■講義編■民法[18]保証・連帯保証

AがBに100万円を貸した場合、Bがその100万円を返済する義務を負います。しかし、Bに十分な信頼がない場合、Aはお金を貸してくれません。このような場合に利用されるのが「保証」というシステムです。
保証人Cは債権者Aと契約し、「Bが返済しない場合には、代わりに自分が返済する。」ことを約束します。さらに、連帯保証ということになれば、保証人の責任は一層重くなります。

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1.保証とは

(1).保証の構造
(2).保証契約の成立
①契約当事者
②要式契約

書面で契約しないと無効

★過去の出題例★

保証契約の成立(民法[18]1(2))
年-問-肢内容正誤
契約当事者
1H22-08-1保証人となるべき者が、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。
要式契約
1R07-02-1[個人であるAが、①賃貸人Bと賃借人Cとの間の期間を2年とする居住用甲建物の賃貸借契約に基づくCの一切の債務の連帯保証契約をBと締結した場合、②売主Dと買主Eとの間の居住用乙建物の売買契約に基づく代金支払債務の保証契約をDと締結した場合]
①の連帯保証契約は書面によってしなければ無効であるのに対し、②の保証契約は書面によらず、口頭で契約を締結しても有効である。
×
2R02-02-1ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、口頭による合意でも有効であるが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。×
3H27-01-2事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする個人が、契約締結の日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となる。
4H24-03-3保証契約は、書面でしなければその効力を生じない。
5H22-08-2口頭での意思表示で保証契約が成立する。×
保証人の責任
1H25-07判決文の読み取り問題

2.保証契約の性質

(1).成立における付従性
①主たる債務が存在しない場合
②保証債務が存在しない場合
★過去の出題例★

保証契約:成立における付従性(民法[18]2(1))
年-問-肢内容正誤
1H20-06-4AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。DE間の契約が無効であった場合はFが、DF間の契約が無効であった場合はEが、それぞれ1,000万円の債務を負う。×
2H06-09-2BのCに対する債務が条件不成就のため成立しなかった場合、Aは、Cに対して保証債務を負わない。

(2).内容における付従性
①主たる債務者に生じた事由

保証人にも効力を及ぼす(絶対効)

★過去の出題例★

主たる債務者について生じた事由(民法[18]2(2)①②)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
BがAに対して負う1,000万円の債務について、Cが保証人となっている。
免除
1H20-06-1Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。
×
時効完成
1H20-06-3Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。
×
履行の請求
1H20-06-2Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及ぶが、Cに対して履行を請求した効果はBに及ばない。
2H15-07-4Cの保証債務にBと連帯して債務を負担する特約がない場合、Bに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、Cに対してもその効力を生ずる。
3H07-03-3AがBに対して訴訟により弁済を求めた場合、Cの債務についても、時効の完成が猶予される。
4H02-07-2AのBに対する履行の請求は、Cに対しては効力を生じない。×
債務の承認
1H16-06-4Bが債務を承認して時効が更新された場合にはCの保証債務に対しても時効更新の効力を生ずる。
主たる債務者の債権による相殺
1H06-09-4AがCに対して直接1,000万円の支払を求めて来ても、BがAに 600万円の債権を有しているときは、Cは、600万円の範囲で債務の履行を拒むことができるため、 400万円を支払えばよい。

②主たる債務者の有する抗弁・権利
(a).主たる債務者の有する抗弁

保証人も行使◯

(b).主たる債務者の有する相殺権・取消権・解除権

保証人は債務の履行を拒絶◯

③保証人に生じた事由
原則相対効(主債務者に効力を及ぼさない)
【例外】弁済(代物弁済・供託・相殺)絶対効(主債務者に効力を及ぼす)
④保証債務の範囲
(a).保証債務の範囲
  1. 主たる債務
  2. 従たる全ての債務(利息・違約金・損害賠償など)
(b).主たる債務に変化があった場合
主たる債務保証債務
軽減軽減される
加重加重されない
(3).随伴性

主たる債務者に対する債権を譲渡した場合
→保証債務も移転する

(4).補充性
①催告の抗弁権

債権者が保証人に債務の履行を請求した場合
→保証人は、まず主債務者に催告するよう請求できる

②検索の抗弁権

保証人が主債務者に弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合
→債権者は、まず主債務者の財産について執行をしなければならない

★過去の出題例★

保証契約:補充性(催告・検索の抗弁権)(民法[18]2(4))
年-問-肢内容正誤
1R07-02-2[個人であるAが、①賃貸人Bと賃借人Cとの間の期間を2年とする居住用甲建物の賃貸借契約に基づくCの一切の債務の連帯保証契約をBと締結した場合、②売主Dと買主Eとの間の居住用乙建物の売買契約に基づく代金支払債務の保証契約をDと締結した場合]
①のBがAに対して連帯保証債務の履行を請求してきた場合には、AはまずCに請求するように主張できるのに対し、②のDがAに対して保証債務の履行を請求してきた場合には、AはまずEに請求するように主張することはできない。
×
2H22-08-3連帯保証ではない場合の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を債権者に請求できる。 ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明であるときは、この限りでない。
3H15-07-2連帯の特約がない保証人の場合、債権者が保証債務の履行を請求してきても、保証人は、主債務者に弁済の資力があり、かつ、執行が容易であることを証明することによって、債権者の請求を拒むことができる。

3.連帯保証

(1).催告・検索の抗弁権なし

債権者が連帯保証人に債務の履行を請求した場合
→連帯保証人は、応じなければならない

★過去の出題例★

連帯保証:催告・検索の抗弁権(民法[18]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R07-02-2[個人であるAが、①賃貸人Bと賃借人Cとの間の期間を2年とする居住用甲建物の賃貸借契約に基づくCの一切の債務の連帯保証契約をBと締結した場合、②売主Dと買主Eとの間の居住用乙建物の売買契約に基づく代金支払債務の保証契約をDと締結した場合]
①のBがAに対して連帯保証債務の履行を請求してきた場合には、AはまずCに請求するように主張できるのに対し、②のDがAに対して保証債務の履行を請求してきた場合には、AはまずEに請求するように主張することはできない。
×
2R02-02-3ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)及びケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約がいずれも連帯保証契約である場合、BがCに債務の履行を請求したときはCは催告の抗弁を主張することができるが、DがEに債務の履行を請求したときはEは催告の抗弁を主張することができない。×
[共通の設定]
BがAに対して負う1,000万円の債務について、Dが連帯保証人となっている。
3H15-07-1Dの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、AがDに対して保証債務の履行を請求してきても、DはAに対して、まずBに請求するよう主張できる。
×
4H10-04-1Aは、自己の選択により、B及びDに対して、各別に又は同時に、1,000万円の請求をすることができる。
5H10-04-2Dは、Aからの請求に対して、自分は保証人だから、まず主たる債務者であるBに対して請求するよう主張することができる。
×
6H05-04-1Aは、1,000万円の請求を、B・Dのうちのいずれに対しても、その全額について行うことができる。
7H05-04-3DがAから請求を受けた場合、DがBに執行の容易な財産があることを証明すれば、Aは、まずBに請求しなければならない。
×

(2).一方に生じた事由の他方への影響
①主債務者に生じた事由

→連帯保証人に影響(絶対効)
付従性による(⇒2(2)①)

②連帯保証人に生じた事由

連帯債務に関する規定を準用(⇒[17]4)

(a).絶対効が生じる場合

【例】弁済・更改・混同

(b).相対効が生じる場合

【例】免除・時効完成

★過去の出題例★

連帯保証人について生じた事由(民法[18]3(2)②)
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
BがAに対して負う1,000万円の債務について、Dが連帯保証人となっている。
免除
1H20-06-1Aが、Bに対して債務を免除した場合にはDが、Dに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。
×
2H16-06-2AがDに対して連帯保証債務の全額を免除すれば、Bも債務の全額を免れる。
×
時効の完成
1H20-06-3Bについて時効が完成した場合にはDが、Dについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ全額の債務を免れる。
×
履行の請求
1H20-06-2Aが、Bに対して履行を請求した効果はDに及ぶが、Dに対して履行を請求した効果はBに及ばない。
2H15-07-3Dの保証債務がBとの連帯保証債務である場合、Dに対する履行の請求による時効の完成猶予は、Bに対してはその効力を生じない。
3H10-04-3AがDに対して請求の訴えを提起することにより、Bに対する関係でも消滅時効の完成が猶予されることになる。
×
4H07-03-1AがDに対して訴訟により弁済を求めた場合、Bの債務についても、時効の完成が猶予される。
×
5H02-07-3AのDに対する履行の請求は、Bに対しては効力を生じない。

4.求償

(1).求償とは
★過去の出題例★

保証:求償(民法[18]4(1))
年-問-肢内容正誤
1R02-07-3委託を受けた保証人が主たる債務の弁済期前に債務の弁済をしたが、主たる債務者が当該保証人からの求償に対して、当該弁済日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2R02-07-4委託を受けた保証人は、履行の請求を受けた場合だけでなく、履行の請求を受けずに自発的に債務の消滅行為をする場合であっても、あらかじめ主たる債務者に通知をしなければ、同人に対する求償が制限されることがある。
[共通の設定]
BがAに対して負う1,000万円の債務について、Dが連帯保証人となっている。
3H18-07-1Dが、Aに対して債権全額につき保証債務を履行した場合、その全額につきBに対する求償権を取得する。
4H16-06-3Dが1,000万円を弁済した場合にも、Dは500万円についてのみBに対して求償することができる。
×

(2).弁済による代位
(3).連帯保証人が2人いる場合
①分別の利益なし

連帯保証人各自が債務全額につき保証債務を負う

②連帯保証人間の求償

連帯保証人の一方が債務全額を弁済した場合
→他の連帯保証人に半額の求償ができる

★過去の出題例★

連帯保証人が2人いる場合(民法[18]4(3))
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
BがAに対して負う1,000万円の債務について、D及びEが連帯保証人となっている。
分別の利益なし
1H22-08-4連帯保証人が2人いる場合、連帯保証人間に連帯の特約がなくとも、連帯保証人は各自全額につき保証責任を負う。
2H05-04-2DがAから1,000万円の請求を受けた場合、Dは、Aに対し、Eに500万円を請求するよう求めることができる。
×
連帯保証人間の求償
1H18-07-2Dが、Aに対して債権全額につき保証債務を履行した場合、その半額につきEに対する求償権を取得する。
2H05-04-4Dが1,000万円をAに弁済した場合、Dは、Bに対して求償することができるが、Eに対して求償することはできない。
×

5.特殊な保証契約

(1).個人根保証契約
①個人根保証契約とは
1一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約)
2保証人が個人である
個人根保証契約(民法[18]5(1)①
②有効要件

極度額を定めないと無効

(2).事業関連債務の個人保証契約
①事業関連債務の個人保証契約とは
  1. 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約
    主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約
  2. 保証人が個人である
②有効要件

保証意思宣明公正証書による意思表示

  1. 保証契約締結の日前1か月以内に作成
  2. 保証債務を履行する意思を表示する公正証書
③例外
主たる債務者保証人
1法人法人の理事・取締役・執行役
2法人株主議決権の過半数を有する者
3個人共同して事業を行う者
4個人事業に従事している配偶者
★過去の出題例★

特殊な保証契約(民法[18]5)
年-問-肢内容正誤
1R07-02-3[個人であるAが、①賃貸人Bと賃借人Cとの間の期間を2年とする居住用甲建物の賃貸借契約に基づくCの一切の債務の連帯保証契約をBと締結した場合、②売主Dと買主Eとの間の居住用乙建物の売買契約に基づく代金支払債務の保証契約をDと締結した場合]
①の連帯保証契約は保証の限度額である極度額を定めなければ無効であるのに対し、②の保証契約は極度額を定める必要はない。
2R02-02-2ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、Cが個人でも法人でも極度額を定める必要はないが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、Eが個人でも法人でも極度額を定めなければ効力を生じない。
×
3R02-02-4保証人が保証契約締結の日前1箇月以内に公正証書で保証債務を履行する意思を表示していない場合、ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)のCがAの事業に関与しない個人であるときはケース①の保証契約は効力を生じないが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は有効である。
4H27-01-イ事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする者が、契約締結の日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となる。

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■講義編■民法[18]保証・連帯保証” に対して4件のコメントがあります。

  1. T510 より:

    家坂先生ご回答ありがとうございました。

    要するに、保証人が行った主債務を消滅させるための行為については、絶対効が働くということですね。
    そうしますと、絶対効が働くものとしては、「弁済(代物弁済・供託・相殺)」の他にはないということですか?

    1. 家坂 圭一 より:

      その通りです。
      保証人(連帯保証人以外)について生じた事由が主たる債務者に効力を及ぼすのは、主たる債務を消滅させる事由に限られます。
      具体的には、弁済・代物弁済・供託・相殺などの事由です。

      連帯保証人については、これに加えて、連帯債務に関する規定が準用されます(民法458条)。

  2. T510 より:

    保証債務の絶対効が生じる場合とは、弁済(代物弁済、供託、相殺)に限られるのですか?
    また、その根拠は条文に書かれているのですか、それとも理論的に導かれるものなのですか?

    1. 家坂 圭一 より:

      T510さん

      久しぶりのご質問ありがとうございます。

      T510さんのいう「保証債務の絶対効」というのは、
      「保証人に生じた事由の主たる債務者に対する効果」
      と意味だと思います。
      つまり、2(2)③に関する質問ですね。

      保証人に何らかの事由が生じても、それは主たる債務者には何の影響も与えません。つまり、相対効が原則です。

      ただし、主たる債務が消滅すれば、付従性により、保証債務も消滅します。
      主たる債務者が借金を全額返済したのに、保証人が何らかの義務を負うはずがないからです。
      代物弁済、供託、相殺についても、主たる債務が消滅するという点では同じことです。

      「その根拠」を具体的にいうとすれば、「保証債務の付従性」ということになります。

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