■講義編■民法[17]連帯債務


AがB・C・Dの3人に300万円を貸した場合、B・C・Dがそれぞれ100万円ずつ返済義務を負うのが原則です(分割債務)。
しかし、「連帯して返済する。」という特約をした場合には、話が違います。Aが合計300万円の返済を受けるまで、B・C・Dとも債務を負い続けるのです。
例えば、Bが100万円を返済したとしましょう。この場合でも、残り200万の返済について、C・Dだけでなく、Bも返済の義務を負います。このような債務を連帯債務と呼びます。

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1.連帯債務とは

(1).債務者が単独のケース

AがBに300万円を貸し付けた。

(2).債務者が複数のケース(分割債務)

AがB・C・Dの3人に300万円を貸し付けた。

(3).連帯債務のケース

AがB・C・Dの3人に300万円を貸し付けた。
B・C・Dは、この債務を連帯して負担するという特約をした。

★過去の出題例★

連帯債務とは(民法[17]1)
年-問-肢内容正誤
123-10-2借入金債務のある債務者が養子縁組をした場合、その養子は、債務者と連帯して返済の責任を負う。×
213-04-2連帯債務者の一人は、債権者から全額請求されても、負担部分だけ支払えばよい。×

2.外部関係(債権者と連帯債務者の関係)

(1).履行請求の方法

債権者に任せられている
★過去の出題例★

連帯債務:履行請求の方法(民法[17]2(1))
年-問-肢内容正誤
116-06-1債権者は、連帯債務者に対し、それぞれ負担部分の範囲でしか請求できない。×
213-04-1債権者は、連帯債務者の一人に全額請求した場合、他の連帯債務者には全く請求することができない。×
308-04-1債権者は、連帯債務者のそれぞれに対して、同時に、代金全額の支払いを請求できる。
(2).法律行為の無効等

連帯債務
=各自が独立の債務を負う
→一人の債務者に無効・取消原因があっても、他の債務者には影響しない。
★過去の出題例★

連帯債務:法律行為の無効等(民法[17]2(2))
年-問-肢内容正誤
[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
120-06-4AB間の契約が無効であった場合にはCが、AC間の契約が無効であった場合にはBが、それぞれ1,000万円の債務を負う。
201-10-2契約を締結する際、Aに錯誤があって、AC間の契約を取り消すことができる場合であったとしても、Bは、BC間の契約を取り消すことができない。

3.内部関係(連帯債務者同士の関係)

(1).負担部分

連帯債務者の内部で決めた最終的な負担割合

(2).求償

連帯債務者の1人が弁済をした場合に、それを精算すること

★過去の出題例★

連帯債務者間の求償権(民法[17]3(2))
年-問-肢内容正誤
129-08-4(A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている。)CがDに対して100万円を弁済した場合は、Cの負担部分の範囲内であるから、Cは、A及びBに対して求償することはできない。
×
216-06-3連帯債務者の一人が、債務全額を弁済した場合、他の連帯債務者に対し、その負担部分につき求償できる。
313-04-3連帯債務者の一人が、債務全額を弁済した場合、他の債務者に対し、その負担部分と支払日以降の法定利息を求償できる。

4.連帯債務者の一人に生じた事由

(1).絶対効・相対効


★過去の出題例★

連帯債務者の一人に生じた事由(相対的効力の原則)(民法[17]4(4))

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1H08-04-4Aが、本件金銭消費貸借契約を解除する意思表示をBに対してした場合、その効力はCにも及ぶ。
×
2H03-06-2AがBに対して期限の猶予をしたときは、Cの債務についても、期限が猶予される。
×
(2).絶対効が生じる場合
①弁済(代物弁済・供託・相殺)

②更改

債務の要素を変更する契約をすること

③混同

債権者=債務者となること

★過去の出題例★

連帯債務者の一人に生じた事由(混同)(民法[17]4(2)③)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1H01-10-4Aが死亡し、Bがその相続人としてその代金債権を承継しても、Cの貸金返済債務は、消滅しない。
×
④当事者の合意がある場合

①~③以外について絶対効とすることも可能

(3).相殺
①本人が相殺を援用した場合

絶対効(弁済と同じ効果。⇒(2)①)

②本人が相殺を援用しなかった場合

他の連帯債務者
→負担部分の範囲で履行拒絶できる
×代わりに相殺を援用


★過去の出題例★

連帯債務者の一人に生じた事由(相殺)(民法[17]4(3))

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1R03-02-2BがAに対して1,000万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に1,000万円の支払の請求を受けたCは、BのAに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。×
2H29-08-2Bが、Aに対する債務と、Aに対して有する200万円の債権を対当額で相殺する旨の意思表示をAにした場合、CのAに対する連帯債務も200万円が消滅する。
3H13-04-4Aから請求を受けたBは、Cが、Aに対して有する債権をもって相殺しない以上、Cの負担部分についても、Bが債務の履行を拒むことはできない。
×
(4).相対効が生じる場合
①免除


★過去の出題例★

連帯債務者の一人に生じた事由(免除)(民法[17]4(4)①)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。

年-問-肢内容正誤
1R03-02-3AがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、AはBに対して、弁済期が到来した1,000万円全額の支払を請求することができる。
2H20-06-1Aが、Bに対して債務を免除した場合にはCが、Cに対して債務を免除した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。
×
3H16-06-2AがBに対して債務の全額を免除しても、CはAに対してなお1,000万円の債務を負担している。
4H08-04-3Aが、Bに対して代金債務の全額の免除をした場合でも、Cに対して代金全額の支払いを請求することができる。
②時効完成


★過去の出題例★

連帯債務者の一人に生じた事由(時効完成)(民法[17]4(4)②)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。

年-問-肢内容正誤
1H29-08-3Bのために時効が完成した場合、CのAに対する連帯債務も時効によって全部消滅する。
×
2H20-06-3Bについて時効が完成した場合にはCが、Cについて時効が完成した場合にはBが、それぞれ500万円分の債務を免れる。×
3H03-06-1Bの債務が時効により消滅したときでも、Cは、1,000万円全額を返済する債務を負う。
③履行の請求(⇒[06]5(2)③


★過去の出題例★

連帯債務者の一人に生じた事由(履行の請求)(民法[17]4(4)③)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1R03-02-1AがBに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、CがAに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。
2H29-08-1AがBに対して履行の請求をした場合、Cがそのことを知っていれば、Cについても、その効力が生じる。
×
3H20-06-2Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及ばす、Cに対して履行を請求した効果はBに及ばない。
4H08-04-2Aが、Bに対し代金の支払いを請求した場合、その効力はCには及ばない。
5H03-06-3AがBに対して貸金の返済を請求して、Aの貸金債権の消滅時効の完成が猶予されたときでも、Cの債務については、猶予されない。
6H02-07-4BとCが連帯債務を負う場合、AのBに対する履行の請求は、Cに対しては効力を生じない。
7H01-10-1AがBに対して代金支払いの請求をすると、Aの代金債権の消滅時効は、Cについても完成が猶予される。
×
④権利の承認(債務者の承認)(⇒[06]5(2)③

★過去の出題例★
連帯債務者の一人に生じた事由(権利の承認)(民法[17]4(4)④)

[共通の設定]
AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れた。
年-問-肢内容正誤
1H16-06-4Bが債務を承認して時効が更新されてもCの連帯債務の時効の進行には影響しない。
2H03-06-4Bが債務を承認して、Aの代金債権の消滅時効が更新されたときでも、Cの債務については、更新されない。
3H01-10-3BがAに対して債務を承認すると、Aの貸金債権の消滅時効は、Cについても更新される。
×

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■講義編■民法[17]連帯債務” に対して5件のコメントがあります。

  1. 名無しさん より:

    請求は相対効では?

    1. 家坂 圭一 より:

      名無し様

      御質問ありがとうございます。
      冒頭に

      のマークが付いているページは、法改正に対応していません。
      5月中には改訂を終える予定ですので、もうしばらくお待ちください。

      改訂完了時には、

      のマークに変更します。

    2. 家坂 圭一 より:

      名無し様

      お待たせしました。
      [17]連帯債務を法改正に対応させました。
      「請求」が「相対効」であることについては、4(4)③で説明しています。

      1. 名無し より:

        家坂先生、ご対応ありがとうございます。
        今後も、こちらのサイトで勉強を続けます!

        1. 家坂 圭一 より:

          名無し様

          御返信ありがとうございます。
          また、Webサイト【講義編】を御利用いただき、ありがとうございます。
          本日、全科目について、法改正対応を完了しました。
          引き続き、よろしくお願いします。

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