【宅建過去問】(平成20年問32)広告に関する規制
次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 新たに宅地建物取引業の免許を受けようとする者は、当該免許の取得に係る申請をしてから当該免許を受けるまでの間においても、免許申請中である旨を表示すれば、免許取得後の営業に備えて広告をすることができる。
- 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。
- 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときに取引態様の別を明示していれば、注文を受けたときに改めて取引態様の別を明らかにする必要はない。
- 宅地建物取引業者は、販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがある。
正解:4
1 誤り
宅建業の免許を受けていない者は、宅建業を営むことができません(宅建業法12条1項)。また、宅建業を営む旨の表示をしたり、宅建業の広告をしたりすることも禁止されています(同条2項)。
「免許申請中」であることを明示したとしても、広告ができるわけではありません。
■類似過去問
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無免許事業等の禁止(宅建業法[01]6(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-26-3 | 宅地建物取引業の免許を受けていない者が営む宅地建物取引業の取引に、宅地建物取引業者が代理又は媒介として関与していれば、当該取引は無免許事業に当たらない。 | × |
2 | R01-26-4 | 宅地建物取引業者の従業者が、当該宅地建物取引業者とは別に自己のために免許なく宅地建物取引業を営むことは、無免許事業に当たる。 | ◯ |
3 | 29-36-2 | Bは、新たに宅地建物取引業を営むため免許の申請を行った。この場合、Bは、免許の申請から免許を受けるまでの間に、宅地建物取引業を営む旨の広告を行い、取引する物件及び顧客を募ることができる。 | × |
4 | 26-27-4 | 免許申請中の者が広告を行った場合でも、売買契約の締結を免許取得後に行うのであれば、宅建業法に違反しない。 | × |
5 | 22-28-4 | 免許取得・供託完了後、供託届出前の広告は無免許事業。 | × |
6 | 20-32-1 | 「免許申請中」を明示すれば広告は可能。 | × |
7 | 15-30-4 | 宅建士Eが、E名義で賃貸物件の媒介を反復継続して行う場合、Eが宅地建物取引業者Fに勤務していれば、Eは免許を受ける必要はない。 | × |
8 | 07-37-2 | 宅建業の免許申請中の者は、免許を受けた場合の準備のためであれば、宅建業を営む予定である旨の表示をし、又は営む目的をもって広告をすることができる。 | × |
9 | 06-49-4 | 宅建業者が免許を取り消された場合でも、取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については、無免許事業の禁止規定に違反しない。 | ◯ |
10 | 04-49-4 | 宅建業者でない者は、宅建業の免許を受けないで宅建業を営んだ場合はもとより、その旨の表示をした場合も罰則の適用を受けることがある。 | ◯ |
2 誤り
宅地造成又は建物建築に関する工事の完了前においては、開発許可又は建築確認があった後でなければ、宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることができません(宅建業法33条)。
「許可等の申請をした」だけで、広告ができるわけではありません。
※自ら当事者として売買契約を締結したり、売買契約を代理又は媒介することも許されません(同法36条)。
■類似過去問
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広告開始時期の制限(宅建業法[09]2(1)(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-30-ア | 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。 | × |
2 | R01-30-エ | 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。 | × |
3 | 30-26-3 | 建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。 | × |
4 | 28-32-1 | 宅地の造成に当たり、工事に必要とされる許可等の処分があった宅地について、当該処分があったことを明示して、工事完了前に、当該宅地の販売に関する広告を行うことができる。 | ◯ |
5 | 28-32-2 | 新築マンションを分譲するに当たり、建築確認申請中であったため、「建築確認申請済」と明示して、広告を行い、建築確認を受けた後に売買契約を締結した。 | × |
6 | 27-37-2 | 建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として建物を販売する広告をすることができる。 | × |
7 | 27-37-3 | 建築確認を受けた後でなければ、建物の貸借の代理を行う旨の広告をしてはならない。 | ◯ |
8 | 26-30-1 | 建築確認前のマンションにつき、売買契約は締結できないが、広告をすることはできる。 | × |
9 | 25-32-ア | 建築確認前の賃貸住宅の貸主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
10 | 25-32-エ | 建築確認前の建売住宅の売主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
11 | 24-28-イ | 建築確認申請中の建物について、貸借の媒介の依頼を受けた場合、広告はできない。 | ◯ |
12 | 24-28-エ | 建築確認申請中である旨を表示すれば、広告ができる。 | × |
13 | 23-36-1 | 開発許可・建築確認を受けなければ、売買その他の業務の広告はできない。 | ◯ |
14 | 20-32-2 | 工事完了前は、開発許可・建築確認を申請した後でなければ、売買その他の業務の広告をしてはならない。 | × |
15 | 19-38-2 | 建築確認を受ける前においては、マンションの売買の広告も契約締結もできない。 | ◯ |
16 | 19-38-3 | 開発許可を受ける前においては、貸借の広告はできるが、貸借の媒介をすることはできない。 | × |
17 | 17-34-2 | 宅地造成工事の完了検査を受けるまで、広告はできない。 | × |
18 | 16-36-1 | 開発許可を受けていれば、検査済証の交付を受けていなくても、広告ができる。 | ◯ |
19 | 14-32-3 | 「建築確認申請中のため、建築確認を受けるまでは、売買契約はできません」と表示すれば広告ができる。 | × |
20 | 13-34-ウ | 「建築確認を受けることができるのは確実である」旨表示した広告は宅建業法に違反する。 | ◯ |
21 | 12-38-1 | 開発許可を必要とする宅地の分譲をする場合、許可を受ける前であっても、許可申請中である旨表示して、広告することができる。 | × |
22 | 11-40-1 | 「建築確認申請済」と表示して広告を行い、販売の契約は建築確認後に締結した場合、宅建業法に違反しない。 | × |
23 | 10-42-4 | 宅建業者が、広告開始時期の制限に違反した場合、免許権者は、必要な指示ができ、その指示に従わないとき業務停止処分ができる。 | ◯ |
24 | 09-43-2 | 「契約は、建築確認を受けた後に締結」と明記して広告を行った場合、宅建業法に違反する。 | ◯ |
25 | 08-45-1 | 国土法の事前届出をする必要がある場合、届出後でなければ、分譲の広告をしてはならない。 | × |
26 | 08-50-4 | 建築確認を受ける前にマンション分譲の広告をした場合、指示処分の対象になる。 | ◯ |
27 | 06-40-1 | 契約締結時期を建築確認後にするのであれば、「建築確認申請中」であることを表示して広告ができる。 | × |
28 | 06-44-2 | 開発許可取得後に分譲パンフレットを郵送することは宅建業法に違反する。 | × |
29 | 05-42-4 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告した場合、50万円以下の罰金に処せられることがある。 | × |
30 | 04-37-2 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告し、契約は建築確認後だった場合、宅建業法に違反しない。 | × |
31 | 02-47-1 | 「建築確認前」である旨を表示すれば、販売広告が可能である。 | × |
3 誤り
取引態様の別とは、自ら売主・買主、売買・貸借の代理・媒介、といった取引形態の区別のことです。宅建業者は、①広告時に取引態様の別を明示し、さらに、②注文を受けた際にも取引態様を明示する必要があります(宅建業法34条1項、2項)。
広告で明示したからといって、注文時に明示する義務が免除されるものではありません。
■類似過去問
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取引態様の明示(広告時と注文時)(宅建業法[09]4(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 29-42-エ | 建物の売却について代理を依頼されて広告を行う場合、取引態様として、代理であることを明示しなければならないが、その後、当該物件の購入の注文を受けたとき、広告を行った時点と取引態様に変更がない場合でも、遅滞なく、その注文者に対し取引態様を明らかにしなければならない。 | ◯ |
2 | 26-30-3 | 広告をする際に取引態様の別を明示した場合、広告を見た者から注文を受けたときに、改めて明示する必要はない。 | × |
3 | 20-32-3 | 広告時に取引態様を明示していれば、注文を受けた時には明示不要。 | × |
4 | 10-34-2 | 取引態様を明示した広告を見た者から注文を受けた場合、改めて取引態様を明示する必要はない。 | × |
5 | 06-40-2 | 広告時に取引態様の明示を省略しても、注文を受けた時に明示すればよい。 | × |
6 | 03-47-1 | 顧客から宅地の売買の注文を受けたときは、売買契約成立後遅滞なく、取引態様の明示をする必要がある。 | × |
7 | 03-47-3 | 広告時に取引態様を明示していても、注文を受けた時にも明示しなければならない。 | ◯ |
4 正しい
著しく事実と異なる内容の広告をする行為は、誇大広告に該当します。このような広告を行った場合、宅建業法違反となり(同法32条)、指示処分や業務停止処分を受ける可能性があります(同法65条1項、同条2項2号)。また、6か月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処され、又は両者を併科されることもあります(同法81条1号)。
■類似過去問
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誇大広告に対する監督処分・罰則(宅建業法[09]1(1)④)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-26-2 | 販売する宅地又は建物の広告に著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、6月以下の懲役及び100万円以下の罰金を併科されることがある。 | ◯ |
2 | 29-42-ウ | 顧客を集めるために売る意思のない条件の良い物件を広告することにより他の物件を販売しようとした場合、取引の相手方が実際に誤認したか否か、あるいは損害を受けたか否かにかかわらず、監督処分の対象となる。 | ◯ |
3 | 26-30-2 | 誇大広告は、監督処分の対象。 | ◯ |
4 | 26-44-ア | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が乙県内において法第32条違反となる広告を行った。この場合、乙県知事から業務停止の処分を受けることがある。 | ◯ |
5 | 22-32-ウ | 誤認による損害が発生しなければ、監督処分の対象外。 | × |
6 | 20-32-4 | 誇大広告は、監督処分に加え、罰則の対象になる。 | ◯ |
7 | 19-36-1 | 誇大広告は、指示処分・業務停止処分の対象。 | ◯ |
8 | 17-34-3 | 誇大広告があった場合、実際には契約不成立でも監督処分・罰則の対象。 | ◯ |
9 | 16-36-4 | 誇大広告は、業務停止処分の対象。 | ◯ |
10 | 14-32-4 | 誇大広告を行った場合、取引成立に至らなくても、懲役・罰金に処せられることがある。 | ◯ |
11 | 12-38-4 | 誇大広告をインターネットで行ったときでも、監督処分の対象となる。 | ◯ |
12 | 10-32-1 | 誇大広告を行った場合、宅建業者に対して業務の停止を命ずるとともに、実際に広告に関する事務を行った宅建士に対して必要な指示をすることができる。 | × |
13 | 09-43-4 | 販売意思のない物件の広告は、監督処分の対象となるが、罰則の適用を受けることはない。 | × |
14 | 07-41-4 | 法人業者の代表者が誇大広告を行った場合、実際に被害を受けた人がいないときでも代表者だけでなく、当該法人が罰金の刑に処せられることがある。 | ◯ |
15 | 06-40-4 | 他業者が作成した広告を、そのまま自社名義の広告として配布した場合でも、内容につき責任を問われることがある。 | ◯ |
16 | 05-42-1 | 取引意思のない物件を広告した場合、6月以下の懲役に処されることがある。 | ◯ |
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