【宅建過去問】(令和03年10月問18)建築基準法

次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 都市計画により建蔽率の限度が10分の6と定められている近隣商業地域において、準防火地域内にある耐火建築物で、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物については、建蔽率の限度が10分の8となる。
  2. 市町村は、集落地区計画の区域において、用途地域における用途の制限を補完し、当該区域の特性にふさわしい土地利用の増進等の目的を達成するため必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、当該区域における用途制限を緩和することができる。
  3. 居住環境向上用途誘導地区内においては、公益上必要な一定の建築物を除き、建築物の建蔽率は、居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画において建築物の建蔽率の最高限度が定められたときは、当該最高限度以下でなければならない。
  4. 都市計画区域内のごみ焼却場の用途に供する建築物について、特定行政庁が建築基準法第51条に規定する都市計画審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合においては、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなくても、新築することができる。

正解:2

1 正しい

以下の建築物については、都市計画所定の建蔽率に10分の1を加えた数値が建蔽率の限度となります(建築基準法53条3項1号)。つまり、建蔽率の割増を受けることができるわけです。

本肢の建築物は「準防火地域内にある耐火建築物」ですから、①の割増を受けます。また、「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある」ことにより、②の割増も受けることができます。このように①と②両方の割増を受けることができる場合、合算して2/10の割増を受けることが可能です。都市計画で定められた建蔽率の限度(6/10)に2/10の割増があるのですから、建蔽率の限度は、8/10ということになります。

■参照項目&類似過去問
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建蔽率が1/10割増になる場合(建築基準法[05]2(2))
年-問-肢内容正誤
防火地域内の耐火建築物等、準防火地域内の耐火・準耐火建築物等
1R01-18-3都市計画において定められた建蔽率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある準耐火建築物の建蔽率については、都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。×
2H26-18-4都市計画において定められた建蔽率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の建蔽率については、都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。
3H03-23-1第一種中高層住居地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物についても、建蔽率の制限は、適用される。
4H02-23-3近隣商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の建蔽率は、8/10を超えてはならない。×
指定角地内にある建築物
1H24-19-1街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地内にある建築物の建蔽率については、特定行政庁の指定がなくとも都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。×
2H01-20-4街区の角にある敷地で特定行政庁が指定するものの内にある耐火建築物については、建蔽率制限は適用されない。×
両方の要件を満たす場合
1R05-18-1法第53条第1項及び第2項の建蔽率制限に係る規定の適用については、準防火地域内にある準耐火建築物であり、かつ、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物にあっては同条第1項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもって当該各号に定める数値とする。
2R03-17-1都市計画により建蔽率の限度が10分の6と定められている近隣商業地域において、準防火地域内にある耐火建築物で、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物については、建蔽率の限度が10分の8となる。
3H08-24-4第一種住居地域内で建蔽率の限度が8/10とされている地域外で、かつ防火地域内で、特定行政庁が指定する角地内にある耐火建築物(住宅)の建蔽率は、都市計画で定められた第一種住居地域の建蔽率の数値に2/10を加えた数値を超えてはならない。

2 誤り

地区計画等には、以下の5種類があります(建築基準法2条33号、都市計画法4条9号、12条の4第1項)。このうち、集落地区計画以外」の4種類については、市町村が国土交通大臣の承認を得て条例で規定すれば、用途制限を緩和することができます(建築基準法68条の2第5項)。

※集落地区計画は、都市近郊の農村集落(市街化区域外)において、営農条件と調和のとれた良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るものです(集落地域整備法5条1項)。用途制限の緩和とは、方向性が違っています。

3 正しい

(建築基準法の話は、最後の2行だけ。イントロが長いです。)
少子高齢化、過疎化の進展を受け、コンパクトシティが目指されるようになってきました。コンパクトシティ実現のために用意されたのが居住環境向上用途誘導地区です。
コンパクトシティには、病院や店舗などの居住環境向上施設を設ける必要があります。しかし、既存の用途地域指定により、施設の設置が困難な場合もあります。例えば、第一種低層住居専用地域に指定されていたとすれば、原則として、病院や店舗を建築することはできません。
このような場合に、居住環境向上用途誘導地区を設定します。そうすれば、居住環境向上施設については、用途制限を緩和し、容積率を上積みすることが許されるのです。
居住環境向上用途誘導地区については、都市計画に以下の事項を定めます(都市再生特別措置法94条の2第2項、都市計画法8条3項1号・3号)。

さて、ようやく建築基準法の話です。
この都市計画で、建蔽率の最高限度が定められた場合、その限度内で建築物の建築する必要があります。例外は、公衆便所や学校など公益上必要な一定の建築物です(建築基準法60条の2の2第1項)。

4 正しい

卸売市場・火葬場・と畜場・汚物処理場・ごみ焼却場などの特殊建築物は、都市計画において敷地の位置が決定しているものでなければ、新築や増築することができません(建築基準法51条本文)。例外は、特定行政庁が都市計画審議会の議を経て許可した場合です(同条ただし書き)。
本肢は、この例外に関する記述です。特定行政庁が都市計画審議会の議を経て許可しているので、都市計画において敷地の位置が決定していない場合でも、新築することが可能です。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
卸売市場等の特殊建築物(建築基準法[04]5)
年-問-肢内容正誤
1R03-18-4都市計画区域内のごみ焼却場の用途に供する建築物について、特定行政庁が建築基準法第51条に規定する都市計画審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合においては、都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなくても、新築することができる。
2H26-18-2学校を新築しようとする場合には、法第48条の規定による用途制限に適合するとともに、都市計画により敷地の位置が決定されていなければ新築することができない。×
3H20-21-4第一種中高層住居専用地域において、火葬場を新築しようとする場合には、都市計画により敷地の位置が決定されていれば新築することができる。×
4H06-23-2火葬場は、公益上必要な施設であるので、第一種低層住居専用地域を除く全ての用途地域で、建築することができる。×

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