【宅建過去問】(令和05年問18)建築基準法

次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 法第53条第1項及び第2項の建蔽率制限に係る規定の適用については、準防火地域内にある準耐火建築物であり、かつ、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物にあっては同条第1項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもって当該各号に定める数値とする。
  2. 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならず、地盤面下に設ける建築物においても同様である。
  3. 地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する建築物であって、延べ面積が150㎡を超えるものについては、一戸建ての住宅であっても、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。
  4. 冬至日において、法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域内の土地に日影を生じさせるものであっても、対象区域外にある建築物であれば一律に、同項の規定は適用されない。

正解:1

1 正しい

以下の建築物については、都市計画所定の建蔽率に10分の1を加えた数値が建蔽率の限度となります(建築基準法53条3項1号、2号)。つまり、建蔽率の割増を受けることができるわけです。

建蔽率が1/10割増になる場合

本肢の建築物は「準防火地域内にある準耐火建築物」ですから、①の割増を受けます。また、「街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある」ことにより、②の割増も受けることができます。このように①と②両方の割増を受けることができる場合、合算して2/10の割増を受けることが可能です。

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建蔽率が1/10割増になる場合(建築基準法[05]2(2))
年-問-肢内容正誤
防火地域内の耐火建築物等、準防火地域内の耐火・準耐火建築物等
1R01-18-3都市計画において定められた建蔽率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある準耐火建築物の建蔽率については、都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。×
2H26-18-4都市計画において定められた建蔽率の限度が10分の8とされている地域外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の建蔽率については、都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。
3H03-23-1第一種中高層住居地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物についても、建蔽率の制限は、適用される。
4H02-23-3近隣商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物の建蔽率は、8/10を超えてはならない。×
指定角地内にある建築物
1H24-19-1街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地内にある建築物の建蔽率については、特定行政庁の指定がなくとも都市計画において定められた建蔽率の数値に10分の1を加えた数値が限度となる。×
2H01-20-4街区の角にある敷地で特定行政庁が指定するものの内にある耐火建築物については、建蔽率制限は適用されない。×
両方の要件を満たす場合
1R05-18-1法第53条第1項及び第2項の建蔽率制限に係る規定の適用については、準防火地域内にある準耐火建築物であり、かつ、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物にあっては同条第1項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもって当該各号に定める数値とする。
2R03-17-1都市計画により建蔽率の限度が10分の6と定められている近隣商業地域において、準防火地域内にある耐火建築物で、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物については、建蔽率の限度が10分の8となる。
3H08-24-4第一種住居地域内で建蔽率の限度が8/10とされている地域外で、かつ防火地域内で、特定行政庁が指定する角地内にある耐火建築物(住宅)の建蔽率は、都市計画で定められた第一種住居地域の建蔽率の数値に2/10を加えた数値を超えてはならない。

2 誤り

建築物又は敷地を造成するため擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築することができません。ただし、以下のような建築物は例外です(建築基準法44条1項)。

本肢は、「地盤面下に設ける建築物」の話です。地盤面下(=地下)であれば、地上の交通を妨害しませんから、地下街などの建築物を建築することも可能です。

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道路内の建築制限(建築基準法[03]4)
年-問-肢内容正誤
1R05-18-2建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならず、地盤面下に設ける建築物においても同様である。×
2R02-18-1公衆便所及び巡査派出所については、特定行政庁の許可を得ないで、道路に突き出して建築することができる。×
3H27-18-3地盤面下に設ける建築物については、道路内に建築することができる。
4H12-24-4地盤面下に設ける建築物については、道路内に建築することができる。
5H08-25-3公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについても、道路に突き出して建築してはならない。×
6H06-22-2建築物は、地下に設けるものであっても、道路に突き出して建築してはならない。×

3 誤り

地方公共団体は、以下の建築物については、敷地と道路との関係について、条例で、必要な制限を付加することができます(建築基準法43条3項)。

本肢は、このうち3に関するものです。しかし、戸建住宅は除かれるのですから、本肢の住宅は、要件をみたしていません。地方公共団体が条例で道路に関する制限を付加することは不可能です。

※「付加」というのは、制限を厳しくするという意味です。逆に、制限を緩和することはできません。
※条例で付加することができるのは、以下の事項に関する制限です。

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条例による制限の付加(建築基準法[03]3)
年-問-肢内容正誤
1R05-18-3地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する建築物であって、延べ面積が150㎡を超えるものについては、一戸建ての住宅であっても、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。×
2R01-18-4地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する一戸建ての住宅について、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員に関して必要な制限を付加することができる。×
3H25-18-1地方公共団体は、延べ面積が1,000㎡を超える建築物の敷地が接しなければならない道路の幅員について、条例で、避難又は通行の安全の目的を達するために必要な制限を付加することができる。
4H12-24-3地方公共団体は、土地の状況等により必要な場合は、建築物の敷地と道路との関係について建築基準法に規定された制限を、条例で緩和することができる。×
5H08-25-4地方公共団体は、一定の建築物の用途又は規模の特殊性により必要があると認めるときは、条例で、建築物の敷地と道路との関係についての制限を緩和することができる。×
6H04-22-4都市計画区域内において中古住宅を建て替える場合、地方公共団体は、道路と敷地との関係について必要があると認めるときは、条例でその制限を緩和することができる。×

4 誤り

商業地域・工業地域・工業専用地域は、日影規制の対象区域として指定することができません(建築基準法56条の2第1項)。したがって、商業地域内の建物については、原則として、日影規制が適用されないことになります。
ただし、対象区域外の建築物であっても、高さが10mを超え、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるものについては、対象区域内にある建築物とみなして、日影規制が適用されます(同条4項)。

 日影規制が適用されるエリア

日影規制

例外

対象区域外の建築物でも、以下のものは対象区域内にあるとみなされる

    1. 高さ10m超
    2. 冬至日に対象区域内の土地に日影を生じさせる
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日影規制(建築基準法[07]3(5))
年-問-肢内容正誤
1R05-18-4冬至日において、法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域内の土地に日影を生じさせるものであっても、対象区域外にある建築物であれば一律に、同項の規定は適用されない。×
2R02-18-4日影による中高層の建築物の高さの制限に係る日影時間の測定は、夏至日の真太陽時の午前8時から午後4時までの間について行われる。×
3H21-19-3商業地域内にある建築物については、法第56条の2第1項の規定による日影規制は、適用されない。ただし、冬至日において日影規制の対象区域内の土地に日影を生じさせる、高さ10mを超える建築物については、この限りでない。
4H18-22-4法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域は地方公共団体が条例で指定することとされているが、商業地域、工業地域及び工業専用地域においては、日影規制の対象区域として指定することができない。
5H07-24-1日影規制の対象となる区域については、その区域の存する地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して、都市計画で定められる。×
6H07-24-2第一種中高層住居専用地域又は第二種中高層住居専用地域において、日影規制の対象となるのは、軒の高さが7m又は高さが10mを超える建築物である。×
7H07-24-3同一の敷地内に2以上の建築物がある場合においては、これらの建築物を一の建築物とみなして、日影規制が適用される。
8H07-24-4建築物の敷地が道路、水面、線路敷その他これらに類するものに接する場合であっても日影規制の緩和に関する措置はない。×
9H05-23-4日影制限(建築基準法第56条の2の制限をいう。)は、商業地域内においても、適用される。×
10H04-23-3近隣商業地域と第二種住居地域にまたがる敷地に建築物を建築する場合、日影規制が対象されることはない。×
11H03-24-4第二種中高層住居専用地域内においても、高さが9mの建築物であれば、日影による中高層の建築物の高さの制限を受けない。
12H02-24-4第一種低層住居専用地域内の建築物のうち、地階を除く階数が2以下で、かつ、軒の高さが7m以下のものは、日影による中高層の建築物の高さの制限を受けない。

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