【宅建過去問】(平成06年問50)免許取消処分
甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aの免許の取消しに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- Aの役員の1人が宅地建物取引業法の規定に違反して罰金の刑に処せられたときは、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。
- Aが乙県内で業務に関し不正又は著しく不当な行為をしても、乙県知事は、Aの免許を取り消すことができない。
- Aが免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合において、Aに相当の理由があるときは、甲県知事は、Aの免許を取り消すことができない。
- 甲県知事は、Aが不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消したときは、その旨を甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公告しなければならない。
正解:3
1 正しい
宅建業法違反で罰金刑に処せられることは免許の欠格要件に該当する(宅建業法5条1項6号)。したがって、その者を役員とする宅建業者Aは、免許を取り消されることになる(宅建業法66条1項4号)。
※罰金刑を科せられたことが欠格要件となるのは、以下の犯罪に限られる。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
免許の欠格要件(罰金刑)(宅建業法[03]1(3)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
宅建業法違反 | |||
1 | R05-29-3 | 宅地建物取引業者である個人Aが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Aの免許は取り消されることはない。 | × |
2 | R03-27-4 | 免許を受けようとするA社の役員に、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた者がいる場合、その刑の執行が終わって5年を経過しなければ、A社は免許を受けることができない。 | ◯ |
3 | H22-27-2 | 法人Aの役員のうちに、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、Aは、免許を受けることができない。 | ◯ |
4 | H21-27-イ | 宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられた取締役がいる法人は、その刑の執行が終わった日から5年を経過しなければ、免許を受けることができない。 | ◯ |
5 | H15-31-3 | 法人の役員のうちに宅地建物取引業法の規定に違反して、懲役の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、罰金の刑であれば、直ちに免許を受けることができる。 | × |
6 | H06-50-1 | 甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aの役員の1人が宅地建物取引業法の規定に違反して罰金の刑に処せられたときは、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 | ◯ |
傷害罪 | |||
1 | H15-31-4 | 法人の役員のうちに刑法第204条(傷害)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、刑の執行後5年を経過すれば、免許を受けることができる。 | ◯ |
2 | H02-44-ア | 宅地建物取引業者A社の取締役Bが、団地造成の用地交渉で土地所有者に傷害を与え、刑法第204条の罪(傷害罪)を犯したとして、罰金の刑に処せられた場合、A社は、宅地建物取引業法に基づく監督処分の対象となることがある。 | ◯ |
傷害現場助勢罪 | |||
1 | H24-26-2 | 免許を受けようとするA社に、刑法第206条(現場助勢)の罪により罰金の刑に処せられた者が非常勤役員として在籍している場合、その刑の執行が終わってから5年を経過していなくとも、A社は免許を受けることができる。 | × |
暴行罪 | |||
1 | H17-31-4 | 甲県知事の免許を受けているA社の取締役Bが、刑法第208条(暴行)の罪により罰金の刑に処せられた場合、A社の免許は取り消される。 | ◯ |
2 | H08-37-2 | A社の代表取締役が、刑法の暴行罪で罰金の略式命令を受け罰金を納付したが、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。A社は、免許を受けることができる。 | × |
凶器準備集合・結集罪 | |||
1 | H25-26-3 | 宅地建物取引業者A社の非常勤役員が、刑法第208条の2(凶器準備集合及び結集)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | × |
脅迫罪 | |||
1 | R05-29-4 | 宅地建物取引業者A社の非常勤の取締役が、刑法第222条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | × |
2 | H25-26-2 | 宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者が、刑法第222条(脅迫)の罪により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | × |
3 | H08-37-4 | A社の取締役の1人で非常勤である者が、宅地建物取引業以外の業務に関し刑法の脅迫罪で罰金の判決を受け罰金を納付したが、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない場合、A社は、免許を受けることができる。 | × |
背任罪 | |||
1 | H27-27-3 | 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であるAの法定代理人であるBが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられていた場合、その刑の執行が終わった日から5年を経過していなければ、Aは免許を受けることができない。 | ◯ |
2 | H16-31-1 | A社の政令で定める使用人は、刑法第247条(背任)の罪を犯し、罰金の刑に処せられたが、その執行を終えてから3年を経過しているので、A社は免許を受けることができる。 | × |
3 | H10-31-2 | 宅地建物取引業者A(法人)の非常勤の顧問であり、Aに対し取締役と同等の支配力を有するものと認められるBが、刑法第247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられたとき、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。 | × |
4 | H01-39-1 | 未成年者Aは、営業に関し、成年者と同一の能力がなく、かつ、その法定代理人Bが、刑法第247条の罪(背任罪)を犯し、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。Aは、免許を受けることができる。 | × |
欠格要件でないもの | |||
刑法犯 | |||
1 | R01-43-3 | 免許を受けようとする法人の事務所に置く専任の宅地建物取引士が、刑法第261条(器物損壊等)の罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合、当該法人は免許を受けることができない。 | × |
2 | H23-27-2 | A社の役員のうちに、刑法第246条の詐欺罪により罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過しない者がいる場合、A社は免許を受けることができない。 | × |
3 | H19-33-2 | 宅地建物取引業者A社の取締役が、刑法第209条(過失傷害)の罪により罰金の刑に処せられた場合、A社の免許は取り消される。 | × |
4 | H17-31-2 | A社の取締役が刑法第198条(贈賄)の罪により罰金の刑に処せられ、その執行を終えてから3年を経過した場合であっても、A社は免許を受けることができない。 | × |
5 | H15-31-1 | 法人の役員のうちに刑法第159条(私文書偽造等)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられている者がいる場合は、免許を受けることができないが、刑の執行後5年を経過すれば、免許を受けることができる。 | × |
6 | H09-33-4 | 甲県知事から免許を受けている宅地建物取引業者A(法人)の役員の1人が、刑法第209条(過失傷害)の罪により3年前に罰金の刑に処せられ、罰金を納付していることが判明した場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 | × |
7 | H05-36-1 | A社の取締役Bが、3年前に、刑法第233条(業務妨害)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終えた場合、A社は、免許を受けることができる。 | ◯ |
8 | H03-39-イ | A社の代表取締役Bが、1年前に業務上過失致傷の罪により罰金10万円の刑に処せられた場合、A社は、免許を受けることができる。 | ◯ |
刑法以外 | |||
1 | R05-29-2 | 宅地建物取引業者A社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | ◯ |
2 | H25-26-1 | 宅地建物取引業者A社の代表取締役が、道路交通法違反により罰金の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。 | ◯ |
3 | H06-35-4 | A社の免許申請の直前に、A社の代表取締役が道路交通法に違反して罰金の刑に処せられた場合、A社は、免許を受けることができない。 | × |
2 正しい
乙県内で業務に関し不正又は著しく不当な行為をした場合、乙県知事は、指示処分や業務停止処分を行うことができる(宅建業法65条3項、4項)。
しかし、免許の取消処分ができるのは免許権者(本問では、甲県知事)だけである(宅建業法66条1項9号)。
乙県知事が免許取消処分をすることはできない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
免許取消処分のできる者(宅建業法[22]2(3)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H29-29-2 | 国土交通大臣は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の事務所の所在地を確知できない場合、その旨を官報及び甲県の公報で公告し、その公告の日から30日を経過してもAから申出がないときは、Aの免許を取り消すことができる。 | × |
2 | H26-44-エ | 宅地建物取引業者A(国土交通大臣免許)は、甲県知事から業務停止の処分を受けた。この場合、Aが当該処分に違反したとしても、国土交通大臣から免許を取り消されることはない。 | × |
3 | H18-45-1 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内の業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合でも、乙県知事は、Aの免許を取り消すことはできない。 | ◯ |
4 | H18-45-3 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、甲県の区域内の業務に関し甲県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合で、情状が特に重いときであっても、国土交通大臣は、Aの免許を取り消すことはできない。 | ◯ |
5 | H12-43-1 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合、乙県知事は、Aの免許を取り消すことができる。 | × |
6 | H12-43-2 | 国土交通大臣は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対し宅地建物取引業の適正な運営を確保し、又は健全な発達を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることはあっても、Aの免許を取り消すことはできない。 | ◯ |
7 | H11-32-3 | 甲県知事免許の宅地建物取引業者Aが、乙県の区域内の業務に関し乙県知事から指示を受け、その指示に従わなかった場合で、情状が特に重いときには、国土交通大臣は、Aの免許を取り消すことができる。 | × |
8 | H07-50-2 | 甲県に本店(従業者13人)、乙県に支店(従業者5人)を有する宅地建物取引業者Aが引き続いて1年以上宅地建物取引業に係る事業を休止したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。 | × |
9 | H06-50-2 | 甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aが乙県内で業務に関し不正又は著しく不当な行為をしても、乙県知事は、Aの免許を取り消すことができない。 | ◯ |
3 誤り
「免許を受けてから一年以内に事業を開始せず、又は引き続いて一年以上事業を休止した」とき、免許権者は、宅建業者の免許を取り消さなければならない(宅建業法66条1項6号)。
「Aに相当の理由」があるかどうか、とは無関係である。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
必要的取消事由(免許後1年以内に事業不開始or1年以上事業休止)(宅建業法[22]2(3)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-36-4 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が引き続いて1年以上事業を休止したときは、甲県知事は免許を取り消さなければならない。 | ◯ |
2 | R02s-31-1 | 宅地建物取引業者が、免許を受けてから1年以内に事業を開始せず免許が取り消され、その後5年を経過していない場合は、免許を受けることができない。 | × |
3 | R01-29-ウ | 甲県知事は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。 | ◯ |
4 | H23-27-4 | 宅地建物取引業者は、引き続いて1年以上事業を休止したときは、免許の取消しの対象となる。 | ◯ |
5 | H07-50-2 | 甲県に本店、乙県に支店を有する宅地建物取引業者Aが引き続いて1年以上宅地建物取引業に係る事業を休止したときは、甲県知事はAの免許を取り消さなければならない。 | × |
6 | H06-50-3 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合において、Aに相当の理由があるときは、甲県知事は、Aの免許を取り消すことができない。 | × |
7 | H05-49-2 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合、甲県知事は、Aに対し、1年以内の期間を定めて業務停止を命ずることができる。 | × |
4 正しい
業監督処分のうち、免許取消処分・業務停止処分については、公告をしなければならない(宅建業法70条1項)。
※指示処分については、公告の必要はない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
必要的取消事由(不正手段によって免許を受けたとき)(宅建業法[22]2(3)②-4)
宅建業者に対する監督処分(公告)(宅建業法[22]2(5)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-28-ア | 宅地建物取引業者Aが、不正の手段により甲県知事から免許を受けたとき、甲県知事はAに対して当該免許を取り消さなければならない。 | ◯ |
2 | R03-27-1 | 個人Aが不正の手段により免許を受けた後、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過した場合、その間に免許を受けることができない事由に該当することがなかったとしても、Aは再び免許を受けることはできない。 | × |
3 | H06-50-4 | 甲県知事は、宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消したときは、その旨を甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公告しなければならない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H24-44-2 | 甲県知事は、宅地建物取引業者A社(国土交通大臣免許)の甲県の区域内における業務に関し、A社に対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に通知するとともに、甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公告しなければならない。 | × |
2 | H22-44-4 | 甲県知事は、宅地建物取引業者B (国土交通大臣免許)に対し、甲県の区域内における業務に関し取引の関係者に損害を与えたことを理由として指示処分をしたときは、その旨を甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公告しなければならない。 | × |
3 | H21-45-4 | 甲県知事は、甲県の区域内における宅地建物取引業者A(乙県知事免許)の業務に関し、Aに対して指示処分をした場合、遅滞なく、その旨を甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公告しなければならない。 | × |
4 | H20-45-4 | 甲県知事は、宅地建物取引業者Aに対して指示処分をした場合には、甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により、その旨を公告しなければならない。 | × |
5 | H06-50-4 | 甲県知事は、宅地建物取引業者(甲県知事免許)が不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消したときは、その旨を甲県の公報又はウェブサイトへの掲載その他の適切な方法により公告しなければならない。 | ◯ |