■講義編■民法[30]不法行為
「殴られてケガをした。」「歩行者がクルマにひかれた。」というような場合、この行為が不法行為と呼ばれます。
加害者は被害者に対して損害を賠償しなければなりません。加害者が会社に雇われていて、仕事の上で交通事故を起こした、というような場合は、加害者だけでなく、雇っていた会社(使用者)も損害賠償の責任(使用者責任)を負います。
Contents
1.一般不法行為
(1).不法行為とは
①構造
②損害
- 財産的損害
- 精神的損害→慰謝料
③慰謝料請求権の相続
被害者が死亡した場合(民法[30]1(1)③)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 24-09-2 | 被害者が即死した場合、被害者には精神的損害が発生せず、相続人は慰謝料請求権を相続しない。 | × |
2 | 20-11-1 | 被害者が即死した場合、被害者には慰謝料請求権が発生せず、相続人は慰謝料請求権を相続しない。 | × |
3 | 19-05-2 | 被害者の慰謝料請求権は、被害者が生前に意思を表明しなくとも、相続される。 | ◯ |
4 | 13-10-1 | 被害者が即死した場合、損害賠償請求権は観念できず、相続されない。 | × |
2.特殊不法行為①-使用者責任
(1).構造
(2).成立要件
使用者責任の成立要件(民法[30]2(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 23-08-1 | 青信号で横断歩道を歩いていたAが、赤信号を無視した自動車にはねられてケガをした。運転者はBに雇用されていて、勤務時間中、仕事のために自動車を運転していた。Aが治療費として病院に支払った50万円の支払いをBに対して求める場合、、AのBに対する債権は、契約に基づいて発生する。 | × |
2 | 18-11-2 | 加害者が、使用者に無断で使用者所有の自動車を運転し事故を発生させた場合、使用者責任は発生しない。 | × |
3 | 11-09-1 | 加害者の行為が職務行為に属しない場合でも、外形から判断して職務範囲内に属するときは、使用者責任が発生する。 | ◯ |
4 | 11-09-2 | 加害者の行為が職務行為に属しないことを、被害者が重過失で知らない場合、使用者責任は発生しない。 | ◯ |
5 | 06-07-1 | 被用者の不法行為が成立しなければ、使用者に対して損害賠償請求できない。 | ◯ |
6 | 06-07-3 | 被用者の行為が使用者の指示によるものでない場合、使用者責任は発生しない。 | × |
(3).使用者責任と加害者の不法行為責任との関係
①連帯債務(⇒[17])
②連帯債務者の一人に生じた事由(⇒[17]4(1))
使用者責任と加害者の不法行為責任(民法[30]2(3))
使用者責任の性質(連帯債務)(民法[30]2(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 25-09-4 | 使用者責任に基づく損害賠償を請求した場合、加害者に対する損害賠償請求はできない。 | × |
2 | 20-11-3 | AがCに雇用されており、AがCの事業の執行につきBに加害行為を行った場合には、CがBに対する損害賠償責任を負うのであって、CはAに対して求償することもできない。 | × |
3 | 18-11-1 | 使用者責任が発生する場合、被用者である加害者の不法行為に基づく損害賠償責任は発生しない。 | × |
4 | 06-07-2 | 使用者責任に基づく損害賠償を請求した場合、被用者である加害者に対する損害賠償請求はできない。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 24-09-1 | 使用者責任が成立する場合、被用者の損害賠償義務が時効消滅しても、使用者の損害賠償義務は消滅しない。 | ◯ |
2 | 11-09-3 | 使用者責任が成立する場合、被用者に対する損害賠償請求権が時効消滅しても、使用者の損害賠償義務は消滅しない。 | ◯ |
(4).使用者の被用者に対する求償
①求償の可否
求償◯
②求償の程度
信義則上相当と認められる限度
★過去の出題例★
使用者の被用者に対する求償(民法[30]2(4))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-07-ウ | 使用者は、使用者責任に基づき、被害者に対して被用者の不法行為から生じた損害を賠償した場合、被用者に対して求償することができるが、その範囲が信義則上相当と認められる限度に制限される場合がある。 | ◯ |
2 | 25-09-1 | 使用者は、被用者との共同不法行為者に対して、求償権を行使することができる。 | ◯ |
3 | 25-09-2 | 使用者は、被用者に対して、求償ができない。 | × |
4 | 24-09-3 | 使用者は、被用者から全額の求償ができる。 | × |
5 | 20-11-3 | 使用者は、被用者に対して、求償ができない。 | × |
6 | 18-11-4 | 使用者は、被用者から損害額の1/2の求償ができる。 | × |
7 | 14-11-3 | 使用者は、被用者に対して、信義則上相当と認められる限度において、求償ができる。 | ◯ |
8 | 14-11-4 | (Aの被用者Bと、Cの被用者Dが、A及びCの事業の執行につき、共同してEに対し不法行為)Dが、自己の負担部分を超えて、Eに対し損害を賠償したときは、その超える部分につき、Aに対し、Aの負担部分の限度で求償することができる。 | ◯ |
9 | 11-09-4 | 使用者は、被用者に故意または重過失がなければ、求償できない。 | × |
10 | 06-07-4 | 使用者は、被害者に対して損害の賠償をした場合、被用者に求償することはできない。 | × |
11 | 04-09-4 | 使用者は、被用者に対して、求償ができない。 | × |
(5).被用者の使用者に対する求償
①求償の可否
求償◯
②求償の程度
信義則上相当と認められる限度
3.特殊不法行為②-土地工作物責任
(1).状況
(2).占有者の責任
(3).所有者の責任
土地工作物責任(民法[30]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
占有者 | |||
1 | R03-08-1 | Aが1人で居住する甲建物の保存に瑕疵があったため、甲建物の壁が崩れて通行人Bがケガをした。Aが甲建物をCから賃借している場合、Aは甲建物の保存の瑕疵による損害の発生の防止に必要な注意をしなかったとしても、Bに対して不法行為責任を負わない。 | × |
2 | 17-11-3 | 占有者は、損害発生防止に必要な注意をしていれば、損害賠償責任を免れることができる。 | ◯ |
3 | 13-10-3 | 被害者は、損害発生防止に必要な注意を怠った占有者に損害賠償請求できるが、その場合には、所有者に損害賠償請求することはできない。 | ◯ |
4 | 13-10-4 | 施工業者にも一部責任がある場合、占有者は、施工業者に対して求償権を行使できる。 | ◯ |
5 | 08-06-4 | 占有者は、損害発生防止に必要な注意をしたときでも、不法行為責任を負うことがある。 | × |
所有者 | |||
1 | R03-08-2 | Aが1人で居住する甲建物の保存に瑕疵があったため、甲建物の壁が崩れて通行人Bがケガをした。Aが甲建物を所有している場合、Aは甲建物の保存の瑕疵による損害の発生の防止に必要な注意をしたとしても、Bに対して不法行為責任を負う。 | ◯ |
2 | 17-11-1 | 所有者は、損害発生防止に必要な注意をしていれば、損害賠償責任を免れることができる。 | × |
3 | 13-10-3 | 被害者は、損害発生防止に必要な注意を怠った占有者に損害賠償請求できるが、その場合には、所有者に損害賠償請求することはできない。 | ◯ |
4 | 08-06-3 | 所有者は、損害発生防止に必要な注意をしたときでも、不法行為責任を負うことがある。 | ◯ |
4.特殊不法行為③-共同不法行為
(1).状況
(2).共同不法行為者同士の関係
連帯して損害賠償責任を負う
(連帯債務⇒2(3)①)
共同不法行為者の責任(民法[30]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 25-09-3 | 共同不法行為(自動車事故)の加害者の同乗者は、他の加害者に対して損害賠償請求できない。 | × |
2 | 19-05-3 | 共同不法行為の加害者の1人に履行を請求しても、他の加害者には効力を有しない。 | ◯ |
3 | 14-11-1 | 共同不法行為の加害者は、加害割合に応じた金額についてのみ賠償の責任を負う。 | × |
4 | 14-11-2 | (Aの被用者Bと、Cの被用者Dが、A及びCの事業の執行につき、共同してEに対し不法行為)Aが、自己の負担部分を超えて、Eに対し損害を賠償したときは、その超える部分につき、Cに対し、Cの負担部分の限度で求償することができる。 | ◯ |
5 | 12-08-2 | 共同不法行為の加害者のうち過失が軽微な者に対しても、損害全額の賠償を請求できる。 | ◯ |
6 | 04-09-3 | 売主・買主それぞれが宅建業者に媒介を依頼し、両業者が共同不法行為を行った場合、買主は、自らが依頼した宅建業者には損害賠償請求できるが、売主が依頼した業者には請求できない。 | × |
5.不法行為に関するルール
(1).過失相殺
①過失相殺とは
被害者に過失あり
→裁判所は、これを考慮して、損害賠償額を定めることができる
②被害者側の過失
③債務不履行との比較
不法行為:過失相殺(民法[30]5(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 24-09-4 | 被害者が幼児である場合、被害者側の過失を理由に過失相殺することはできない。 | × |
2 | 12-08-1 | 加害者から過失相殺の主張がなければ、裁判所は考慮することができない。 | × |
(2).損害賠償請求権の消滅時効
★過去の出題例★
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(民法[30]5(2))
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(民法[06]3(2))
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効(民法[06]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-08-3 | Aが1人で居住する甲建物の保存に瑕疵があったため、甲建物の壁が崩れて通行人Bがケガをした。本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害又は加害者を知らないときでも、本件事故の時から20年間行使しないときには時効により消滅する。 | ◯ |
2 | R03-08-4 | Aが1人で居住する甲建物の保存に瑕疵があったため、甲建物の壁が崩れて通行人Bがケガをした。本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには時効により消滅する。 | ◯ |
3 | R02s-01-4 | 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しない場合、時効によって消滅する。 | ◯ |
4 | 28-09-1 | 信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権(人の生命又は身体の侵害によるものではない。)は、買主が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効により消滅する。 | ◯ |
5 | 28-09-2 | 信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の損害賠償請求権は、損害を被っていることを買主が知らない場合でも、売買契約から10年間行使しないときは、時効により消滅する。 | × |
6 | 26-06-3 | 建物の瑕疵に関して不法行為責任に基づく損害賠償を請求する場合、請求ができる期間は、瑕疵の存在に気付いてから1年以内である。 | × |
7 | 26-08-1 | 不法行為による損害賠償請求権の期間の制限を定める民法724条における、被害者が損害を知った時とは、被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう。 | ◯ |
8 | 26-08-2 | 不法行為による損害賠償債務の不履行に基づく遅延損害金債権は、債権が発生した時から10年間行使しないことにより、時効によって消滅する。 | × |
9 | 26-08-3 | 不法占拠により日々発生する損害については、加害行為が終わった時から一括して消滅時効が進行し、日々発生する損害を知った時から別個に消滅時効が進行することはない。 | × |
10 | 26-08-4 | 加害者が海外に在住している間は、民法724条後段の20年の時効期間は進行しない。 | × |
11 | 19-05-4 | 不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、権利行使ができることとなった時から10年である。 | × |
12 | 17-11-4 | 不法行為による損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年間行使しなかったときは、時効消滅する。 | ◯ |
13 | 12-08-3 | 不法行為による損害と加害者を知った時から1年間、損害賠償請求権を行使しなければ、請求権は時効消滅する。 | × |
(3).履行遅滞
不法行為による損害賠償債務の履行遅滞(民法[30]5(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 19-05-1 | 不法行為による損害賠償の支払債務は、催告を待たず、損害発生と同時に遅滞に陥る。 | ◯ |
2 | 12-08-4 | 不法行為による損害賠償の支払債務は、履行の請求があった時から履行遅滞となる。 | × |
3 | 04-09-2 | 不法行為による損害賠償の支払債務は、被害者が催告するまでもなく、損害発生のときから遅滞に陥る。 | ◯ |
(4).不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺(⇒[21]4(1))
★過去の出題例★
不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺(民法[21]4(1))
不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺(民法[30]5(4))
不法行為等により生じた債権を受働債権とする相殺(民法[30]5(4))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 30-09-3 | Aは、本年10月1日、A所有の甲土地につき、Bとの間で、代金1,000万円、支払期日を同年12月1日とする売買契約を締結した。同年10月10日、BがAの自動車事故によって被害を受け、Aに対して不法行為に基づく損害賠償債権を取得した場合には、Bは売買代金債務と当該損害賠償債権を対当額で相殺することができる。 | ◯ |
2 | 28-09-3 | 買主に対して債権を有している売主は、信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった売主に対する買主の身体の侵害による損害陪償請求権を受働債権とする相殺をもって、買主に対抗することができない。 | ◯ |
3 | 18-11-3 | Bの不法行為がAの事業の執行につき行われたものであり、Aに使用者としての損害賠償責任が発生する場合、Aが被害者に対して売買代金債権を有していれば、被害者は不法行為に基づく損害賠償債権で売買代金債務を相殺することができる。 | ◯ |
4 | 16-08-2 | Bは、A所有の建物を賃借し、毎月末日までに翌月分の賃料50万円を支払う約定をした。BがAに対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有した場合、Bは、このAに対する損害賠償請求権を自働債権として、弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することはできない。 | × |
5 | 07-08-3 | AがBに対して 100万円の金銭債権、BがAに対して 100万円の同種の債権を有している。Aの債権が、Bの悪意による不法行為によって発生したものであるときには、Bは、Bの債権をもって相殺をすることができない。 | ◯ |
6 | 04-09-1 | 不法行為の被害者は、損害債権を自働債権として、加害者に対する金銭返還債務と相殺することができない。 | × |
(5).契約準備段階での説明義務違反
- 損害賠償責任を負う
- 根拠は、不法行為責任である
- 契約上の債務不履行責任ではない
契約準備段階での説明義務違反(民法[30]5(5))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-09-4 | 売主が信義則上の説明義務に違反して、当該契約を締結するか否かに関する判断に影響を及ぼすべき情報を買主に提供しなかった場合、買主は、売主に対して、この説明義務違反を理由に、売買契約上の債務不履行責任を追及することはできない。 | ◯ |
2 | 24-08-1 | AがBと契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による賠償責任を負うことはない。 | ◯ |
3 | 18-01-1 | 契約締結交渉中の一方の当事者が契約交渉を打ち切ったとしても、契約締結に至っていない契約準備段階である以上、損害賠償責任が発生することはない。 | × |
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(2)DVD版講座(全16巻) | 20,800円 |
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