【宅建過去問】(令和02年10月問05)委任契約
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- Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。
- Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。
- Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。
- Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。
正解:1
設定の確認
1 正しい
■履行の途中で委任が終了した場合
履行の途中で委任が終了した場合でも、受任者が報酬を請求できる場合があります。
●割合的報酬を請求できる場合
- 委任者に帰責事由がないのに委任事務が履行不能になったとき
- 委任が履行の中途で終了したとき
●報酬全額を請求できる場合(危険負担)
委任者の帰責事由によって、委任事務が履行不能になったとき
■本肢のケース
本肢では、委任の終了について、委任者Aに帰責事由があります。この場合、危険負担の考えかたで解決します。
債権者である委任者Aは、反対給付(報酬支払い)の履行を拒むことができません(民法536条2項前段)。Bの側から表現すれば、報酬全額を請求できることになります。
この場合において、債務者(受任者B)は、自己の債務を免れたことによって得た利益を債権者(委任者A)に償還する必要があります(同項後段)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-09-4 | AがBに対してA所有の甲建物を①売却又は②賃貸した。①と②の契約締結後、甲建物の引渡し前に、甲建物がEの放火で全焼した場合、①ではBはAに対する売買代金の支払を拒むことができ、②ではBとAとの間の賃貸借契約は経了する。 | ◯ |
2 | R02-05-1 | AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた。Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。 | ◯ |
3 | R01-08-3 | Aを注文者、Bを請負人とする請負契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。 | ◯ |
4 | 29-07-2 | 請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。 | ◯ |
[共通の設定] 本年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立した。 | |||
5 | 19-10-1 | 甲建物が同年8月31日時点でAB両者の責に帰すことができない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立するが、Aは甲建物を引き渡す債務を負わないものの、Bは代金の支払いを拒むことができない。 | × |
6 | 19-10-3 | 甲建物が同年9月15日時点でBの責に帰すべき火災により滅失した場合、Aは甲建物を引き渡す債務を負わず、Bは代金の支払いを拒むことができる。 | × |
7 | 19-10-4 | 甲建物が同年9月15日時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との取決めがある場合、Aは甲建物を引き渡す債務を負わず、Bは代金の支払いを拒むことができる。 | ◯ |
8 | 08-11-1 | 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物が地震によって全壊したときは、Bは、Aに対して代金の支払いを拒むことはできない。 | × |
9 | 08-11-2 | 代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物の一部が地震によって損壊したときは、Aは、代金の額から損壊部分に見合う金額を減額した額であれば、Bに対して請求することができる。 | × |
10 | 08-11-3 | Aが自己の費用で建物の内装改修工事を行って引き渡すと約束していた場合で、当該工事着手前に建物がBの責めに帰すべき火災で全焼したときは、Aは、内装改修工事費相当額をBに対して償還しなければならない。 | ◯ |
11 | 01-09-1 | 甲建物の所有権移転登記後、引渡し前に、甲建物が天災によって滅失した場合、Bは、Aに対し代金の支払いを拒むことができない。 | × |
12 | 01-09-2 | 甲建物の所有権移転登記後、引渡し前に、甲建物が放火によって半焼した場合、Bは、Aに対し代金の減額を請求することができない。 | × |
[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-05-1 | Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。 | ◯ |
2 | R02-05-3 | Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。 | × |
3 | H14-10-2 | Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。 | ◯ |
4 | H09-09-3 | Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責に帰すべからざる事由により本件管理委託契約が履行の中途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 | ◯ |
5 | H07-09-1 | Bは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。 | × |
2 誤り
委託の受任者は、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います(善管注意義務。民法644条)。
このことは、報酬を受ける場合でも、無報酬の場合でも、変わりがありません。「自己の財産に対するのと同一の注意」では不十分です。
■参照項目&類似過去問
内容を見る[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-05-2 | Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。 | × |
2 | H20-07-2 | 委託の受任者は、報酬を受けて受任する場合も、報酬で受任する場合も、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う。 | ◯ |
3 | H14-10-3 | Bが当該物件の価格の調査など善良な管理者の注意義務を怠ったため、不動産売買についてAに損害が生じたとしても、報酬の合意をしていない以上、AはBに対して賠償の請求をすることができない。 | × |
4 | H09-09-1 | Bが無償で本件管理を受託している場合は、「善良なる管理者の注意」ではなく、「自己の財産におけると同一の注意」をもって事務を処理すれば足りる。 | × |
3 誤り
(肢1の表参照。)
本肢では、履行途中で委任が終了し、その終了について、受任者Bに帰責事由があります。逆にいえば、委任者Aには、帰責事由がありません。委任者に帰責事由がないのに、委任事務が履行不能になった場合、受任者は、割合的報酬を請求することができます(民法648条3項1号)。
本肢は、「報酬を請求することができない」とする点が誤りです。
■参照項目&類似過去問
内容を見る[共通の設定]
Aが、A所有の不動産の売買をBに対して委任する。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-05-1 | Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。 | ◯ |
2 | R02-05-3 | Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で有償の委任契約が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。 | × |
3 | H14-10-2 | Bは、委任契約をする際、有償の合意をしない限り、報酬の請求をすることができないが、委任事務のために使った費用とその利息は、Aに請求することができる。 | ◯ |
4 | H09-09-3 | Aは、その所有する土地について、第三者の立入り防止等の土地の管理を、当該管理を業としていないBに対して委託した。Bが有償で本件管理を受託している場合で、Bの責に帰すべからざる事由により本件管理委託契約が履行の中途で終了したときは、Bは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。 | ◯ |
5 | H07-09-1 | Bは、Aとの間で特約がなくても、Aに対して報酬の請求をすることができる。 | × |
4 誤り
■委任の終了事由
次の事由が発生すると、委任契約は当然に終了します(民法653条)。
本肢では、受任者Bが死亡したわけですから、この時点で、委任契約は終了します。
■委任の終了後の処分
委任が終了した場合でも、急迫の事情があるときは、委任者(その相続人又は法定代理人)が委任事務を処理できるようになるまで、受任者(その相続人又は法定代理人)が必要な処分をする義務を負います(民法654条)。本肢でいえば、Aが自ら事務を処理できるようになるまで、Bの相続人が必要な処分をしなければなりません。
しかし、これは、「急迫の事情があるとき」に限ってのことです。本肢は、「急迫の事情の有無にかかわらず」とする点が誤りです。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03-03-ア | AがBとの間でB所有建物の清掃に関する準委任契約を締結していた場合、Aの相続人は、Bとの間で特段の合意をしなくても、当該準委任契約に基づく清掃業務を行う義務を負う。 | × |
2 | R02-05-4 | AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた。Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。 | × |
3 | 18-09-2 | 委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。 | ◯ |
4 | 18-09-3 | 委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う。 | × |
5 | 18-09-4 | 委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。 | ◯ |
6 | 13-06-1 | 委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する。 | ◯ |
7 | 09-09-4 | 有償の準委任契約は、受託者の死亡によって終了し、受託者の相続人はその地位を相続しない。 | ◯ |
8 | 07-09-3 | 委任者が死亡したとき、委託契約は終了するが、急迫の事情がある場合においては、受任者は、その管理業務を行う必要がある。 | ◯ |
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