【宅建過去問】(令和02年12月問21)農地法

農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 山林を開墾し、農地として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林であれば、法の適用を受ける農地に該当しない。
  2. 親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。
  3. 耕作を目的として農業者が競売により農地を取得する場合であっても、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
  4. 市街化区域以外の区域に存する4haを超える農地を転用する場合には、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。

正解:3

1 誤り

農地法上の「農地」とは、耕作の目的に供される土地のことをいいます(同法2条1項)。現況を基準に判断しますから、登記簿上の地目は関係がありません。
本肢では、山林を開墾し農地として耕作しています。この土地は、農地法上の「農地」に該当します。

■参照項目&類似過去問
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「農地」の定義(農地法[01]2(1))
年-問-肢内容正誤
1R03s-21-3
登記簿の地目が宅地となっている場合には、現況が農地であっても法の規制の対象とはならない。×
2R02s-21-1
山林を開墾し、農地として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林であれば、法の適用を受ける農地に該当しない。×
3H30-22-4
雑種地を開墾し耕作している土地でも、登記簿上の地目が雑種地である場合は、法の適用を受ける農地に当たらない。×
4H28-22-4
農業者が、市街化調整区域内の耕作しておらず遊休化している自己の農地を、自己の住宅用地に転用する場合、あらかじめ農業委員会へ届出をすれば、法第4条第1項の許可を受ける必要がない。×
5H26-21-4山林を開墾し現に農地として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林であれば、法の適用を受ける農地とはならない。×
6H25-21-2雑種地を開墾し、現に畑として耕作されている土地であっても、土地登記簿上の地目が雑種地である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。×
7H24-22-1登記簿上の地目が山林となっている土地であっても、現に耕作の目的に供されている場合には、法に規定する農地に該当する。
8H23-22-3農業者が、自らの養畜の事業のための畜舎を建設する目的で、市街化調整区域内にある150㎡の農地を購入する場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要がある。
9H20-24-1現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が原野である市街化調整区域内の土地を駐車場にするために取得する場合は、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。×
10H19-25-3耕作する目的で原野の所有権を取得し、その取得後、造成して農地にする場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。×
11H19-25-4市街化調整区域内の農地を駐車場に転用するに当たって、当該農地がすでに利用されておらず遊休化している場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。×
12H18-25-1山林を開墾し現に水田として耕作している土地であっても、土地登記簿上の地目が山林である限り、法の適用を受ける農地には当たらない。×
13H16-24-2市街化調整区域内の山林の所有者が、その土地を開墾し果樹園として利用した後に、その果樹園を山林に戻す目的で、杉の苗を植える場合には、農地法第4条の許可を受ける必要がある。
14H13-23-1現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が「山林」である土地を住宅建設の目的で取得する場合には、農地法第5条の許可を要しない。×
15H11-24-4土地登記簿上の地目が山林や原野であっても、現況が農地であれば、その所有権を取得する場合は、原則として農地法第3条又は第5条の許可を受ける必要がある。
16H09-21-4[市街化区域外の農地]山林を開墾して造成した農地について、それを宅地に転用する目的で取得する場合は、農地法第5条の許可を受ける必要はない。×
17H07-26-1[個人が市街化区域外の農地等を売買により取得しようとする場合]現在耕作されている農地を取得して宅地に転用しようとする場合は、登記簿上の地目が「原野」であっても、農地法第5条の許可を受ける必要がある。
18H04-26-1土地区画整理事業の施行地区内にある農地で、耕作の目的に供されているものは、仮換地の指定処分があっても農地法上の農地である。
19H03-27-1山林を開墾した場合、農地として耕作していても、土地登記簿の地目が「山林」から「田」又は「畑」に変更されるまでは、農地法上の農地ではない。×

2 誤り

相続によって農地を取得する場合であれば、農地法3条の許可を受ける必要はありません。
しかし、本肢では、「親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与」したというだけのことで、相続とは関係がありません。したがって、通常通り、農地法3条の許可を受ける必要があります。

■参照項目&類似過去問
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3条許可:相続・遺産分割など(農地法[02]1(2)③)
年-問-肢内容正誤
1R05-21-1相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、相続人に該当しない者が特定遺贈により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。
2R03-21-1遺産分割によって農地を取得する場合には、法第3条第1項の許可は不要であるが、農業委員会への届出が必要である。
3R02s-21-2
親から子に対して、所有するすべての農地を一括して贈与する場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要はない。×
4R02-21-3
相続により農地を取得することとなった場合には、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。×
5H30-22-2
遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。×
6H29-15-4
相続により農地の所有権を取得した者は、遅滞なく、その農地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければならない。
7H28-22-1
相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、相続人に該当しない者に対する特定遺贈により農地を取得する場合も、同項の許可を受ける必要はない。×
8H25-21-4農業者が相続により取得した市街化調整区域内の農地を自己の住宅用地として転用する場合でも、法第4条第1項の許可を受ける必要がある。
9H23-22-1相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、遺産の分割により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。×
10H22-22-1農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。
11H19-25-1農業者が相続により取得した市街化調整区域内の農地を自己の住宅用地として転用する場合には、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。×
12H15-23-4遺産の分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条の許可を得る必要はない。
13H10-24-4相続した農地を遺産分割する場合は、農地法第3条の許可を受ける必要がない。
14H08-17-3農地を相続により取得する場合は、農地法第3条の許可を得る必要はない。
15H03-27-3遺産分割により農地の所有権を取得する場合、農地法第3条第1項の許可を要しない。

3 正しい

競売で農地を取得するケースについて、農地法上の特別扱いはありません。原則通り、農地法3条又は5条の許可を受ける必要があります。
本肢の場合、「耕作を目的として」というのですから、農地法3条の許可が要求されます。

■参照項目&類似過去問
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権利移動:競売による権利移動(農地法[01]3(1)①)
年-問-肢内容正誤
1R02s-21-3耕作を目的として農業者が競売により農地を取得する場合であっても、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。
2H27-22-4農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、市街化区域外の農地に抵当権の設定が行われ、その後、返済が滞ったため当該抵当権に基づき競売が行われ第三者が当該農地を取得する場合であっても、法第3条第1項又は法第5条第1項の許可を受ける必要がある。
3H26-21-2市街化区域内の農地について、耕作の目的に供するために競売により所有権を取得しようとする場合には、その買受人は法第3条第1項の許可を受ける必要はない。×
4H23-22-2競売により市街化調整区域内にある農地を取得する場合は、法第3条第1項又は法第5条第1項の許可を受ける必要はない。×
5H16-24-3競売により市街化区域外の農地の買受人となり所有権を取得しようとする場合には、農地法第3条又は第5条の許可を受ける必要がある。
6H08-17-4競売により農地の買受人となった者がその農地を取得する場合は、農地法第3条の許可を得る必要がある。
7H05-26-3競売により農地の所有権を取得する場合、農地法の許可を受ける必要がある。

4 誤り

「農地を転用する」というのですから、本肢は、農地法4条の問題です。


農地法4条のケースで、許可権を有するのは、知事等(知事又は指定市町村の長)です。農林水産大臣が許可権者となるケースは、存在しません。

※「市街化区域以外の区域に存する」というフレーズは、市街化区域内の特例を排除するために付け加えられています。市街化区域内の話だとすると、そもそも許可自体が不要になってしまうからです。

■参照項目&類似過去問
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4条許可(許可権者)(農地法[03]2)
年-問-肢内容正誤
1R02s-21-4市街化区域以外の区域に存する4haを超える農地を転用する場合には、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。×
2H10-24-3自己所有の市街化区域外の農地5ヘクタールを豚舎用地に転用する場合は、農地法第4条により農林水産大臣の許可を受ける必要がある。×
3H02-28-1当該土地が都市計画区域外の農地で、当該土地に住宅を建築するときは、Aは、農地法の規定に基づき甲県知事の許可を、また、都市計画法の規定に基づき甲県知事の許可を、それぞれ受けなければならない。×

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