【宅建過去問】(令和03年12月問17)建築基準法

建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 4階建ての建築物の避難階以外の階を劇場の用途に供し、当該階に客席を有する場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
  2. 床面積の合計が500㎡の映画館の用途に供する建築物を演芸場に用途変更する場合、建築確認を受ける必要はない。
  3. 換気設備を設けていない居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して10分の1以上としなければならない。
  4. 延べ面積が800㎡の百貨店の階段の部分には、排煙設備を設けなくてもよい。

正解:3

1 正しい

建築物の避難階以外の階を劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場の用途に供し、その階に客席、集会室その他これらに類するものを有する場合、その階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければなりません(建築基準法施行令121条1項1号)。

2 正しい

映画館も演芸場も、いずれも特殊建築物に該当します(建築基準法6条1項1号)。

該当するもの共同住宅、映画館、ホテル、バー、飲食店、物品販売店舗、倉庫、自動車車庫
該当しないもの戸建住宅、事務所
特殊建築物(建築基準法[09]2(1)①
建築大規模修繕
大規模模様替
用途変更
新築増改築・移転
特殊建築物
(その用途に供する部分
の床面積が200㎡超)
大型建築物×
一般建築物××
建築確認の要否(建築基準法[09]2(2)

○:建築確認が必要/△:「防火・準防火地域外で10㎡以内のもの」を除き、建築確認が必要×:建築確認は不要

そして、その用途に供する部分の床面積は500㎡で、200㎡を超えています。したがって、映画館を演芸場に用途変更する場合、建築確認を受ける必要があるように思えます。

ただし、用途変更については、類似の用途相互間の用途変更であれば、建築確認が不要になるルールがあります(建築基準法87条1項)。そして、劇場と演芸場は、類似用途のグループに入っています(令137条の18第1号)。したがって、用途変更に当たって、建築確認を受ける必要はありません。

  1. 劇場、映画館、演芸場
  2. ホテル、旅館
  3. 博物館、美術館、図書館
■参照項目&類似過去問
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建築確認(特殊建築物)(建築基準法[09]2(2))
年-問-肢内容正誤
建築
1R06-17-3防火地域内に存在する共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であっても、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要がある。
2H27-17-4映画館の用途に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡であるものの改築をしようとする場合、建築確認が必要である。
3H07-23-2共同住宅の用途に供する部分の床面積が300㎡の建築物を増築しようとする場合において、その増築に係る部分の床面積の合計が20㎡であるときは、建築確認を受ける必要がある。
4H03-21-2木造1階建て、床面積250㎡のバーを改築する場合、建築基準法の確認を要しない。×
大規模修繕
1H19-21-1建築主は、共同住宅の用途に供する建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が280㎡であるものの大規模の修繕をしようとする場合、当該工事に着手する前に、当該計画について建築確認を受けなければならない。
2H02-21-4延べ面積が250㎡の自動車車庫について大規模の修繕をする場合、鉄筋コンクリート造1階建てであれば、建築確認を受ける必要はない。×
用途変更
1R06-17-4劇場の用途に供する建築物を映画館(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築主事、建築副主事又は指定確認検査機関の確認を受ける必要はない。
2R03s-17-2床面積の合計が500㎡の映画館の用途に供する建築物を演芸場に用途変更する場合、建築確認を受ける必要はない。
3H29-18-4ホテルの用途に供する建築物を共同住宅(その用途に供する部分の床面積の合計が300㎡)に用途変更する場合、建築確認は不要である。×
4H27-17-3事務所の用途に供する建築物をホテル(その用途に供する部分の床面積の合計が500㎡)に用途変更する場合、建築確認は不要である。×
5H24-18-2事務所の用途に供する建築物を、飲食店(その床面積の合計250㎡)に用途変更する場合、建築確認を受けなければならない。
6H22-18-2用途が事務所である3階建て、延べ面積600㎡、高さ10mの建築物の用途を変更して共同住宅にする場合は、確認を受ける必要はない。×
7H11-20-3自己の居住の用に供している建築物の用途を変更して共同住宅(その床面積の合計300㎡)にしようとする場合は、建築確認を受ける必要がない。×
8H04-21-4木造3階建て、延べ面積400㎡、高さ12mの一戸建て住宅の1階部分(床面積250㎡)をコンビニエンスストアに用途変更する場合、建築確認を受ける必要がある。
9H02-21-2延べ面積が250㎡の下宿の用途に供する建築物を寄宿舎に用途変更する場合、建築確認を受ける必要はない。
10H01-23-4都市計画区域内の木造平屋建て、延べ面積150㎡、高さ6mの一戸建ての住宅を共同住宅に用途変更をする場合、建築確認を受ける必要がある。

3 誤り

居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、20分の1以上とする必要があります(建築基準法28条2項)。
本肢は、これを「10分の1」とする数字ヒッカケです。

採光目的床面積の1/7以上
※1/10まで緩和可能
換気目的床面積の1/20以上
居室の開口部(建築基準法[02]2(2)

※住宅の居室には、採光のため、床面積の7分の1以上の面積の開口部が必要です(建築基準法28条1項)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る

居室の開口部(建築基準法[02]2(2))
年-問-肢内容正誤
1R03s-17-3換気設備を設けていない居室には、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して10分の1以上としなければならない。×
2H26-17-1住宅の地上階における居住のための居室には、採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、原則として、その居室の床面積に対して7分の1以上としなければならない。
3H24-18-3住宅の居室には、原則として、換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、25分の1以上としなければならない。×
4H12-22-1住宅は、敷地の周囲の状況によってやむを得ない場合を除き、その1以上の居室の開口部が日照を受けることができるものでなければならない。×

4 正しい

百貨店で延べ面積が500㎡を超えるものには、排煙設備を設置する義務があります(建築基準法施行令126条の2第1項)。ただし、階段の部分は、例外です。ここには排煙設備を設ける必要がありません(同項3号)。


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