【宅建過去問】(令和02年10月問10)取得時効
解説動画を視聴する方法 | 受講料 | |
---|---|---|
1 | eラーニング講座[Step.3]過去問演習編を受講する。 | 980円/回 |
2 | YouTubeメンバーシップに登録する。 | 1,790円/月~ |
- Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。
- Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Dは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。
- Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。
- Aが甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。
正解:2
はじめに
はじめに、肢1、2、3で共通する基本知識をまとめておきます。
■取得時効の要件
他人の物を時効取得するためには、以下の要件をみたす必要があります(民法162条)。
本問の肢1、2、3は、すべて「所有の意思」と「平穏かつ公然の占有」という要件をみたしています(以下では、この点には触れません)。
■占有の承継
他人から占有を承継した人は、以下の2つから選択することができます(民法187条)。
-
- 自己の占有のみを主張
- 前占有者の占有を合わせて主張(瑕疵も承継)
1 正しい
Bの占有(17年間)とCの占有(3年間)を通算すれば、20年になります。Cは、Bの占有を合わせて主張することで、20年間占有を継続したこととなり、長期取得時効により、甲土地の所有権を時効取得することができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-10-1 | Aが甲土地を所有している。Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
2 | R02-10-3 | Aが甲土地を所有している。Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
3 | 27-04-2 | Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。 | × |
4 | 16-05-1 | Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合、当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても、Cは10年の取得時効を主張できる。 | ◯ |
5 | 16-05-2 | Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる。 | × |
6 | 16-05-3 | Aから土地を借りていたBが死亡し、借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても、CはBの借地人の地位を相続するだけなので、土地の所有権を時効で取得することはない。 | × |
7 | 10-02-1 | Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し、Bが相続によりその占有を承継した場合でも、B自身がその後5年間占有しただけでは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。 | × |
8 | 04-04-1 | Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない。 | × |
2 誤り
Dは、善意無過失で占有を開始し、3年間占有しています。
その後、Dは、甲土地がAの所有であることに気付きました。しかし、これは時効の成立要件に影響を与えません。善意無過失が要求されるのは、「占有開始の時」だけだからです。
Dはその後7年間占有を継続し、占有期間は、トータル10年に達しました。Dは、短期取得時効により、甲土地を時効取得することができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-10-3 | AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。Bが、甲土地の引渡しを受けた時点で所有の意思を有していたとしても、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったときは、その時点で所有の意思が認められなくなるので、Bは甲土地を時効により取得することはできない。 | × |
2 | R02-10-2 | Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが権利者であることについて善意過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Bは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。 | × |
3 | R02-10-3 | Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが権利者であることについて善意過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているDに売却し、Dが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Dは甲土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
4 | H04-04-2 | Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
3 正しい
肢1と肢2を合体させた選択肢です。
Dは、善意無過失で占有を開始し、3年間占有しています。
Fは、Dから甲土地を購入し、7年間占有しました。Dの占有期間と通算することで、10年間占有したことになります。
占有開始時に善意無過失で、10年間占有したのですから、Fは、短期取得時効により、甲土地を時効取得することができます。
※Fは甲土地の譲受け時に甲土地がA所有であることを知っていますが、これは、結果に影響を及ぼしません。善意無過失が要求されるのは、あくまで「占有開始の時」だけです。これは、占有の承継があった場合でも同じことです(最判昭53.03.06)。
きます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-10-3 | AはBに対し、自己所有の甲土地を売却し、代金と引換えにBに甲土地を引き渡したが、その後にCに対しても甲土地を売却し、代金と引換えにCに甲土地の所有権登記を移転した。Bが、甲土地の引渡しを受けた時点で所有の意思を有していたとしても、AC間の売買及びCに対する登記の移転を知ったときは、その時点で所有の意思が認められなくなるので、Bは甲土地を時効により取得することはできない。 | × |
2 | R02-10-2 | Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが権利者であることについて善意過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることに気付いた場合、そのままさらに7年間甲土地の占有を継続したとしても、Bは、甲土地の所有権を時効取得することはできない。 | × |
3 | R02-10-3 | Aが甲土地を所有している。Bが、所有者と称するCから、Cが権利者であることについて善意過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているDに売却し、Dが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Dは甲土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
4 | H04-04-2 | Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-10-1 | Aが甲土地を所有している。Bが甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に17年間占有した後、CがBを相続し甲土地を所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した場合、Cは甲土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
2 | R02-10-3 | Aが甲土地を所有している。Dが、所有者と称するEから、Eが無権利者であることについて善意無過失で甲土地を買い受け、所有の意思をもって平穏かつ公然に3年間占有した後、甲土地がAの所有であることを知っているFに売却し、Fが所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を7年間占有した場合、Fは甲土地の所有権を時効取得することができる。 | ◯ |
3 | 27-04-2 | Bの父が11年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有した後、Bが相続によりその占有を承継し、引き続き9年間所有の意思をもって平穏かつ公然に占有していても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することはできない。 | × |
4 | 16-05-1 | Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合、当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても、Cは10年の取得時効を主張できる。 | ◯ |
5 | 16-05-2 | Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる。 | × |
6 | 16-05-3 | Aから土地を借りていたBが死亡し、借地であることを知らない相続人Cがその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても、CはBの借地人の地位を相続するだけなので、土地の所有権を時効で取得することはない。 | × |
7 | 10-02-1 | Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し、Bが相続によりその占有を承継した場合でも、B自身がその後5年間占有しただけでは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない。 | × |
8 | 04-04-1 | Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない。 | × |
4 正しい
所有権が時効によって消滅することはありません(民法166条2項)。
※Aの所有物を、他人が時効により取得することはあり得えます。この場合、Aは、所有権を失うことになります。しかし、これは、あくまで他人が時効取得した結果に過ぎないのです。Aの所有権が時効によって消滅したわけではありません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-10-4 | Aが所有する甲土地を使用しないで20年以上放置していたとしても、Aの有する甲土地の所有権が消滅時効にかかることはない。 | ◯ |
2 | 26-03-2 | 所有権は、権利行使できる時から20年間行使しないときは消滅し、目的物は国庫に帰属する。 | × |
3 | 17-04-1 | 所有権は、取得のときから20年間行使しなかった場合、時効により消滅する。 | × |
【無料公開講座】スリー・ステップ学習法
- [Step.1]基本習得編で宅建合格に必要な基礎知識を学ぶ。
- [Step.2]一問一答編で「一問一答式」の本試験過去問で基礎知識を確認し、○×を見分ける解法テクニックを身に付ける。
- [Step.3]過去演習編で「四択問題」の解決法を学ぶ。
この3段階で、着実に合格レベルに進むことができます。