【宅建過去問】(平成04年問05)契約不適合担保責任
Aは、B所有の土地建物をBから買い受け、その際「当該土地建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合であっても、Bは、その不適合を担保すべき責任を負わない」旨の特約を結んだが、その土地建物に欠陥が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった。なお、Bは、その欠陥の存在を知っていた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
- 特約を結んだ以上、Aは、Bに対し、契約の解除をすることができない。
- 特約があっても、Aは、欠陥に関して有する担保責任の請求権が消滅時効にかかっていない限り、Bに対し、契約の解除をすることができる。
- Aは、欠陥の存在を知った時から2年以内に、欠陥についてBに通知しなければ、Bに対し、契約の解除をすることができない。
- Aは、土地建物の引渡しを受けた時から2年以内に、欠陥についてBに通知しなければ、Bに対し、契約の解除をすることができない。
正解:2
契約不適合があるか
買主Aに引き渡された土地建物には、「欠陥が存在して、契約をした目的を達成することができなくなった」とあります。
したがって、この欠陥は、AB間の売買契約の内容に適合しないものだったことが分かります。つまり、契約不適合があるわけです。
契約不適合担保責任に関する特約
AB間には、Bの契約不適合責任を免除する旨の特約があります。
このような特約も、民法上は、有効です。なぜなら、民法上、契約不適合担保責任に関する特約は、制限されていないからです。
しかし、このような特約をしたときであっても、売主が知りながら告げなかった事実については、担保責任を免れることができません(民法572条)。
本問では、「Bは、その欠陥の存在を知っていた」というのですから、特約の存在があったとしても、Bは、この契約不適合について担保責任を負わなければなりません。
買主の責任追及方法
買主が売主の担保責任を追及する方法には、以下のものがあります(民法562条、563条、564条、415条、541条、542条)。
したがって、Aは、Bに対して、契約を解除することができます。
責任追及が可能な期間
■債権の消滅時効
契約不適合担保責任は、債務不履行責任の一種です。
したがって、買主が売主の責任を追及することができるのは、債権の消滅時効期間内に限られます。具体的には、以下の期間です(民法166条1項1号・2号)。
■不適合について売主に通知する期間(通知期間)
目的物の種類・品質に関する契約不適合については、買主が不適合を発見してから1年以内に売主に通知しないと、売主の責任を追及することができなくなります(同法566条本文)。
ここまでをまとめると、契約不適合担保責任の追及には、3つの期間制限があることが分かります。
■通知期間の例外
通知期間の制限には、これが適用されないケースがあります。それは、引渡しの時点で、売主が契約不適合について悪意だったり、善意でも重過失があった場合です(同法566条ただし書き)。
本問では、「Bは、その欠陥の存在を知っていた」というのですから、まさにこの例外パターンに当たります。したがって、Aは、通知期間の制限を受けません。
これを逆からいうと、Aの担保責任追及の期間については、消滅時効期間以外の制限はないことになります。
各選択肢の検討
1 誤り
売主Bが契約不適合について悪意ですから、買主Aは、契約を解除することができます。
2 正しい
売主Bが契約不適合について悪意ですから、消滅時効期間以外の制限を受けません。
3 誤り
売主Bが契約不適合について悪意ですから、通知期間の制限を受けません。
4 誤り
売主Bが契約不適合について悪意ですから、通知期間の制限を受けません。
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