10月
20
2013

【宅建過去問】(平成25年問04)留置権

【過去問本試験解説】発売中

留置権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

  1. 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。
  2. 不動産が二重に売買され、第2の買主が先に所有権移転登記を備えたため、第1の買主が所有権を取得できなくなった場合、第1の買主は、損害賠償を受けるまで当該不動産を留置することができる。
  3. 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。
  4. 建物の賃借人が建物に関して必要費を支出した場合、賃借人は、建物所有者ではない第三者が所有する敷地を留置することはできない。

正解:4

留置権とは、他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまで、その物を留置できるという権利である(民法295条1項)。例えば、自転車屋さんは、依頼された修理が完了したとしても、お客が修理代金を支払うまで自転車を返さないでいることができる。債権者にこのような権利を認めることにより、債務者の弁済を間接的に強制している。

1 誤り

留置権が成立するためには、「物に関して生じた債権」であることが必要である。これを物と債権の牽連(けんれん)性という。
本肢のケースでは、建物が「物」であり、造作買取請求権が「債権」にあたる。この両者に牽連性があるか、が問題である。
判例の考え方によれば、造作買取請求権(借地借家法33条1項)は造作について生じた債権に過ぎず、建物に関して生じたものではない(最判昭29.01.14)。つまり、物と債権との間に牽連性がない。したがって、賃借人は建物を留置することができない(最判昭29.07.22)。

■類似過去問(留置権)
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 年-問-肢内容正誤
目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
内容
125-04-1賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、建物を留置できる。×
225-04-2不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。×
325-04-3建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで建物を留置できる。×
425-04-4建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。
521-05-4留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。×
619-07-2建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。×
717-05-4不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。×
809-03-1建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
909-03-2建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。×
1009-03-3賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。
1109-03-4建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。
1203-07-1不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。

2 誤り

25-04-2

留置権が成立するためには、物と債権との間に牽連性が必要である(肢1参照)。
第一買主は、売主に対して損害賠償請求権を有しており、その担保のために、不動産を留置し、第二買主への引渡しを拒んでいる。つまり、不動産が「物」であり、損害賠償請求権が「債権」にあたる。
ここで、損害賠償請求権の債務者は売主であるのに対し、引渡請求権者は第二買主であり、両者は異なっている。すなわち、不動産を留置したからといって、債務者に債務の履行を強制する関係になっていない。このように物と債権に牽連性がない場合、留置権は成立しない。

判例も、「不動産の二重売買において、第2の買主のため所有権移転登記がされた場合、第1の買主は、第2の買主の所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約不履行に基づく損害賠償債権をもって、留置権を主張することは許されない」としている(最判昭43.11.21)。

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 年-問-肢内容正誤
目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
内容
125-04-1賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、建物を留置できる。×
225-04-2不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。×
325-04-3建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで建物を留置できる。×
425-04-4建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。
521-05-4留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。×
619-07-2建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。×
717-05-4不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。×
809-03-1建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
909-03-2建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。×
1009-03-3賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。
1109-03-4建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。
1203-07-1不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。

3 誤り

占有が不法行為によって始まった場合、留置権は成立しない(民法295条2項)。
本肢では、建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除されたのち、権原のないことを知りながらその建物を不法に占有する間に有益費を支出している。これは、「占有が不法行為によって始まった」のと類似したケースである。そこで、民法295条2項を類推適用し、「占有が不法行為によって始まった」と解釈する(最判昭46.07.16)。したがって、必要費の償還請求権に基づいて建物の留置権を行使することはできない。

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目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
内容
125-04-1賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、建物を留置できる。×
225-04-2不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。×
325-04-3建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで建物を留置できる。×
425-04-4建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。
521-05-4留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。×
619-07-2建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。×
717-05-4不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。×
809-03-1建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
909-03-2建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。×
1009-03-3賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。
1109-03-4建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。
1203-07-1不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。

4 正しい

■肢1のアプローチ
必要費は建物について生じた債権に過ぎず、敷地に関して生じたものではない。つまり、物と債権との間に牽連性がない。したがって、賃借人は敷地を留置することができない。

■肢2のアプローチ
必要費を償還すべき債務者(建物賃貸人)と引渡請求権を有する敷地所有者が別人である。したがって、留置権の行使を認めるべきではない。

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 年-問-肢内容正誤
目的物
121-05-3留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。×
内容
125-04-1賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、建物を留置できる。×
225-04-2不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。×
325-04-3建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで建物を留置できる。×
425-04-4建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。
521-05-4留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。×
619-07-2建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。×
717-05-4不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。×
809-03-1建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。
909-03-2建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。×
1009-03-3賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。
1109-03-4建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。
1203-07-1不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。

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Written by 家坂 圭一 in: 平成25年過去問,民法 |

3 Comments »

  • AI

    こちらのサイトに大変お世話になっているのですが平成25年は動画の解説はされていないのでしょうか?

    Comment | 2016/09/26
  • 家坂 圭一

    AI様

    講師の家坂です。
    当サイトを御利用いただき、ありがとうございます。

    さて、お問い合わせのあった、動画による解説ですが、
    平成16年度分〜平成27年度分
    を用意しています。

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    Comment | 2016/09/26
  • 家坂 圭一

    AI様

    講師の家坂です。
    平成16年~25年についても、Web上で動画講義を見られるようにしました。
    一問100円の有料となりますが、ぜひとも御利用下さい。

    動画の公開・非公開、有料・無料については、以下の記事を御覧下さい。
    http://e-takken.tv/%E5%8B%95%E7%94%BB%E8%A7%A3%E8%AA%AC/

    Comment | 2016/10/06

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