【宅建過去問】(令和03年12月問12)借地借家法(借家)
賃貸人Aと賃借人Bとの間で締結した一時使用目的ではない建物賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)の終了に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
- 本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。
- 本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。
- 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。
- BがAの同意を得て建物に付加した造作がある場合であっても、本件契約終了時にAに対して借地借家法第33条の規定に基づく造作買取請求権を行使することはできない、という特約は無効である。
正解:2
設定の確認
「一時使用目的ではない建物賃貸借契約」ですから、民法に加えて、借地借家法も適用されます。
1 誤り
期間の定めがある建物賃貸借において、期間満了の1年前から6か月前までの間に、賃貸人も賃借人も更新をしない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(法定更新。借地借家法26条1項本文)。ただし、契約期間については、定めがないものとなります(同項ただし書き)。
本肢は、「更新後の契約期間は2年」とする点が誤りです。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-12-1 | 本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。 | × |
2 | R01-12-3 | 建物の賃貸人Aが賃借人Bに対して、期間満了の3月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。 | × |
3 | H30-12-3 | [AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃借する旨の契約を締結した。]AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借でない場合、A及びBのいずれからも期間内に更新しない旨の通知又は条件変更しなければ更新しない旨の通知がなかったときは、当該賃貸借契約が更新され、その契約は期間の定めがないものとなる。 | ◯ |
4 | H29-12-1 | 賃貸人が賃借人に対し、建物の賃貸借契約の期間満了の1年前に更新をしない旨の通知をしていれば、賃貸借契約は期間満了によって当然に終了し、更新されない。 | × |
5 | H28-12-1 | 賃借人も賃貸人も相手方に対し、建物賃貸借契約の期間満了前に何らの通知もしなかった場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。 | ◯ |
6 | H27-11-1 | AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合、AがBに対し、賃貸借契約の期間満了の6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、AとBは、期間3年、賃料月額10万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる 。 | × |
7 | H14-14-1 | 期間の定めのある建物賃貸借において、賃貸人が、期間満了の1年前から6月前までの間に、更新しない旨の通知を出すのを失念したときは、賃貸人に借地借家法28条に定める正当事由がある場合でも、契約は期間満了により終了しない。 | ◯ |
8 | H14-14-2 | 期間の定めのある建物賃貸借において、賃貸人が、期間満了の10月前に更新しない旨の通知を出したときで、その通知に借地借家法28条に定める正当事由がある場合は、期間満了後、賃借人が使用を継続していることについて、賃貸人が異議を述べなくても、契約は期間満了により終了する。 | × |
9 | H14-14-3 | 期間の定めのある契約が法定更新された場合、その後の契約は従前と同一条件となり、従前と同一の期間の定めのある賃貸借契約となる。 | × |
10 | H10-12-1 | 賃貸人が賃借人に対する更新拒絶の通知をしたときでも、期間満了後に転借人が建物の使用を継続し、賃貸人がこれに対して遅滞なく異議を述べないと、賃借人・賃貸人間の契約は更新される。 | ◯ |
11 | H04-11-3 | 賃貸借契約の期間が満了した場合において、賃貸人が自ら使用することを必要とする等正当の事由があるときは、賃貸人は、あらかじめ更新拒絶の通知をしなくても、賃貸借契約の更新を拒むことができる。 | × |
12 | H01-13-4 | 賃貸人が賃貸借期間満了の1年前から6月前までの間に賃借人に対して更新拒絶の通知をしないときは、前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。 | ◯ |
2 正しい
期間の定めのない建物賃貸借において、賃貸人が、正当事由を備えて、解約の申入れをした場合、申入れの日から6か月を経過したときに契約が終了します(借地借家法27条1項、28条)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-12-2 | 本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。 | ◯ |
2 | R03-12-1 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約について期間の定めをしなかった場合、AはBに対して、いつでも解約の申入れをすることができ、本件契約は、解約の申入れの日から3月を経過することによって終了する。 | × |
3 | H29-12-2 | 賃貸人が甲建物の賃貸借契約の解約の申入れをした場合には申入れ日から3月で賃貸借契約が終了する旨を定めた特約は、賃貸人があらかじめ同意していれば、有効となる。 | × |
4 | H27-11-2 | [AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結]賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に、AがBに書面で解約の申入れをした場合は、申入れの日から3か月後に賃貸借契約は終了する。 。 | × |
5 | H14-14-4 | 期間の定めのない契約において、賃貸人が、解約の申入れをしたときで、その通知に正当事由がある場合は、解約の申入れの日から3月を経過した日に、契約は終了する。 | × |
6 | H08-12-1 | 期間の定めのない契約において、賃貸人は、賃借人に対して、解約の申入れの日から6月を経過しないと建物の明渡を請求することができない。 | ◯ |
7 | H08-12-2 | [AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸]AがBに対し解約の申入れをしても、6月経過後のBの建物使用についてAが遅滞なく異議を述べないときは、契約は更新されたものとみなされる。 | ◯ |
8 | H06-12-3 | 賃借人・賃貸人間の賃貸借が賃貸人の解約の申入れによって終了した場合において、賃貸人の承諾を得て転借している転借人が建物の使用を継続するときは、賃貸人が遅滞なく異議を述べないと、賃借人・賃貸人間の賃貸借が更新される。 | ◯ |
9 | H05-12-1 | 賃貸借の期間を10月と定めた場合において、その賃貸借が一時使用によるものでないときは、賃貸人が解約の申入れをしても、その申入れの日から6月を経過しないと、契約は終了しない。 | ◯ |
3 誤り
■債務不履行による解除
賃貸人Aと賃借人Bとの間の賃貸借契約が、Bの債務不履行により解除された場合、Aが転借人Cに対して甲建物の返還を請求した時点で、BC間の転貸借契約における転貸人Bの債務が履行不能となり、転貸借契約は終了します(最判平09.02.25)。
Aは、Cに契約の終了を通知する必要がありません。また、6月(=6か月)の経過を待つ必要もありません。
■【比較】期間満了・解約申入れによる終了
ヒッカケになっているのは、賃貸借契約が期間満了や解約申入れによって終了するケースです。
このケースについて借地借家法は、転借人を保護するルールを設けています。具体的にいえば、賃貸人Aは、転借人Cにその旨の通知をしなければ、その終了をCに対抗することができません(借地借家法34条1項)。この通知をしたときは、通知の日から6か月経過時に転貸借が終了します(同条2項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る[共通の設定]
Aは、Bに対し甲建物を賃貸し、Bは、その建物をAの承諾を得てCに対し適法に転貸している。
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-12-3 | 建物の転貸借がされている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。 | × |
2 | H28-08-1 | Aは、Bの賃料の不払いを理由に甲建物の賃貸借契約を解除するには、Cに対して、賃料支払の催告をして甲建物の賃料を支払う機会を与えなければならない。 | × |
3 | H28-08-3 | AがBの債務不履行を理由に甲建物の賃貸借契約を解除した場合、CのBに対する賃料の不払いがなくても、AはCに対して、甲建物の明渡しを求めることができる。 | ◯ |
4 | H26-07-3 | BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸した場合、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行で解除されても、AはCに解除を対抗することができない。 | × |
5 | H25-11-2 | Bの債務不履行を理由にAが賃貸借契約を解除したために当該賃貸借契約が終了した場合であっても、BがAの承諾を得て甲建物をCに転貸していたときには、AはCに対して甲建物の明渡しを請求することができない。 | × |
6 | H23-07-4 | Aは、Bの債務不履行を理由としてBとの賃貸借契約を解除するときは、事前にCに通知等をして、賃料を代払いする機会を与えなければならない。 | × |
7 | H18-10-2 | BがAの承諾を受けてCに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がBの債務不履行を理由に解除され、AがCに対して目的物の返還を請求しても、BC間の転貸借契約は原則として終了しない。 | × |
8 | H16-13-4 | 賃貸人AがAB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は、転借人Cに通知等をして賃料をBに代わって支払う機会を与えなければならない。 | × |
9 | H10-06-3 | Aは、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を解除しようとする場合、Cに対して、3ヵ月以前に通知し、Bに代わって賃料を支払う機会を与えなければならない。 | × |
10 | H10-06-4 | Aが、Bの債務不履行によりAB間の賃貸借契約を適法に解除した場合、Cは、BC間の転貸借契約に基づく転借権をAに対抗することができない。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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[共通の設定] Aは、所有する甲建物をBに賃貸している。 |
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1 | R03s-12-3 | 甲建物がCに転貸借されている場合において、本件契約がB(転貸人)の債務不履行によって解除されて終了するときは、Aが転借人に本件契約の終了を通知した日から6月を経過することによって、転貸借契約は終了する。 | × |
2 | R03-12-3 | 甲建物が適法にBからCに転貸されている場合、AがCに対して本件契約が期間満了によって終了する旨の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から3月を経過することによって終了する。 | × |
3 | R01-12-4 | 賃借人Bが適法に甲建物をCに転貸していた場合、賃貸人Aは、Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するときは、特段の事情がない限り、Cにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対抗することができない。 | ◯ |
4 | H29-12-3 | 転貸人が建物を適法に転借している場合、賃貸借契約が期間満了によって終了するときに、転貸人がその旨を賃借人から聞かされていれば、賃貸人は転借人に対して、賃貸借契約の期間満了による終了を対抗することができる。 | × |
5 | H25-11-3 | 賃貸借契約が期間満了で終了する場合、転貸人の転借人に対する解約申入れに正当事由がない限り、賃貸人は転借人に対して建物明渡しを請求できない。 | × |
6 | H16-13-2 | 賃貸借契約の期間満了による終了を転借人に通知しなければ、契約終了を転借人に対抗できない。 | ◯ |
7 | H12-12-3 | 賃貸借契約が期間満了により終了するときは、転借人に通知しなければ、賃借人に対しても、契約終了を主張できない。 | × |
8 | H10-12-4 | 賃貸借契約が期間満了により終了するときも、転借人に通知した日から6月を経過しないと、転貸借は終了しない。 | ◯ |
9 | H06-12-4 | 賃貸借契約の期間が満了する場合でも、転借人に通知しなければ、契約終了を転借人に対抗できない。 | ◯ |
10 | H01-06-3 | 賃貸借契約が期間満了により終了すれば、当然に転貸借契約も終了する。 | × |
4 誤り
賃貸人の同意を得て建物に付加した造作がある場合、賃借人は、賃貸借が期間満了によって終了するときに、賃貸人に対し、その造作の買取りを請求することができます(借地借家法33条1項前段)。これが造作買取請求権です。
造作買取請求権に関する借地借家法の規定は、任意規定に過ぎません(同法37条)。したがって、特約で排除することができます。つまり、「造作買取請求権を行使することはできない、という特約」は、有効です。
※これは、普通建物賃貸借契約でも、定期建物賃貸借契約でも、同様です。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-12-4 | 建物の賃借人Bが賃貸人Aの同意を得て建物に付加した造作がある場合であっても、本件契約終了時にAに対して借地借家法第33条の規定に基づく造作買取請求権を行使することはできない、という特約は無効である。 | × |
2 | H27-12-3 | 期間満了により賃貸借契約が終了する際に賃借人は造作買取請求をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。 | × |
3 | H24-12-1 | 普通建物賃貸借、定期建物賃貸借の双方において、特約で造作買取請求権の排除が可能。 | ◯ |
4 | H23-12-1 | 普通建物賃貸借、定期建物賃貸借の双方において、特約で造作買取請求権の排除が可能。 | ◯ |
5 | H22-12-3 | 定期建物賃貸借で、特約がなければ、造作買取請求権が発生。 | ◯ |
6 | H11-14-1 | 普通建物賃貸借において、特約で造作買取請求権の排除が可能。 | ◯ |
7 | H07-13-1 | 普通建物賃貸借において、特約で造作買取請求権の排除が可能。 | ◯ |
8 | H05-12-4 | 普通建物賃貸借において、造作買取請求権を排除する特約は無効。 | × |
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