【宅建過去問】(令和07年問06)物権変動

Aが所有している甲土地についての物権変動に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bが甲土地をAに無断でCに売却し、その後、BがAから甲土地を購入した場合、Cは、Bから甲土地を購入した時点に遡って甲土地の所有権を取得する。
  2. Dが甲土地につき、Aに無断でDへの虚偽の所有権の移転の登記をした上で、甲土地をEに売却してその旨の登記をした場合において、その後、AがFに甲土地を売却したときは、Fは、Eに対し、甲土地の所有権を主張することができる。
  3. Gが甲土地の所有権を時効取得した場合、Gはその後にAを単独相続したHに対して、登記を備えていなくても、甲土地の所有権を主張することができる。
  4. Aが甲土地上の立木の所有権を留保して甲土地をJに売却し、その後、JがKに甲土地及びその上の立木を売却した場合には、Aは、Kに対し、立木の所有権の留保につき登記又は明認方法を備えない限り、立木の所有権を主張することができない。

正解:1

1 誤り

A所有の甲土地を、BがCに売却するようなケースを他人物売買といいます。民法は、このような契約も契約として有効と扱っています(同法561条)。

しかし、この契約が有効だからといって、BC間で契約を締結しただけで、物の所有権がCに移転するわけではありません。他人物売買契約に基づき、Bは、Aから甲土地物を取得し、これをCに移転する義務を負うというだけのことです(同法561条)。
Cが甲土地の所有権を取得するのは、BがAから甲土地の所有権を取得した時点です(図の②売買契約。最判昭40.11.19)。
この選択肢は、「Bから甲土地を購入した時点に遡って」(図の①売買契約)とする点が誤っています。

■参照項目&類似過去問
内容を見る

他人物売買:有効性(民法[24]1(3)①)
年-問-肢内容正誤
1R07-06-1BがA所有の甲土地をAに無断でCに売却し、その後、BがAから甲土地を購入した場合、Cは、Bから甲土地を購入した時点に遡って甲土地の所有権を取得する。×
2R06-01-4他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。×
3H29-02-2Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。×
4H29-05-4Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく、Aの父親の所有物であったとしても、AC間の売買契約は有効に成立する。
5H21-10-3Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合には、AB間の売買契約は無効である。×
6H13-01-1A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている。Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。
7H11-10-1AからBが建物を買い受ける契約を締結した。この建物がCの所有で、CにはAB間の契約締結時からこれを他に売却する意思がなく、AがBにその所有権を移転することができない場合でも、AB間の契約は有効に成立する。
8H01-04-1売買契約の目的物である土地が第三者の所有であって、当該第三者に譲渡の意思がないときは、契約は無効となる。×

所有権の移転時期(民法[07]1)
年-問-肢内容正誤
1R07-06-1BがA所有の甲土地をAに無断でCに売却し、その後、BがAから甲土地を購入した場合、Cは、Bから甲土地を購入した時点に遡って甲土地の所有権を取得する。×
2H29-02-2Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。
×
3H29-02-3Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。
×
4H08-03-1Aの所有する土地について、AB間で、代金全額が支払われたときに所有権がAからBに移転する旨約定して売買契約が締結された。AからBへの所有権移転登記が完了していない場合は、BがAに代金全額を支払った後であっても、契約の定めにかかわらず、Bは、Aに対して所有権の移転を主張することができない。×

2 正しい

事例の経緯と論点の整理
■①A→Dへの所有権移転(?)

Dは、Aに無断で虚偽の登記をして、甲土地所有権の名義をAからDに移転させています。こんなことをしても、甲土地に関してDは単なる無権利者にすぎません。

■②D→Eへの所有権移転(?)

Eは、無権利者Dから登記の移転を受けています。しかし、そんなことをしても、甲土地の所有権を手に入れることはできません。結局、Eも、Dと同様に単なる無権利者です。

■③A→Fへの所有権移転

Fは、甲土地の所有権者Aとの間で、売買契約を締結しています。したがって、甲土地の所有者になったわけです。
しかし、甲土地の所有権の登記を名義は無権利者であるE!
登記上は所有権者でも実は無権利者にすぎないE。真の所有者だが登記のないF。
この優劣をどう決めるか、がテーマです。

「第三者」とは

対抗問題でいう「第三者」とは、登記がないことを主張する正当な利益を有する者をいいます。
Eは、実質上所有権を有せず登記簿上所有者として表示されているにすぎない架空の権利者です。一方、Fは、実体上の権利を取得しています。そのため、Eは、Fに対して、「登記がないからあなたには権利がない」と主張することができません(最判昭34.02.12)。
逆に、Fは、自分が登記を備えていなくても、Eに対して、甲土地の所有権を主張することができます。Eは、「第三者」に該当しないからです。

■参照項目&類似過去問
内容を見る

対抗問題:無権利者(民法[07]3(4))
年-問-肢内容正誤
1R07-06-2BがAが所有している甲土地につき、Aに無断でBへの虚偽の所有権の移転の登記をした上で、甲土地をCに売却してその旨の登記をした場合において、その後、AがDに甲土地を売却したときは、Dは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができる。
220-02-1土地の真の所有者は、無権利者からの譲受人で登記を有する者に対し、所有権を主張できる。
319-03-2登記を信頼した土地の譲受人は、真の所有者の過失の有無を問わず、所有権を取得できる。×
415-03-4二重譲渡の一方が通謀虚偽表示であり、仮装譲受人が登記を得たとしても、もう一方の譲受人は、所有権を主張できる。
513-05-1無権利者からの譲受人からさらに転得した者は、無権利の点につき善意であれば、所有権を真の所有者に対抗できる。×
608-05-2公序良俗違反の契約により、BがAから土地所有権を取得し登記をした。Bと売買契約を締結し、移転登記を受けたCは、Aに対し所有権を対抗できる。×
703-04-4土地の譲受人は、無権利者から土地を賃借し土地上の建物を登記した者に対し、土地の明渡しと建物収去を請求できる。

3 正しい

■①A→Gへの所有権移転(時効取得)

Gは、生前のAから、甲土地を時効取得しています。
時効取得については、AとGは当事者の関係です。第三者ではありませんから、Gは、Aに対して、登記を備えていなくても、所有権を主張することができます。

■②A→Hへの所有権移転(単独相続)

その後、Aは、死亡しましたが、Aの地位は、単独相続人Hに引き継がれています。つまり、A=Hと考えればいいわけです。そのため、GとHとは、時効取得の当事者同士の関係です。対抗関係ではありません(民法177条)。
したがって、Gは、登記を備えなくても、Hに対して、自らの所有権を主張することができます。

■参照項目&類似過去問
内容を見る

対抗問題:相続人と対抗関係(民法[07]2(4)①②)
年-問-肢内容正誤
1R07-06-3BがAが所有している甲土地の所有権を時効取得した場合、Bはその後にAを単独相続したCに対して、登記を備えていなくても、甲土地の所有権を主張することができる。
2R06-04-3Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約が締結された直後にAが死亡し、CがAを単独相続した。Bは、売買代金が支払い済みだったとしても、甲土地の所有権登記を備えなければ、Cに対して甲土地の引渡しを請求することはできない。×
3H17-08-1Aが所有地をBに譲渡した後死亡し単独相続人Cが所有権移転登記をした場合、Bは、所有権をCに対抗できない。×
4H17-08-2Aが所有地をBに譲渡した後死亡し単独相続人Cが所有権移転登記をした。その後、CがDに土地を売却しDがその旨登記すると、Bは、所有権をDに対抗できない。
5H15-12-2相続財産である土地につき、B、C及びDが持分各3分の1の共有相続登記をした後、遺産分割協議によりBが単独所有権を取得した場合、その後にCが登記上の持分3分の1を第三者に譲渡し、所有権移転登記をしても、Bは、単独所有権を登記なくして、その第三者に対抗できる。×
6H10-01-4Aから土地を取得したBは、Bが当該土地を取得した後で、移転登記を受ける前に、Aが死亡した場合におけるAの相続人に対し、所有権を主張できない。×
7H08-03-2売主が買主への所有権移転登記を完了する前に死亡した場合、買主は、売主の相続人に対して所有権の移転を主張することができる。

4 正しい

立木所有権の対抗要件~登記又は明認方法

山林では、土地自体の価値は低くても、生えている立木は超高額!ということがあります。
実際にも、立木は、土地とは別々の財産権として扱われています。

しかし、見た目からすると、立木は土地の定着物にしか見えません。別々の財産として取引をするならば、目に見える形でそのことを示す必要があります。
立木については立木ニ関スル法律という法律があって、その所有権を登記することができます。
また、登記の他に明認方法も対抗要件として認められています。具体的には、所有者の名を記載した金属プレートを貼り付けるとか、樹木の皮を剥いで記名する、という方法がとられています。

事例の経緯と論点の整理
■①A→Jの取引

Aは、甲土地上の立木の所有権を留保して甲土地をJに売却しました。
つまり、甲土地はJに売却するが立木の所有権はAの手元に残す、という取引をしたわけです。

■②J→Kの取引

Jは、Kに「甲土地及びその上の立木」を売却しました。
つまり、「立木込みの土地」として売却したわけです。

■対抗問題の解決

立木について、「自分が所有権を留保した」とするAと、「自分は立木込みの土地を購入した。」とするKの立場は、両立しません。つまり、対抗問題が起こっています。
となると、AがKに対して立木の所有権を主張するには、対抗要件が必要です。
立木の所有権に関する登記又は明認方法を備えなければ、Aは、Kに対して立木の所有権を主張することができません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る

対抗問題(複雑なケース)(民法[07])
年-問-肢内容正誤
1R07-06-4AがAが所有している甲土地上の立木の所有権を留保して甲土地をBに売却し、その後、BがCに甲土地及びその上の立木を売却した場合には、Aは、Cに対し、立木の所有権の留保につき登記又は明認方法を備えない限り、立木の所有権を主張することができない。
1H17-06-1BはAに対して自己所有の甲建物に平成15年4月1日に抵当権を設定し、Aは同日付でその旨の登記をした。Bは、平成15年2月1日に甲建物をCに期間4年の約定で賃貸し、同日付で引き渡していた。Cは、この賃貸借をAに対抗できる。
2H16-03-3Aは、自己所有の建物をBに売却したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。この建物がAとEとの持分1/2ずつの共有であり、Aが自己の持分をBに売却した場合、Bは、Eに対し、この建物の持分の取得を対抗できない。
3H15-03-3Aは、自己所有の甲地をBに売却し引き渡したが、Bはまだ所有権移転登記を行っていない。Eが、甲地に抵当権を設定して登記を得た場合であっても、その後Bが所有権移転登記を得てしまえば、以後、EはBに対して甲地に抵当権を設定したことを主張することができない。×
4H14-02-4Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結しようとしている。AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。×
5H09-06-3GがHに土地を譲渡した場合で、Hに登記を移転する前に、Gが死亡し、Iがその土地の特定遺贈を受け、登記の移転も受けたとき、Hは、登記なしにIに対して土地の所有権を主張できる。×
6H08-03-3Aの所有する土地について、AB間で、代金全額が支払われたときに所有権がAからBに移転する旨約定して売買契約を締結した。Aが、Bとの売買契約締結前に、Dとの間で本件土地を売却する契約を締結してDから代金全額を受領していた場合、AからDへの所有権移転登記が完了していなくても、Bは、Aから所有権を取得することはできない。×


>>令和07年の問題一覧へ

令和7年 宅建解答速報・解説

毎年好評の「解答速報」は、本試験当日18:07に終了しました。
「解説講義(動画)」も、【無料公開講座】では11月26日に全問分を公開しました。

現在は、解説文の執筆が進行中です。ご期待ください。
これらを収めた【無料公開講座】も開講中。本試験の振り返りのため、気軽に受講しましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です