地との境界付近で建物を修繕する場合、隣地の使用を請求することができます。また、他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に出るために囲んでいる土地を通行することができます。
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Contents
1.相隣関係とは
相互に隣接した土地の利用関係を調整するルール
2.隣地使用権
(1).権利の内容
土地所有者は、以下の目的に必要な範囲で、隣地を使用することができる。
住家への立入りには、居住者の承諾が必要。
(2).行使の方法
★過去の出題例★
隣地使用権(民法[09]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-02-1 | 土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等の一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる場合であっても、住家については、その家の居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。 | ◯ |
2 | H21-04-1 | 土地の所有者は、境界において障壁を修繕するために必要であれば、必要な範囲内で隣地を使用することができる。 | ◯ |
3 | H11-02-1 | 土地の所有者は、隣地との境界近くで建物を築造し、又は修繕する場合でも、隣人自身の承諾を得たときを除き、隣地に立ち入ることはできない。 | × |
3.公道に至るための他の土地の通行権
(1).基本ルール
他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、
公道に出られるように囲んでいる土地(囲繞地(いにょうち))を通行することができる。
(2).分割・一部譲渡によって公道に通じない土地が生じた場合
公道に至るための他の土地の通行権(民法[09]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-02-4 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に出るためにその土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。 | × |
2 | R02-01-1 | Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。甲土地が共有物の分割によって公道に通じない土地となっていた場合には、Aは公道に至るために他の分割者の所有地を、償金を支払うことなく通行することができる。 | ◯ |
3 | R02-01-2 | Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。Aは公道に至るため甲土地を囲んでいる土地を通行する権利を有するところ、Aが自動車を所有していても、自動車による通行権が認められることはない。 | × |
4 | R02-01-4 | Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった。Cが甲土地を囲む土地の所有権を時効により取得した場合には、AはCが時効取得した土地を公道に至るために通行することができなくなる。 | × |
5 | H29-04-2 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。 | × |
6 | H25-03-1 | 囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できるわけではない。 | ◯ |
7 | H25-03-2 | 共有物分割によって袋地が生じた場合、償金を支払わずに、他の分割者の土地を通行できる。 | ◯ |
8 | H21-04-2 | 囲んでいる他の土地を自由に選んで通行できる。 | × |
9 | H13-03-1 | 償金を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所・方法を定め通路を開設できる。 | × |
10 | H13-03-2 | 囲繞地通行権の対象となる土地を譲り受けた場合、所有権移転の登記を完了しないと、囲繞地に通路を開設することができない。 | × |
11 | H13-03-3 | 共有地の分割によって袋地となったときには、分割後の残余地にしか通路を開設できない。 | ◯ |
12 | H13-03-4 | 甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、袋地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設できない。 | × |
4.ライフライン設備の設置権・使用権
(1).基本ルール
①権利の内容
電気・ガス・水道などライフラインの継続的給付を受けることができない土地(導管袋地)の所有者は、
他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
(2).分割・一部譲渡によって導管袋地が生じた場合
5.境界標
境界標(民法[09]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-02-1 | 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。 | ◯ |
2 | 16-07-2 | 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用をもって、境界標を設置することができる。 | ◯ |
3 | 11-02-2 | 土地所有者は隣地の所有者と共同の費用で境界標を設置することができ、設置工事の費用は、両地の広さに応じて分担する。 | × |
6.竹木の枝・根
(1).竹木の枝
①原則
竹木所有者に切除させる
竹木が共有物→各共有者が切除◯
②例外
以下の場合、土地所有者が自ら切除◯
- 竹木所有者に催告したのに、相当期間内に切除しない
- 竹木所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない
- 急迫の事情がある
(2)竹木の根
自ら切り取りできる
★過去の出題例★
竹木の枝・根(民法[09]5)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-02-2 | 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者にその枝を切除させることができるが、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。 | × |
2 | H21-04-3 | 土地所有者Aの隣地の竹木の枝が境界線を越えてもAは原則として竹木所有者の承諾なくその枝を切ることはできないが、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、Aはその根を切り取ることができる。 | ◯ |
3 | H16-07-3 | 土地の所有者は、隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できることはない。 | × |
4 | H16-07-4 | 土地の所有者は、隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できる。 | ◯ |
5 | H11-02-3 | 隣地の竹木の根が境界線を越えて侵入している場合は、これを竹木の所有者に切り取るように請求することができるが、自分で切り取ることはできない。 | × |
7.境界線付近の建築の制限
境界線から1m未満の距離で
他人の宅地を見通すことのできる窓・ベランダを設置
→目隠しの設置義務
★過去の出題例★
境界線付近の建築の制限(民法[09]6)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 21-04-4 | 境界線から1m未満で、他人の宅地を見通すことができる窓を設ける者は、目隠しを付けなければならない。 | ◯ |
2 | 11-02-4 | 境界線から1m未満で、他人の宅地を見通すことができる窓・縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない。 | ◯ |
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実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。
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