【宅建過去問】(平成03年問09)金銭消費貸借契約

AのBに対する貸金に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. AB間で利息の発生につき合意していても、利率について別段の定めがないときは、Aは、利息を請求することができない。
  2. AB間で返済時期について別段の定めがないときは、Aは、相当の期間を定めて、返済を催告することができる。
  3. AB間で返済場所について別段の定めがないときは、Bは、Aの住所で返済しなければならない。
  4. Bが返済をしようとしてもAが受取証書を交付しないときは、Bは、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。

正解:1

1 誤り

「利息」に関する定めがない場合であれば、Aが利息を請求することはできない。しかし、本肢の事態は、「利息を支払うことは合意されたものの利率の定めがない」というものである。このような場合は、法定利息である年3パーセントが適用される(民法404条1項、2項)。
「利息を請求することができない」わけではない。

利息に関する定めが 利率に関する定めが 利息・利率は
ない 無利息
ある ない 法定利息(3%)
ある 約定利息
■参照項目&類似過去問
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法定利率(民法[15]5)
年-問-肢内容正誤
1R02s-07-3
Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約が締結された。Bが売買契約で定めた売買代金の支払期日までに代金を支払わなかった場合、売買契約に特段の定めがない限り、AはBに対して、年5%の割合による遅延損害金を請求することができる。×
2H28-01-1
利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年3%とする。
3H24-08-2貸主Aと借主Bとの間の利息付金銭消費貸借契約において、利率に関する定めがない場合、Bが債務不履行に陥ったことによりAがBに対して請求することができる遅延損害金は、年3パーセントの利率により算出する。
4H03-09-1利率について別段の定めがないときは、貸主は、利息を請求することができない。×

2 正しい

消費貸借契約において、返還の時期につき定めがない場合、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる(民法591条1項)。

■参照項目&類似過去問
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消費貸借:返済の時期
年-問-肢内容正誤
103-09-2返済時期について別段の定めがないときは、貸主は、相当の期間を定めて、返済を催告することができる。
202-03-4借主は、貸主にいつでも返済することができるが、貸主が返済を請求するには、相当の期間を定めて催告しなければならない。

3 正しい

弁済の場所につき別段の定めがない場合、特定物の引渡し以外の弁済については、債権者の現在の住所でしなければならない(民法484条)。

■参照項目&類似過去問
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弁済の場所(民法[20]4(1))
年-問-肢内容正誤
103-09-3返済場所について別段の定めがないときは、借主は、貸主の住所で返済しなければならない。
202-03-3返済の場所を定めていない場合において、貸主が住所を移転したときは、借主は、貸主の新たな住所で返済しなければならない。

4 正しい

弁済者は、弁済受領者に対して受取証書の交付を請求することができる(民法486条)。そして、 弁済と領収証の交付は、同時履行の関係に立つ(民法533条。大判昭16.03.01)。したがって、領収証が交付されるまで弁済を拒むことができる。また、弁済を拒んだとしても、違法な不履行ではないから、履行遅滞の責任を負うことはない。

■参照項目&類似過去問
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弁済と受取証書の交付(民法[20]4(3)①)
同時履行の抗弁権:弁済と受取証書の交付(民法[22]2(2)②)
年-問-肢内容正誤
105-06-4借主は、弁済に当たり、貸主に対して領収証を請求し、貸主がこれを交付しないときは、その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。
203-09-4借主が返済をしようとしても貸主が受取証書を交付しないときは、借主は、その交付がなされるまで、返済を拒むことができる。

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