民法[25]危険負担

建物の売買契約を締結した後、引渡しまでの間に、売主の過失により建物が全焼した。このような場合は、売主の債務不履行(履行不能)の問題になります。
それでは、売主に過失がなかった場合には、どのように解決すべきでしょうか。例えば、隣の家からの延焼や落雷によって建物が燃えてしまった場合です。
この場合のリスクを売主と買主のどちらが負うのか、これが、危険負担という問題です。

1.危険負担とは

(1).宅建試験で出題される「危険負担」

契約締結後、引渡しまでの間に、
売買契約の目的物である建物が、
売主に帰責性(故意・過失)がないのに、
火災や地震などで滅失・損傷した場合、
買主は代金を支払わなければならないのか?

(2).具体例

2.他のシステムとの関係

(1).危険負担と原始的不能

①原始的不能

契約成立前に、目的物が滅失したケース
→契約は不成立

②後発的不能とは

契約成立後に、目的物が滅失・損傷したケース

(2).危険負担と債務不履行

①債務不履行

後発的不能のうち、売主(引渡請求権の債務者)に帰責性(故意又は過失)があるケース
→債務不履行責任(履行不能)(⇒[16]2(2)
→買主は、損害賠償請求(⇒[16] 3)・契約の解除(⇒[26]1(2))が可能

②危険負担

後発的不能のうち、売主(引渡請求権の債務者)に帰責性(故意又は過失)がないケース
→危険負担

3.解決方法

(1).結論

買主は代金全額を支払う必要がある

(2).物の一部が損壊した場合

代金全額の支払いが必要

4.特殊なケース

(1).買主に帰責性があるケース

【例】買主の失火により焼失

=買主の代金支払義務は、消滅しない
=代金を全額支払わなければならない

(2).引渡期限経過後に建物が滅失したケース


■履行不能(⇒[16]2(2))、契約の解除(⇒[26]1(2)

5.危険負担に関する特約

「引渡しの前に天災その他不可抗力により建物が滅失した場合、買主は、代金を支払う義務を負わない。」
→特約は有効
★過去の出題例★

民法[25]
危険負担
 年-問-肢内容正誤
129-07-2請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。
219-10-2売買契約の目的物である建物が、売主の責に帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、売主の債務不履行によって無効となる。×
319-10-3売買契約の目的物である建物が、買主の責めに帰すべき火災で滅失した場合、売主の建物引渡債務も、買主の代金支払債務も共に消滅する。×
419-10-4「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との特約がある場合、目的物が引渡し前に自然災害により滅失したときは、売主の建物引渡債務も、買主の代金支払債務も共に消滅する。
508-11-1代金の支払い及び建物の引渡し前に、建物が地震によって全壊したときは、売主は、買主に対して代金の支払いを請求することはできない。×
608-11-2代金の支払い及び建物の引渡し前に、建物の一部が地震によって損壊したときは、売主は、代金の額から損壊部分に見合う金額を減額した額であれば、買主に対して請求することができる。×
708-11-3売主が自己の費用で建物の内装改修工事を行って引き渡すと約束していた場合で、工事着手前に建物が地震で全壊したときは、売主は、内装改修工事費相当額を買主に対して償還しなければならない。
801-09-1家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が天災によって滅失した場合、売主は、買主に対し代金を請求することができない。×
901-09-2家屋の所有権移転登記後、引渡し前に、その家屋が放火によって半焼した場合、買主は、売主に対し代金の減額を請求することができる。×
1001-09-3所有権移転登記後、引渡し前に、売買契約の目的物である家屋が、売主の失火によって焼失した場合、その契約は失効する。×
1101-09-4所有権移転登記が完了し、引渡し期日が過ぎたのに、売主が売買契約の目的物である家屋の引渡しをしないでいたところ、その家屋が類焼によって滅失した場合、買主は、契約を解除することができる。
原始的不能
119-10-1売買契約の目的物である建物が、売買契約の成立前に契約当事者の責に帰すことのできない火災で滅失していた場合、売買契約は有効に成立するが、売主の建物引渡債務も、買主の代金支払債務も共に消滅する。×

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