【宅建過去問】(平成28年問10)相続

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甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bが甲建物を不法占拠するDに対し明渡しを求めたとしても、Bは単純承認をしたものとはみなされない。
  2. Cが甲建物の賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。
  3. Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。
  4. Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、Bは単純承認をしたものとみなされる。

正解:4

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28-10-0

1 正しい

下の表のような事情が生じた場合、相続人が単純承認をしたものとみなします(民法921条)。これが法定単純承認です。

共有者の一人が共有物の不法占拠者に対して明渡しを請求するのは保存行為にあたります(民法252条5項。大判大10.06.13)。BがDに対して明渡しを求める行為は保存行為に過ぎないわけですから、これを理由にBが単純承認をしたとみなされることはありません。

■参照項目&類似過去問
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単純承認(民法[31]4(1))
年-問-肢内容正誤
単純承認
123-10-4唯一の相続人が相続の単純承認をすると、被相続人が負っていた借入金債務の存在を知らなかったとしても、借入金債務を相続する。
法定単純承認
128-10-1
相続人が、相続した建物を不法占拠する者に対し明渡しを求めたとしても、単純承認をしたものとはみなされない。
228-10-2
相続人が相続した建物の賃借人に対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、単純承認をしたものとみなされる。
328-10-4
相続人が自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、単純承認をしたものとみなされる。
×
419-12-2相続人が、被相続人の財産の一部を売却した場合、単純承認したものとみなされる。
514-12-3相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、限定承認または放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
610-10-3限定承認をしたが、相続財産を隠匿していた相続人は、単純承認したものとみなされる。

共有物の保存行為(民法[10]3(3)②・(5)①)
年-問-肢内容正誤
1R07-08-1A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している。
甲土地につき無権利のDが、自己への虚偽の所有権移転登記をした場合には、Aは、単独で、Dに対し、その所有権移転登記の抹消を求めることができる。
2R06-03-2
甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない。
甲土地の所有権の登記名義人となっている者が所有者ではないEである場合、持分に基づいてEに対して登記の抹消を求めるためには、所在が判明しているA、B、Cのうち2人の同意が必要である。
×
3R02s-10-3共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。
不法占拠者の排除
1H28-10-1
相続人が、相続した建物を不法占拠する者に対し明渡しを求めたとしても、単純承認をしたものとはみなされない。
2H23-03-3共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。
3H18-04-1共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。
4H13-01-3共有物の不法占有者に対する明渡請求は、共有者の過半数の同意が必要。×
5H06-03-3共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。
6H04-12-2共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。

2 正しい

(肢1参照。)
相続人が相続債権の取立てをして、これを収受領得した場合、「相続財産の一部を処分したとき」(民法921条1号)に該当します。したがって、Cは、相続の単純承認をしたものとみなされます(最判昭37.06.21)。

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単純承認(民法[31]4(1))
年-問-肢内容正誤
単純承認
123-10-4唯一の相続人が相続の単純承認をすると、被相続人が負っていた借入金債務の存在を知らなかったとしても、借入金債務を相続する。
法定単純承認
128-10-1
相続人が、相続した建物を不法占拠する者に対し明渡しを求めたとしても、単純承認をしたものとはみなされない。
228-10-2
相続人が相続した建物の賃借人に対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、単純承認をしたものとみなされる。
328-10-4
相続人が自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、単純承認をしたものとみなされる。
×
419-12-2相続人が、被相続人の財産の一部を売却した場合、単純承認したものとみなされる。
514-12-3相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、限定承認または放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
610-10-3限定承認をしたが、相続財産を隠匿していた相続人は、単純承認したものとみなされる。

3 正しい

相相続人が複数いる場合、限定承認は、共同相続人の全員が共同して行う必要があります(民法923条)。
したがって、Cが単純承認をした後に、Bが限定承認をすることはできません。Bは、単純承認又は相続放棄のいずれかを選択することになります。

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共同相続人の限定承認(民法[31]4(2))
年-問-肢内容正誤
129-06-4
(Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった。)Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。
×
228-10-3
2人の相続人のうち、一方が単純承認をしたときは、他方は限定承認をすることができない。

319-12-1
2人の相続人のうち、一方は単純承認、他方は限定承認をすることができる。
×
414-12-2
限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみできる。

510-10-2
2人の相続人のうち、一方が単純承認すると、他方は限定承認をすることができない。

605-13-1
限定承認をするときは、相続人全員が共同してしなければならない。


4 誤り

(肢1参照。)
相続の承認又は放棄をすべき期間(熟慮期間)は、相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です(民法915条1項本文)。そして、この期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされます(民法921条2号)。
本問のBは、自己のために相続の開始があったことを知りません。したがって、熟慮期間のカウントが始まることもなく、熟慮期間が終わってしまうこともないわけです。法定単純承認とみなされることはありません。

■参照項目&類似過去問
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熟慮期間(民法[31]4(4))
年-問-肢内容正誤
129-06-4(Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった。)Bが自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に対して、相続によって得た財産の限度においてのみAの債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して相続を承認する限定承認をする旨を申述すれば、Cも限定承認をする旨を申述したとみなされる。×
228-10-4相続人が自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、単純承認をしたものとみなされる。×
314-12-3相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、限定承認または放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
410-10-1相続の承認又は放棄をすべき3ヵ月の期間の始期は、共同相続人間で異なることがある。
505-13-4相続人の相続放棄により、法定相続人となった者は、相続開始のときから3ヵ月以内に相続の承認又は放棄をしなければならない。×

単純承認(民法[31]4(1))
年-問-肢内容正誤
単純承認
123-10-4唯一の相続人が相続の単純承認をすると、被相続人が負っていた借入金債務の存在を知らなかったとしても、借入金債務を相続する。
法定単純承認
128-10-1
相続人が、相続した建物を不法占拠する者に対し明渡しを求めたとしても、単純承認をしたものとはみなされない。
228-10-2
相続人が相続した建物の賃借人に対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、単純承認をしたものとみなされる。
328-10-4
相続人が自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、単純承認をしたものとみなされる。
×
419-12-2相続人が、被相続人の財産の一部を売却した場合、単純承認したものとみなされる。
514-12-3相続人が、自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、限定承認または放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされる。
610-10-3限定承認をしたが、相続財産を隠匿していた相続人は、単純承認したものとみなされる。


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