建物の賃貸借契約における賃借人Aに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- Aが、建物賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、Aは、その必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
- Aの債務不履行により建物の賃貸借契約が解除された後に、Aが建物の修繕のため必要費を支出した場合、Aは、その必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
- Aは、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。
- Aは、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。
正解:2
1 正しい
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる(民法608条)。そして、本肢の「建物の修繕」費用は、賃貸人が負担すべきものである。したがって、賃貸人に対し、償還を請求することができる。
この費用償還請求権は、賃借している建物という物に関して生じた債権である。したがって、賃借人は、債権の弁済を受けるまで(賃貸人が費用を償還するまで)、建物を留置することができる(同法295条1項本文)。つまり、留置権に基づき建物の返還を拒否することができる。
■参照項目&類似過去問
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賃借人による費用の償還請求(民法[26]4(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
必要費 |
1 | 27-03-2 | 借主は、賃貸借契約では、貸主の負担に属する必要費を支出したときは、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
2 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
3 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
4 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
5 | 03-13-2 | 借主は、貸主の負担すべき必要費を支出したときは、直ちに、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
6 | 01-06-2 | 建物が老朽化してきたため、借主が貸主の負担すべき必要費を支出して建物の修繕をした場合、借主は、貸主に対して、直ちに修繕に要した費用全額の償還を請求することができる。 | ◯ |
有益費 |
1 | 03-13-3 | Aは、有益費を支出したときは、賃貸借終了の際、その価格の増加が現存する場合に限り、自らの選択によりその費した金額又は増加額の償還を請求することができる。 | × |
留置権(民法[14]1(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
目的物 |
1 | 21-05-3 | 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。 | × |
内容 |
1 | R03-01-1 | 賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもって家屋につき留置権を取得する余地はない。 | ◯ |
2 | 25-04-1 | 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。 | × |
3 | 25-04-2 | 不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。 | × |
4 | 25-04-3 | 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。 | × |
5 | 25-04-4 | 建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。 | ◯ |
6 | 21-05-4 | 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。 | × |
7 | 19-07-2 | 建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。 | × |
8 | 17-05-4 | 不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。 | × |
9 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
10 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
11 | 09-03-3 | 賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。 | ◯ |
12 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
13 | 03-07-1 | 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。 | ◯ |
2 誤り
建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながらその建物を不法に占有する間に有益費を支出しても、それは、民法295条2項の類推適用により、「占有が不法行為によって始まった場合」と解釈される(最判昭46.07.16)。
したがって、必要費の償還請求権に基づいて建物の留置権を行使することはできない。
■参照項目&類似過去問
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賃借人による費用の償還請求(民法[26]4(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
必要費 |
1 | 27-03-2 | 借主は、賃貸借契約では、貸主の負担に属する必要費を支出したときは、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
2 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
3 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
4 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
5 | 03-13-2 | 借主は、貸主の負担すべき必要費を支出したときは、直ちに、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
6 | 01-06-2 | 建物が老朽化してきたため、借主が貸主の負担すべき必要費を支出して建物の修繕をした場合、借主は、貸主に対して、直ちに修繕に要した費用全額の償還を請求することができる。 | ◯ |
有益費 |
1 | 03-13-3 | Aは、有益費を支出したときは、賃貸借終了の際、その価格の増加が現存する場合に限り、自らの選択によりその費した金額又は増加額の償還を請求することができる。 | × |
留置権(民法[14]1(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
目的物 |
1 | 21-05-3 | 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。 | × |
内容 |
1 | R03-01-1 | 賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもって家屋につき留置権を取得する余地はない。 | ◯ |
2 | 25-04-1 | 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。 | × |
3 | 25-04-2 | 不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。 | × |
4 | 25-04-3 | 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。 | × |
5 | 25-04-4 | 建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。 | ◯ |
6 | 21-05-4 | 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。 | × |
7 | 19-07-2 | 建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。 | × |
8 | 17-05-4 | 不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。 | × |
9 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
10 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
11 | 09-03-3 | 賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。 | ◯ |
12 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
13 | 03-07-1 | 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。 | ◯ |
3 正しい
賃借人は、留置権の行使にあたり、留置物の保存行為として、建物に居住し続けることができる(民法298条2項ただし書き)。
ただし、そのことによって受ける利益(賃料相当額)は、不当利得である(同法703条)。したがって、賃貸人に返還する必要がある(大判昭10.05.13)。
■参照項目&類似過去問
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留置権(民法[14]1(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
目的物 |
1 | 21-05-3 | 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。 | × |
内容 |
1 | R03-01-1 | 賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもって家屋につき留置権を取得する余地はない。 | ◯ |
2 | 25-04-1 | 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。 | × |
3 | 25-04-2 | 不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。 | × |
4 | 25-04-3 | 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。 | × |
5 | 25-04-4 | 建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。 | ◯ |
6 | 21-05-4 | 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。 | × |
7 | 19-07-2 | 建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。 | × |
8 | 17-05-4 | 不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。 | × |
9 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
10 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
11 | 09-03-3 | 賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。 | ◯ |
12 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
13 | 03-07-1 | 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。 | ◯ |
不当利得(民法[なし])
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R04-11-4 | 借地上の建物所有者が借地権設定者に建物買取請求権を適法に行使した場合、買取代金の支払があるまでは建物の引渡しを拒み得るとともに、これに基づく敷地の占有についても、賃料相当額を支払う必要はない。 | × |
2 | H23-08-3 | Bは、B所有の乙不動産をAに売却し、代金1,000万円の受領と同時に登記を移転して引渡しも終えていた。しかし、Bは、錯誤を理由に売買契約を取り消すとして、乙不動産を返還し、登記を戻すようにAに求めた。これに対し、AがBに対して、1,000万円(代金相当額)の返還を求める場合、AのBに対する債権は、契約に基づいて発生する。 | × |
3 | H09-03-3 | Aは、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。 | ◯ |
4 | H09-07-1 | A所有の不動産の登記がB所有名義となっているため固定資産税がBに課税され、Bが自己に納税義務がないことを知らずに税金を納付した場合、Bは、Aに対し不当利得としてその金額を請求することはできない。 | × |
5 | H09-07-2 | 建物の所有者Aが、公序良俗に反する目的でその建物をBに贈与し、その引渡し及び登記の移転が不法原因給付である場合、AがBに対しその返還を求めることはできないが、その建物の所有権自体は引き続きAに帰属する。 | × |
6 | H09-07-3 | Cは、A所有のブルドーザーを賃借中のBから依頼されて、それを修理したが、Bが倒産したため修理代10万円の取立てができない場合、ブルドーザーの返還を受けたAに対し不当利得として10万円の請求をすることができる。 | ◯ |
7 | H09-07-4 | 土地を購入したAが、その購入資金の出所を税務署から追及されることをおそれて、Bの所有名義に登記し土地を引き渡した場合は不法原因給付であるから、Aは、Bに対しその登記の抹消と土地の返還を求めることはできない。 | × |
4 正しい
留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる(民法299条1項)。
この費用償還請求権は、賃借している建物という物に関して生じた債権である。したがって、その必要費のためにも留置権を行使することができる(同法295条1項本文)。
■参照項目&類似過去問
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賃借人による費用の償還請求(民法[26]4(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
必要費 |
1 | 27-03-2 | 借主は、賃貸借契約では、貸主の負担に属する必要費を支出したときは、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
2 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
3 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
4 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
5 | 03-13-2 | 借主は、貸主の負担すべき必要費を支出したときは、直ちに、貸主に対しその償還を請求することができる。 | ◯ |
6 | 01-06-2 | 建物が老朽化してきたため、借主が貸主の負担すべき必要費を支出して建物の修繕をした場合、借主は、貸主に対して、直ちに修繕に要した費用全額の償還を請求することができる。 | ◯ |
有益費 |
1 | 03-13-3 | Aは、有益費を支出したときは、賃貸借終了の際、その価格の増加が現存する場合に限り、自らの選択によりその費した金額又は増加額の償還を請求することができる。 | × |
留置権(民法[14]1(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
目的物 |
1 | 21-05-3 | 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。 | × |
内容 |
1 | R03-01-1 | 賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもって家屋につき留置権を取得する余地はない。 | ◯ |
2 | 25-04-1 | 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。 | × |
3 | 25-04-2 | 不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。 | × |
4 | 25-04-3 | 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。 | × |
5 | 25-04-4 | 建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。 | ◯ |
6 | 21-05-4 | 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。 | × |
7 | 19-07-2 | 建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。 | × |
8 | 17-05-4 | 不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。 | × |
9 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
10 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
11 | 09-03-3 | 賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。 | ◯ |
12 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
13 | 03-07-1 | 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。 | ◯ |
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家坂さま
初めて質問させていただきます。宜しくお願い致します。
肢2では「債務不履行による建物賃貸借契約を解除された後に支出した必要費」の場合でした。
では、賃借人が賃貸借中に必要費を支出して、その償還を受けるまでの間に、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除されてしまった場合、費用償還請求権がなければ賃借人は直ちに建物を返還しなければならないところ、費用償還請求権があるため、肢3や4で設定されているような「留置権に基づき建物の返還を拒否できる」と考えてよろしいのでしょうか。
宅建試験対策とは関わりのない疑問かもしれません。場違いな質問でしたら、放置してください。
(宅建の学習をしていて、常々、民法の考え方をしっかり身に付けたいと思っていて、このような疑問を持った次第です)
何でも独学習様
ご質問ありがとうございます。
「留置権に基づく占有」と「賃貸借契約の解除」の話がゴッチャになっているように思います。
「建物賃借中に建物の修繕のため必要費を支出」した肢1の事例では、必要費を支出した時点で、費用償還請求権を被担保債権とする留置権が成立しています。
この時点で、Aは、「留置権」を根拠にこの建物を「占有」する権利を得ているわけです。
この「留置権」は、「(被担保)債権の弁済を受けるまで」行使することができます。つまり、Aは、賃貸人が必要費を償還するまで、この建物を合法的に占有することが可能です。
※一方で、Aは、占有(居住)により不当利得を得ています。この利益(賃料相当額)は、賃貸人に返還する義務を負います。このことは肢3で説明した通りです。
以上のように考えると、ご質問中の「償還を受けるまでの間に、自らの債務不履行により賃貸借契約を解除されてしまった場合」というのが、想像しにくいケースであることが分かります。
Aの建物占有は、留置権に基づく合法なものです。「占有」することは債務不履行には当たらないのですから、これを理由に賃貸借契約を解除することはできません。
家坂さま
お忙しい中ご返信くださいまして有難うございました。
最初の私の質問の仕方が言葉足らずで、疑問の核心を上手くお伝えできていなかったようです。申し訳ありません。
私自身は、「債務不履行による賃貸借の解除」については家賃の滞納などによるものを想定しておりました。
というのは、必要費の償還請求は、608条によれば、「直ちに」できるのですよね。なので、借主が賃貸借契約中(例えば2年契約の1年目の頃)に必要費を支出した場合、その支払いを大家に即座に請求できるのですよね。
借主は、必要費の償還を請求したが、大家からの償還がないまま、賃貸借契約に基づいて普通に家賃を払って生活していたという状況があったとします。
ところが、突発的な事情により、家賃を滞納することになってしまい、そのことを持って大家から債務不履行による賃貸借契約解除をされてしまったら・・・というような場合を意図していました。
実際には、1回程度の家賃滞納で解除されるのは稀なのだと思いますが、理論上は、このような想定が可能かと存じます。
こうした状況の場合、「留置権に基づき建物の返還を拒否」できる場合に含まれるのか、と考えた次第です。
そもそも、賃貸借契約中は契約に基づいて建物の占有は当然にできるし、返還しなければならない状況でもないから、「留置権に基づき建物の返還を拒否している状況」というのがピンと来ませんでした。
自分なりに、賃貸借契約の期間が終了して契約更新はしないけれど、必要費の償還がなされていないから建物を留置する、というのはあるのかな、とは思いました。
さらに、肢2と絡めて、これが仮に必要費償還請求権を得ている借主が、一方で賃貸借契約を債務不履行で解除されてしまって直ぐに退去しろと言われているような状況でも、留置権を主張できるのかな、というように疑問が進んでいきました。
実際には、家賃滞納と必要費との相殺なども考えられるのかもしれません。
すみません、すっかり宅建過去問対策から逸れてしまいました。
独習が趣味ですので、自分で答えを見つけていくことにします。ともかく、不動産関連は民法の知識がとても重要と改めて理解できました。
長々と申し訳ありません。
お手数おかけして申し訳ありませんでした。
ありがとうございました。
追伸です。
↑上のコメントで「肢2と絡めて」と書いたのですが、言葉足らずの様に思いましたので、もう少し説明させてください。
肢2の判例のケースは、不法な占有中に必要費を支出したからといって、その償還請求権のための留置権は生じない、ということと理解しております。
この事例を少し変えて、賃貸借契約に基づく占有中に必要費を支出している、つまり、借主の家主への償還請求権は合法的に取得したもので、ただ、その後に、借主の家賃滞納などで賃貸借契約が解除されて・・・、といった時系列の場合なら、償還請求権は合法的に得ているのだから、そのための留置権は認めてもらえるのかどうか、ということであります。
再度お邪魔して申し訳ありません。
お読みくださり有難うございました。
↑
ということは、結局、当初の質問と同じですよね。
であれば、私の回答も当初の通りです。改めて引用すれば、以下の部分です。
賃貸人が必要費を償還するまで、賃借人Aは、留置権を行使することができます。