【宅建過去問】(平成30年問03)停止条件
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- 本件約定は、停止条件付贈与契約である。
- 本件約定の後、Aの放火により甲建物が滅失し、その後にBが本件試験に合格した場合、AはBに対して損害賠償責任を負う。
- Bは、本件試験に合格したときは、本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。
- 本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件試験に合格しても、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。
正解:3
設定の確認
1 正しい
Bが本件試験に合格すれば、贈与契約の効力が発生し、Bは、甲建物の所有権を取得します。しかし、逆に、不合格だったときには、贈与契約の効力は生じません。つまり、Bは、甲建物を手に入れることができません。
したがって、「Bが合格したら甲建物を贈与する」というAB間の約束は、停止条件付きの贈与契約ということになります(民法127条1項)。
停止条件 | 条件成就により、法律行為の効力が発生 | |
解除条件 | 条件成就により、法律行為の効力が消滅 |
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H30-03-1 | AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定は、停止条件付贈与契約である。 | ◯ |
2 | H30-03-3 | AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。Bは、本件試験に合格したときは、本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。 | × |
3 | H18-03-1 | Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。 | ◯ |
4 | H11-06-1 | AとBは、A所有の土地をBに売却する契約を締結し、その契約に「AがCからマンションを購入する契約を締結すること」を停止条件として付けた(仮登記の手続は行っていない。)。停止条件の成否未定の間は、AB間の契約の効力は生じていない。 | ◯ |
5 | H06-06-1 | AとBは、A所有の甲土地をBに売却する契約を締結し、「Bのロ-ンが某日までに成立しないとき、契約は解除される」旨の条項がその契約にあり、ロ-ンがその日までに成立しない場合は、Bが解除の意思表示をしなくても、契約は効力を失う。 | ◯ |
2 正しい
Bは、本試験前の段階でも「合格したら甲建物がもらえる。」という期待を持って日々勉強しています。このようなBの期待は、期待権として法的な保護を受けます。相手方は、この期待権を侵害することができません(民法128条)。
本肢のAは、甲建物に自ら放火し、滅失させています。これは、明らかにBの期待権を侵害しています。試験に合格しても、甲建物をもらうことはできなくなったからです。それでも、Bは、頑張り、試験に合格しました。甲建物を取得することはできませんが、Aは、期待権侵害に対するペナルティを受けることになります。放火という故意の行為によってBの期待権を侵害したのですから、不法行為が成立します(同法709条)。Aは、Bの損害を賠償しなければなりません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H30-03-2 | AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定の後、Aの放火により甲建物が滅失し、その後にBが本件試験に合格した場合、AはBに対して損害賠償責任を負う。 | ◯ |
2 | H23-02-3 | Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間でB所有の乙不動産を2,000万円で購入する売買契約を締結した。停止条件の成否が未定である間に、Aが甲土地を第三者に売却し移転登記を行い、Bに対する売主としての債務を履行不能とした場合でも、停止条件が成就する前の時点の行為であれば、AはBに対し損害賠償責任を負わない。 | × |
3 | H15-02-1 | Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を本年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。本年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は、契約の効力が生じていないので、Aは、この売買契約を解約できる。 | × |
4 | H15-02-2 | Aは、Bとの間で、B所有の不動産を購入する売買契約を締結した。ただし、AがA所有の不動産を本年12月末日までに売却でき、その代金全額を受領することを停止条件とした。手付金の授受はなく、その他特段の合意もない。本年12月末日以前でこの停止条件の成否未定の間は、契約の効力が生じていないので、Bは、この売買契約を解約できる。 | × |
5 | H11-06-3 | AとBは、A所有の土地をBに売却する契約を締結し、その契約に「AがCからマンションを購入する契約を締結すること」を停止条件として付けた(仮登記の手続は行っていない。)。停止条件の成否未定の間は、Aが当該A所有の土地をDに売却して所有権移転登記をしたとしても、Aは、Bに対して損害賠償義務を負うことはない。 |
3 誤り
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生じます(民法127条1項)。本問でいえば、Bが本件試験に合格したときに贈与契約の効力が生じ、その時点で、Bは、甲建物の所有権を取得します。贈与契約締結の時点にさかのぼるわけではありません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H30-03-1 | AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定は、停止条件付贈与契約である。 | ◯ |
2 | H30-03-3 | AとBとの間で、5か月後に実施される試験にBが合格したときにはA所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。Bは、本件試験に合格したときは、本件約定の時点にさかのぼって甲建物の所有権を取得する。 | × |
3 | H18-03-1 | Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。 | ◯ |
4 | H11-06-1 | AとBは、A所有の土地をBに売却する契約を締結し、その契約に「AがCからマンションを購入する契約を締結すること」を停止条件として付けた(仮登記の手続は行っていない。)。停止条件の成否未定の間は、AB間の契約の効力は生じていない。 | ◯ |
5 | H06-06-1 | AとBは、A所有の甲土地をBに売却する契約を締結し、「Bのロ-ンが某日までに成立しないとき、契約は解除される」旨の条項がその契約にあり、ロ-ンがその日までに成立しない場合は、Bが解除の意思表示をしなくても、契約は効力を失う。 | ◯ |
4 正しい
意思能力とは、自分のした法律行為の結果を判断できる能力のことをいいます。意思能力を欠く状態で行った法律行為は、無効です(民法3条の2)。したがって、AB間の贈与契約は、無効です。当初から何の効力も生じません。Bは、本件試験に合格しても、甲建物を手に入れることができません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03-05-4 | 意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。 | ◯ |
2 | H30-03-4 | AとBとの間で、A所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。 | ◯ |
3 | H24-03-1 | 意思能力を欠く状態での意思表示は、無効である。 | ◯ |
4 | H20-01-1 | 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。 | ◯ |
5 | H19-01-4 | A所有の甲土地についてのAB間の売買契約が、Aが泥酔して意思無能力である間になされたものである場合、Aは、酔いから覚めて売買契約を追認するまではいつでも売買契約を取り消すことができ、追認を拒絶すれば、その時点から売買契約は効となる。 | × |
6 | H17-01-2 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方である買主Bが意思無能力者であった場合、Bは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。 | × |
7 | H15-01-1 | 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。 | × |
8 | H02-04-1 | A所有の土地が、AからBへと売り渡された。Aが成年被後見人の場合、Aは、契約の際完全な意思能力を有していてもAB間の契約を取り消し、Cに対して所有権を主張することができる。 | ◯ |
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いつもとてもわかりやすい解説ありがとうございます、3回目なので、今年こそは、絶対合格したいです。 4の意思表示を欠く状態で行った法律行為は、無効です。とありますが、意思能力を欠く状態でも同じですか? 宜しくお願い致します
中島様
ご不便をお掛けして申し訳ありません。
肢4の解説文中、「意思『表示』を欠く状態で行った法律行為」は、「意思『能力』を欠く状態で行った法律行為」の誤りです。
この点について、先ほど訂正を完了しました。
ご指摘いただき、ありがとうございます。
なお、解説動画など、解説文以外の教材には誤りがありません。
現状のまま、安心してご利用ください。
引き続きよろしくお願いします。
返信ありがとうございました。どうしても、細かい所で、ここがもし出たらと思って時間を使ってしまいます。解決出来て良かったです。
余計な時間を使わせてしまい、申し訳ありませんでした。
肢2は不法行為ではなく債務不履行による損害賠償責任を負うのではないでしょうか。
わたべ様
御質問ありがとうございます。
期待権を侵害した場合の損害賠償請求について、その根拠を債務不履行責任に求める学説も存在します。
しかし、通説(多数派の学説)は、不法行為を根拠と考えています。条件成就以前の問題であり、契約上の責任は生じていないと考えるからです。
実際のところ、いずれの学説をとっても、宅建試験での解答に影響はありません。
本問もそうですが、過去問を含めて、
「損害賠償責任を負うか負わないか。」
しか問われていないからです。
家坂先生
ご丁寧なご説明をどうもありがとうございました。
よくわかりました。
わざわざ御返信ありがとうございます。
また何かありましたら、遠慮なく質問してください。