民法[24]同時履行の抗弁権

例えば、土地の売買契約を締結した場合、売主は土地の引渡義務を負い、買主は代金の支払義務を負います。では、売主と買主、どちらが先に債務を履行すべきでしょうか。
契約でどちらが先と決まっていれば別ですが、原則的には、売主と買主が債務を同時に履行することになっています。つまり、例えば買主は、「引渡しを受けるまで代金を支払わない。」と主張することができるのです。これを、同時履行の抗弁権と呼びます。

1.同時履行の抗弁権とは

(1).意味

双務契約(⇒[23]2(1)、(4)①)の当事者の一方は、
相手方がその債務の履行を提供するまでは、
自己の債務の履行を拒むことができる

(2).具体例

(3).効果
①債務不履行責任が発生しない(⇒[16]2(1)②

同時履行の抗弁権がある場合
→不履行が違法ではない
→債務不履行責任を負わない

②相殺することができない(⇒[22]4(3)


★過去の出題例★

同時履行の抗弁権とは(民法[24]1)
 年-問-肢内容正誤
129-05-1Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。Bが報酬を得て売買の媒介を行っているので、CはAから当該自動車の引渡しを受ける前に、100万円をAに支払わなければならない。×
227-08-ウマンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。
318-08-3(AはBとの間で、土地の売買契約を締結し、Aの所有権移転登記手続とBの代金の支払を同時に履行することとした。決済約定日に、Aは所有権移転登記手続を行う債務の履行の提供をしたが、Bが代金債務につき弁済の提供をしなかったので、Aは履行を拒否した。)Aは、一旦履行の提供をしているので、Bに対して代金の支払を求める訴えを提起した場合、引換給付判決ではなく、無条件の給付判決がなされる。×
415-09-1動産売買契約における目的物引渡債務と代金支払債務とは、同時履行の関係に立つ。
511-08-1宅地の売買契約における買主が、弁済期の到来後も、代金支払債務の履行の提供をしない場合、売主は、宅地の引渡しと登記を拒むことができる。
608-09-2売主が、履行期に所有権移転登記はしたが、引渡しをしない場合、買主は、少なくとも残金の半額を支払わなければならない。×

2.同時履行の抗弁権が認められるか

(1).民法の条文で認められているケース
①解除による原状回復義務(⇒[27]4(1)
状況 考え方
★過去の出題例★
同時履行の抗弁権:解除による原状回復義務(民法[24]2(1))
 年-問-肢内容正誤
127-08-イマンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない 。×
221-08-3債務不履行による解除の場合、債務不履行をした側の原状回復義務が先履行となり、同時履行の抗弁権を主張できない。×
311-08-2解除の際、一方当事者が原状回復義務の履行を提供しないとき、相手方は原状回復義務の履行を拒むことができる。
②注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権(⇒[32]3(1)③
★過去の出題例★
民法[24]2(1)②
同時履行の抗弁権:注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権

民法[31]3(1)③も同内容)
 年-問-肢内容正誤
129-07-3請負契約の目的物に瑕疵がある場合、注文者は、請負人から瑕疵の修補に代わる損害の賠償を受けていなくとも、特別の事情がない限り、報酬全額を支払わなければならない。×
211-08-3建物の建築請負契約の請負人が、瑕疵修補義務に代わる損害賠償義務について、その履行の提供をしない場合、注文者は、当該請負契約に係る報酬の支払いを拒むことができる。
(2).判例によって認められているケース
①取消しによる原状回復義務
状況 考え方
★過去の出題例★
同時履行の抗弁権:契約の取消し(民法[24]2(2)①)
 年-問-肢内容正誤
130-01-1売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。
215-09-4売買契約が詐欺を理由として有効に取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係に立つ。
314-01-2詐欺による有効な取消しがなされたときには、登記の抹消と代金の返還は同時履行の関係になる。
404-08-4第三者の詐欺を理由に買主が契約を取り消した場合、登記の抹消手続を終えなければ、代金返還を請求することができない。×
②請負契約に関する目的物引渡債務と報酬支払債務係(⇒[31]2(1)①


★過去の出題例★

民法[24]2(2)②
同時履行の抗弁権:請負契約に関する目的物引渡債務と報酬請求権

民法[31]2(1)①も同内容)
 年-問-肢内容正誤
115-09-2目的物の引渡しを要する請負契約における目的物引渡債務と報酬支払債務とは、同時履行の関係に立つ。
206-08-1注文者の報酬支払義務と請負人の住宅引渡義務は、同時履行の関係に立つ。
③弁済と受取証書の交付(⇒[21]4(3)①

④建物買取請求権(⇒借地借家法[02]3(1)②

建物買取請求の際の建物代金支払債務と土地の返還債務

状況 考え方
(3).判例が認めなかったケース
①建物明渡しと敷金の返還(⇒[29]8(1)(2)


★過去の出題例★

同時履行の抗弁権:建物明渡しと敷金の返還民法[24]2(3)①
 年-問-肢内容正誤
127-08-アマンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ 。×
215-11-1賃貸借契約が終了した場合、建物明渡しと敷金返還とは同時履行の関係に立たず、借主の建物明渡しは貸主から敷金の返還された後に行えばよい。×
313-09-3賃貸借契約が終了した場合、建物明渡債務と敷金返還債務とは常に同時履行の関係にあり、借主は、敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張できる。×
②弁済と債権証書の返還(⇒[21]4(3)②

③弁済と抵当権抹消登記


★過去の出題例★

民法[24]2(3)③
同時履行の抗弁権:弁済と抵当権抹消登記
 年-問-肢内容正誤
115-09-3貸金債務の弁済と抵当権設定登記の抹消登記手続とは、同時履行の関係に立つ。×
211-08-4金銭の消費貸借契約の貸主が、抵当権設定登記について抹消登記手続の履行を提供しない場合、借主は、借金の弁済を拒むことができる。×
④造作買取請求権(⇒借地借家法[06]3(1)②
状況 考え方
   

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