【宅建過去問】(平成07年問07)賃貸借契約
AがBの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- Bがその土地をCに譲渡する場合、賃貸人の義務の移転を伴うから、Bは、その譲渡についてAの承諾を必要とする。
- Aがその建物をDに譲渡する場合、特別の事情のない限り、Aは、Dに対する敷地の賃借権譲渡についてBの承諾を得る必要がある。
- EがBからその土地の譲渡を受けた場合、Eは、登記を移転していなくても賃貸人たる地位の取得をAに対抗することができる。
- FがAからその建物を賃借する場合、特別の事情がない限り、Fは、その賃借についてBの承諾を得なければならない。
正解:2
1 誤り
Aは、B所有地上の建物について登記をしている。したがって、この土地の所有権について対抗要件を備えている(借地借家法10条1項)。
この場合、この土地の譲渡に伴って、賃貸人たる地位は、その譲受人Cに移転する(民法605条の2第1項)。Aの承諾を得る必要はない。
■参照項目&類似過去問
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賃貸人たる地位の移転(民法[26]6)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-12-3 | 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。 | ◯ |
2 | R03-12-2 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約が締結された。甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。 | ◯ |
3 | R02s-06-3 | AはBにA所有の甲建物を賃貸し、BはAの承諾を得てCに適法に甲建物を転貸し、Cが甲建物に居住している。AがDに甲建物を売却した場合、AD間で特段の合意をしない限り、賃貸人の地位はDに移転する。 | ◯ |
4 | 24-06-2 | 甲土地の賃借人であるBが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したCは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Bに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。 | × |
5 | 16-03-2 | Aは、自己所有の建物をCに売却したが、Cはまだ所有権移転登記を行っていない。BがAからこの建物を賃借し、引渡しを受けて適法に占有している場合、Cは、Bに対し、この建物の所有権を対抗でき、賃貸人たる地位を主張できる。 | × |
6 | 07-07-1 | BがAの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている。Aがその土地をCに譲渡する場合、賃貸人の義務の移転を伴うから、Aは、その譲渡についてBの承諾を必要とする。 | × |
7 | 07-07-3 | BがAの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている。CがAからその土地の譲渡を受けた場合、Cは、登記を移転していなくても賃貸人たる地位の取得をBに対抗することができる。 | × |
2 正しい
AからDへの建物譲渡に伴い、従たる権利として借地権もCに譲渡されることになる。そして、借地権を譲渡するには、借地権者の承諾が必要である(民法612条)。
したがって、建物をDに譲渡するに当たり、Aは、Bの承諾を得る必要がある。
※無断で譲渡がなされた場合、借地権者は借地権を解除することができる。
■参照項目&類似過去問
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借地上の建物の譲渡(民法[26]5(1)③(a))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] 甲土地所有者AがBと締結した建物所有を目的とする賃貸借契約に基づいて、Bが甲土地上に乙建物を所有している。 | |||
1 | 17-13-1 | 乙建物が登記されている場合には、BがCと当該建物を譲渡する旨の合意をすれば、Aの承諾の有無にかかわらず、CはAに対して甲土地の借地権を主張できる。 | × |
2 | 07-07-2 | Bがその建物をCに譲渡する場合、特別の事情のない限り、Bは、Cに対する敷地の賃借権譲渡についてAの承諾を得る必要がある。 | ◯ |
3 | 05-10-2 | 乙建物に設定した抵当権が実行され、Dが甲建物を競落した。Dは、競落により建物を取得したのであるから、土地の賃借権も当然に取得し、Aに対抗することができる。 | × |
3 誤り
Bから土地の譲渡を受けたEがAに対して賃貸人たる地位を主張するためには、この土地について、所有権移転の登記を受ける必要がある(民法605条の2第3項)。
登記を移転していない段階では、Aに対して、賃貸人たる地位を主張することはできない。
■参照項目&類似過去問
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賃貸人たる地位の移転(民法[26]6)
対抗問題:賃借人(民法[07]3(5))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-12-3 | 賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。 | ◯ |
2 | R03-12-2 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約が締結された。甲建物がBに引き渡された後、甲建物の所有権がAからCに移転した場合、本件契約の敷金は、他に特段の合意がない限り、BのAに対する未払賃料債務に充当され、残額がCに承継される。 | ◯ |
3 | R02s-06-3 | AはBにA所有の甲建物を賃貸し、BはAの承諾を得てCに適法に甲建物を転貸し、Cが甲建物に居住している。AがDに甲建物を売却した場合、AD間で特段の合意をしない限り、賃貸人の地位はDに移転する。 | ◯ |
4 | 24-06-2 | 甲土地の賃借人であるBが、甲土地上に登記ある建物を有する場合に、Aから甲土地を購入したCは、所有権移転登記を備えていないときであっても、Bに対して、自らが賃貸人であることを主張することができる。 | × |
5 | 16-03-2 | Aは、自己所有の建物をCに売却したが、Cはまだ所有権移転登記を行っていない。BがAからこの建物を賃借し、引渡しを受けて適法に占有している場合、Cは、Bに対し、この建物の所有権を対抗でき、賃貸人たる地位を主張できる。 | × |
6 | 07-07-1 | BがAの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている。Aがその土地をCに譲渡する場合、賃貸人の義務の移転を伴うから、Aは、その譲渡についてBの承諾を必要とする。 | × |
7 | 07-07-3 | BがAの所有地を賃借して、建物を建てその登記をしている。CがAからその土地の譲渡を受けた場合、Cは、登記を移転していなくても賃貸人たる地位の取得をBに対抗することができる。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-06-2 | 土地の賃借人として当該土地上に登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。 | ◯ |
2 | R01-01-2 | [Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。]Bが甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある建物を有するDに対して、Bは自らが甲土地の所有者であることを主張することができない。 | ◯ |
3 | 24-06-2 | 賃貸中の土地の譲受人→土地上に登記ある建物を有する土地の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。 | × |
4 | 20-04-4 | 建物に居住している建物の賃借人→建物の譲受人:賃借権を対抗可能。 | ◯ |
5 | 16-03-2 | 賃貸中の建物の譲受人→引渡しを受けた建物の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。 | × |
6 | 10-01-1 | 賃貸中の土地の譲受人→自己名義で保存登記をした建物を所有する土地の賃借人:登記がなくても所有権を対抗可能。 | × |
7 | 08-03-4 | Aの所有する土地について、AB間で、代金全額が支払われたときに所有権がAからBに移転する旨約定して売買契約を締結した。EがAからこの土地を賃借して、建物を建てその登記をしている場合、BがAに代金全額を支払った後であれば、AからBへの所有権移転登記が完了していなくても、Bは、Eに対して所有権の移転を主張することができる。 | × |
8 | 07-07-3 | 賃貸中の土地の譲受人→建物を建てその登記をしている土地の賃借人:登記がなくても賃貸人の地位を対抗可能。 | × |
9 | 01-13-1 | 引渡しを受けた建物の賃借人→土地を譲り受け移転登記をした所有権者:賃借人の地位を対抗可能。 | ◯ |
4 誤り
土地の賃借人Aが借地上の建物を第三者Fに賃貸した場合であっても、Aは建物所有のため自ら土地を使用しているのであって、借地を転貸したとはいえない(民法612条。大判昭8.12.11)。
したがって、建物をFに賃貸するに当たり、Aは、Bの承諾を得る必要がない。
■参照項目&類似過去問
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借地上の建物の賃貸(民法[26]5(1)③(b))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] 甲土地所有者AがBと締結した建物所有を目的とする賃貸借契約に基づいて、Bが甲土地上に乙建物を所有している。 | |||
1 | 26-07-1 | BがAに無断で乙建物をCに月額10万円の賃料で貸した場合、Aは、借地の無断転貸を理由に、甲土地の賃貸借契約を解除することができる。 | × |
2 | 18-14-1 | Bが、Aの承諾を得ることなくCに対して借地上の建物を賃貸し、それに伴い敷地であるその借地の利用を許容している場合でも、Aとの関係において、借地の無断転貸借とはならない。 | ◯ |
3 | 07-07-4 | CがBからその建物を賃借する場合、特別の事情がない限り、Cは、その賃借についてAの承諾を得なければならない。 | × |