【宅建過去問】(平成16年問07)相隣関係


次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

  1. 土地の所有者は、隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。
  2. 土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用をもって、境界標を設置することができる。
  3. 土地の所有者は、隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できることはない。
  4. 土地の所有者は、隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できる。

正解:3

1 正しい

隣地から雨水が自然に流れてくることを妨げることはできない(民法214条)。

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年-問-肢内容正誤
1R05-02-3相隣者の一人は、相隣者間で共有する障壁の高さを増すときは、他方の相隣者の承諾を得なければならない。×
2R03s-02-2隣接する土地の境界線上に設けた障壁は、相隣者の共有に属するものと推定される。
3R03s-02-3高地の所有者は、その高地が浸水した場合にこれを乾かすためであっても、公の水流又は下水道に至るまで、低地に水を通過させることはできない。×
4R03s-02-4土地の所有者が直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根を設けた場合、隣地所有者は、その所有権に基づいて妨害排除又は予防の請求をすることができる。
5H16-07-1土地の所有者は、隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。

2 正しい

土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる(民法223条)。

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境界標(民法[09]4)
年-問-肢内容正誤
1R03s-02-1土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
216-07-2土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用をもって、境界標を設置することができる。
311-02-2土地所有者は隣地の所有者と共同の費用で境界標を設置することができ、設置工事の費用は、両地の広さに応じて分担する。×

3 誤り

隣地の竹木の枝が境界線を越えてきたときは、竹木の所有者に、その枝を切除させることができる(民法233条1項)。しかし、竹木所有者の承諾がない限り、原則として、A自らがその枝を切ることは許されない。例外的に、以下の場合は、Aが自ら切除することができる(同条3項)。

  1. 竹木所有者に催告したのに、相当期間内に切除しない
  2. 竹木所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない
  3. 急迫の事情がある

このような例外がある以上、「自らこれを切除できることはない」と言い切る本肢は誤り。

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竹木の枝・根(民法[09]5)
年-問-肢内容正誤
1R05-02-2土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者にその枝を切除させることができるが、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。×
2H21-04-3土地所有者Aの隣地の竹木の枝が境界線を越えてもAは原則として竹木所有者の承諾なくその枝を切ることはできないが、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、Aはその根を切り取ることができる。
3H16-07-3土地の所有者は、隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できることはない。×
4H16-07-4土地の所有者は、隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できる。
5H11-02-3隣地の竹木の根が境界線を越えて侵入している場合は、これを竹木の所有者に切り取るように請求することができるが、自分で切り取ることはできない。×

4 正しい

隣地から竹木の根が境界を越えて伸びてきた場合、これを切断することができる(民法233条4項)。

■参照項目&類似過去問
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竹木の枝・根(民法[09]5)
年-問-肢内容正誤
1R05-02-2土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者にその枝を切除させることができるが、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。×
2H21-04-3土地所有者Aの隣地の竹木の枝が境界線を越えてもAは原則として竹木所有者の承諾なくその枝を切ることはできないが、隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、Aはその根を切り取ることができる。
3H16-07-3土地の所有者は、隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できることはない。×
4H16-07-4土地の所有者は、隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは、自らこれを切除できる。
5H11-02-3隣地の竹木の根が境界線を越えて侵入している場合は、これを竹木の所有者に切り取るように請求することができるが、自分で切り取ることはできない。×

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【宅建過去問】(平成16年問07)相隣関係” に対して2件のコメントがあります。

  1. とここ より:

    民法233条改正で、
    「次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
    一 竹木の所有者に切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
    二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
    三 急迫の事情があるとき。」 と、ありますが、
    上記が宅建試験に反映されるのは、2023年の試験からでしょうか?

    1. 家坂 圭一 より:

      とここさん

      ご質問ありがとうございます。

      相隣関係や共有に関する民法改正法の施行は、令和5年4月1日でした。
      したがって、令和5年の宅建本試験から出題対象になります。

      当社の教材でいうと、[Step.1]基本習得編、[Step.2]実戦応用編は、すでにこの改正に対応しています。安心してご利用ください。
      [Step.3]年度別過去問についても、今月中には改訂版を公開します。もうしばらくお待ちください。

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