建物の賃貸借に関し、契約期間を定めた場合であっても、賃借人や賃貸人が更新を拒絶しないでいると、契約が自動的に更新されます(法定更新)。
法定更新を拒むためには、まず、更新拒絶の通知をする必要があります。賃貸人の側から更新を拒絶する場合には、さらに、正当事由が要求されます。
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1.建物賃貸借の期間
(1).最短期間
契約期間を1年未満と定めた場合
→期間の定めのない賃貸借とみなす
(2).最長期間
民法の適用(⇒民法[26]2(2))を排除
=50年超の契約も可能
★過去の出題例★
建物賃貸借の期間(借地借家法[05]1)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R05-12-1 | 期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。 | × |
2 | H26-12-2 | 定期建物賃貸借契約を締結するときは、期間を1年未満としても、期間の定めがない建物の賃貸借契約とはみなされない。 | ◯ |
3 | H19-14-2 | 定期建物賃貸借契約は契約期間を1年以上とすることができるが、一時使用賃貸借契約は契約期間を1年以上とすることができない。 | × |
4 | H17-15-3 | 動産の賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が合意して契約期間を6月と定めればそのとおりの効力を有するが、建物の賃貸借契約は、賃貸人と賃借人が合意して契約期間を6月と定めても期間を定めていない契約とみなされる。 | ◯ |
5 | H05-12-1 | 賃貸借の期間を10月と定めた場合において、その賃貸借が一時使用によるものでないときは、Aが解約の申入れをしても、その申入れの日から6月を経過しないと、契約は終了しない。 | ◯ |
6 | H02-12-2 | 建物の賃貸借においては、その存続期間の最長限度に制限はない。 | ◯ |
2.建物賃貸借契約の更新等
①法定更新が生じる場合
②法定更新を拒む方法
③正当事由
④法定更新後の契約
★過去の出題例★
建物賃貸借契約の更新等(借地借家法[05]2(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R03s-12-1
| 本件契約に期間を2年とする旨の定めがあり、AもBも更新拒絶の通知をしなかったために本件契約が借地借家法に基づき更新される場合、更新後の期間について特段の合意がなければ、更新後の契約期間は2年となる。
| × |
2 | R01-12-3
| 建物の賃貸人Aが賃借人Bに対して、期間満了の3月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。 | × |
3 | H30-12-3
| [AとBとの間で、Aが所有する甲建物をBが5年間賃借する旨の契約を締結した。]AB間の賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借でない場合、A及びBのいずれからも期間内に更新しない旨の通知又は条件変更しなければ更新しない旨の通知がなかったときは、当該賃貸借契約が更新され、その契約は期間の定めがないものとなる。
| ◯ |
4 | H29-12-1
| 賃貸人が賃借人に対し、建物の賃貸借契約の期間満了の1年前に更新をしない旨の通知をしていれば、賃貸借契約は期間満了によって当然に終了し、更新されない。
| × |
5 | H28-12-1
| 賃借人も賃貸人も相手方に対し、建物賃貸借契約の期間満了前に何らの通知もしなかった場合、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。
| ◯ |
6 | H27-11-1 | AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結した場合、AがBに対し、賃貸借契約の期間満了の6か月前までに更新しない旨の通知をしなかったときは、AとBは、期間3年、賃料月額10万円の条件で賃貸借契約を更新したものとみなされる 。 | × |
7 | H14-14-1 | 期間の定めのある建物賃貸借において、賃貸人が、期間満了の1年前から6月前までの間に、更新しない旨の通知を出すのを失念したときは、賃貸人に借地借家法28条に定める正当事由がある場合でも、契約は期間満了により終了しない。 | ◯ |
8 | H14-14-2 | 期間の定めのある建物賃貸借において、賃貸人が、期間満了の10月前に更新しない旨の通知を出したときで、その通知に借地借家法28条に定める正当事由がある場合は、期間満了後、賃借人が使用を継続していることについて、賃貸人が異議を述べなくても、契約は期間満了により終了する。 | × |
9 | H14-14-3 | 期間の定めのある契約が法定更新された場合、その後の契約は従前と同一条件となり、従前と同一の期間の定めのある賃貸借契約となる。 | × |
10 | H10-12-1 | 賃貸人が賃借人に対する更新拒絶の通知をしたときでも、期間満了後に転借人が建物の使用を継続し、賃貸人がこれに対して遅滞なく異議を述べないと、賃借人・賃貸人間の契約は更新される。 | ◯ |
11 | H04-11-3 | 賃貸借契約の期間が満了した場合において、賃貸人が自ら使用することを必要とする等正当の事由があるときは、賃貸人は、あらかじめ更新拒絶の通知をしなくても、賃貸借契約の更新を拒むことができる。 | × |
12 | H01-13-4 | 賃貸人が賃貸借期間満了の1年前から6月前までの間に賃借人に対して更新拒絶の通知をしないときは、前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。 | ◯ |
正当事由(借地借家法[05]2(1)(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | H28-12-2
| 建物の賃貸借契約において、賃貸人が賃借人に対し、解約を申し入れる場合、明渡しの条件として、一定額以上の財産上の給付を申し出たときは、賃貸人の解約の申入れに正当事由があるとみなされる。
| × |
2 | H21-12-2 | 期間の定めがない場合、賃貸人は、正当事由があるときに限り、解約の申入れができる。 | ◯ |
3 | H10-12-2 | 正当事由の有無は、賃貸人・賃借人についての事情のみで決せられ、転借人の事情は考慮されない。 | × |
4 | H08-12-3 | 正当事由は、解約申入れ時に存在すれば、6月経過後に存在しなくても良い。 | × |
5 | H08-12-4 | 正当事由は、自己使用の必要性のほかに、金銭支払の申出も考慮される。 | ◯ |
6 | H01-13-3 | 正当の事由がなければ、更新を拒絶できない。 | ◯ |
①期間の定めがない契約となる場合
②解約の申入れ
③契約終了時期
★過去の出題例★
解約による建物賃貸借の終了(借地借家法[05]2(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | R03s-12-2 | 本件契約において期間の定めがない場合、借地借家法第28条に定める正当事由を備えてAが解約の申入れをしたときには、解約の申入れをした日から6月を経過した日に、本件契約は終了する。
| ◯ |
2 | R03-12-1 | Aを賃貸人、Bを賃借人とする甲建物の賃貸借契約について期間の定めをしなかった場合、AはBに対して、いつでも解約の申入れをすることができ、本件契約は、解約の申入れの日から3月を経過することによって終了する。 | × |
3 | H29-12-2 | 賃貸人が甲建物の賃貸借契約の解約の申入れをした場合には申入れ日から3月で賃貸借契約が終了する旨を定めた特約は、賃貸人があらかじめ同意していれば、有効となる。 | × |
4 | H27-11-2 | [AがBとの間で、A所有の甲建物について、期間3年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約を締結]賃貸借契約を期間を定めずに合意により更新した後に、AがBに書面で解約の申入れをした場合は、申入れの日から3か月後に賃貸借契約は終了する。 。 | × |
5 | H14-14-4 | 期間の定めのない契約において、賃貸人が、解約の申入れをしたときで、その通知に正当事由がある場合は、解約の申入れの日から3月を経過した日に、契約は終了する。 | × |
6 | H08-12-1 | 期間の定めのない契約において、賃貸人は、賃借人に対して、解約の申入れの日から6月を経過しないと建物の明渡を請求することができない。 | ◯ |
7 | H08-12-2 | [AがBに対してA所有の建物を期間を定めないで賃貸]AがBに対し解約の申入れをしても、6月経過後のBの建物使用についてAが遅滞なく異議を述べないときは、契約は更新されたものとみなされる。 | ◯ |
8 | H06-12-3 | 賃借人・賃貸人間の賃貸借が賃貸人の解約の申入れによって終了した場合において、賃貸人の承諾を得て転借している転借人が建物の使用を継続するときは、賃貸人が遅滞なく異議を述べないと、賃借人・賃貸人間の賃貸借が更新される。 | ◯ |
9 | H05-12-1 | 賃貸借の期間を10月と定めた場合において、その賃貸借が一時使用によるものでないときは、賃貸人が解約の申入れをしても、その申入れの日から6月を経過しないと、契約は終了しない。 | ◯ |
正当事由(借地借家法[05]2(1)(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 |
1 | H28-12-2
| 建物の賃貸借契約において、賃貸人が賃借人に対し、解約を申し入れる場合、明渡しの条件として、一定額以上の財産上の給付を申し出たときは、賃貸人の解約の申入れに正当事由があるとみなされる。
| × |
2 | H21-12-2 | 期間の定めがない場合、賃貸人は、正当事由があるときに限り、解約の申入れができる。 | ◯ |
3 | H10-12-2 | 正当事由の有無は、賃貸人・賃借人についての事情のみで決せられ、転借人の事情は考慮されない。 | × |
4 | H08-12-3 | 正当事由は、解約申入れ時に存在すれば、6月経過後に存在しなくても良い。 | × |
5 | H08-12-4 | 正当事由は、自己使用の必要性のほかに、金銭支払の申出も考慮される。 | ◯ |
6 | H01-13-3 | 正当の事由がなければ、更新を拒絶できない。 | ◯ |
[Step.2]一問一答式実戦応用編講座
実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。
必須資料『一問一答式過去問集』を解き、自己採点をしたうえで、解説講義を視聴してください。
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