【宅建過去問】(令和04年問36)重要事項説明書(35条書面)

宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

  1. 建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは当該建物の検査済証(宅建業法施行規則第16条の2の3第2号に定めるもの)の保存の状況について説明しなければならず、当該検査済証が存在しない場合はその旨を説明しなければならない。
  2. 宅地の売買の媒介を行う場合、売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明しなければならない。
  3. 建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面にその位置が表示されている場合には、当該図面が存在していることを説明すれば足りる。
  4. 自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、当該建物の引渡しの時期について説明しなければならない。

正解:1

設定の確認

説明の相手方は宅建業者ではない

1 正しい

既存の建物の売買に関しては、「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況」が重要事項とされています(表の⑭。宅建業法35条1項6号の2ロ、規則16条の2の3)。
重要事項とされているのは、「書類の保存の状況」です。「検査済証が存在しない場合」は、「保存の状況=無」と説明することになります。

取引物件に関する重要事項

■参照項目&類似過去問
内容を見る
取引物件に関する重要事項(⑭書類の保存の状況)(宅建業法[11]2(2)⑭)
年-問-肢内容正誤
1R04-36-1建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の住宅であるときは当該建物の検査済証(宅地建物取引業法施行規則第16条の2の3第2号に定めるもの)の保存の状況について説明しなければならず、当該検査済証が存在しない場合はその旨を説明しなければならない。
2R03s-42-イ宅地建物取引業者が媒介により既存建物の貸借の契約を成立させた場合、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書面で、国土交通省令で定めるものの保存の状況について、37条書面に記載しなければならない。
×
3R02s-42-2既存の建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の建築確認済証がなくなっているときは、その旨を説明すればよい。
4R01-28-2宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合、当該建物が既存の建物であるときは、既存住宅に係る住宅の品質確保の促進等に関する法律第6条第3項に規定する建設住宅性能評価書の保存の状況について説明しなければならない。
×
5R01-39-1既存住宅の貸借の媒介を行う場合、建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存状況について説明しなければならない。
×
6H30-27-2宅地建物取引業者Aは、Bが所有し、居住している甲住宅の売却の媒介を、また、宅地建物取引業者Cは、Dから既存住宅の購入の媒介を依頼され、それぞれ媒介契約を締結した。A及びCは、本件契約が成立するまでの間に、Dに対し、甲住宅について、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況及びそれぞれの書類に記載されている内容について説明しなければならない。
×

2 誤り

宅地・建物の売買について、「売買代金の額並びにその支払の時期及び方法」は、重要事項とされていません。

※「代金・借賃」と「それ以外の金銭」の扱いの違いと重要事項説明書と37条書面での扱いの違いが絡んで、頭が混乱している受験生が多いところです。下の表を使って、きちんと整理しておきましょう。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
金銭の授受関係(代金・賃料の額・支払時期・方法)(宅建業法[12]3(2)①)
年-問-肢内容正誤
1R05-42-エ
宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主に対して、重要事項として代金並びにその支払時期及び方法を説明しなければならない。×
2R04-36-2
宅地の売買の媒介を行う場合、売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明しなければならない。×
3R01-41-4
重要事項説明では、代金、交換差金又は借賃の額を説明しなければならないが、それ以外に授受される金銭の額については説明しなくてよい。
×
4H29-40-1
宅地建物取引業者は、中古マンションの売買の媒介において、当該マンションの代金の支払の時期及び引渡しの時期について、重要事項説明書に記載して説明を行ったので、37条書面には記載しなかった。×
5H28-30-1
宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介における重要事項の説明において、借賃の額並びにその支払の時期及び方法について説明するとともに、37条書面に記載しなければならない。
×
6H28-36-ウ
建物の売買の媒介を行う場合、当該建物の売買代金の額並びにその支払の時期及び方法について説明する義務はないが、売買代金以外に授受される金銭があるときは、当該金銭の額及び授受の目的について説明しなければならない。

7H13-39-2宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買の媒介に際して、代金の額及びその支払の時期については、重要事項説明書に記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。
×
8H10-41-2宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合、敷金の授受の定めがあるときは、当該建物の借賃の額のほか、敷金の額及び授受の目的についても説明しなければならない。
×
9H09-37-1宅地建物取引業者が宅地を販売する場合、代金の支払の方法を法第35条の規定に基づく書面に必ず記載しなければならない。
×

3 誤り

(肢1の表の⑨参照。)
「水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面」というのは、いわゆる水害ハザードマップのことです。正式名称で言われても、水害ハザードマップのことだと分かるようにしておきましょう。
宅地・建物の売買・貸借については、「水害ハザードマップに当該宅地又は建物の位置が表示されているときは、当該図面における当該宅地又は建物の所在地」が重要事項とされています(宅建業法35条1項14号、規則16条の4の3第3号の2)。
宅建業者に要求されているのは、「水害ハザードマップ上の所在地」について、重要事項説明書に記載し、説明することです。「水害ハザードマップが存在している」ことだけを説明しても、不十分です。

■参照項目&類似過去問
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取引物件に関する重要事項(⑨水害ハザードマップ上に表示されているときは、その所在地)(宅建業法[11]2(2)⑨)
年-問-肢内容正誤
1R04-36-3賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。×
2R03s-44-ア賃貸借契約において、取引対象となる宅地又は建物が、水防法施行規則第11条第1号の規定により市町村(特別区を含む。)の長が提供する図面に当該宅地又は建物の位置が表示されている場合には、当該図面における当該宅地又は建物の所在地を説明しなければならない。
3R03-33-1宅地建物取引業者は、市町村が、取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成せず、又は印刷物の配布若しくはホームページ等への掲載等をしていないことを確認できた場合は、重要事項説明書にその旨記載し、重要事項説明の際に提示すべき水害ハザードマップが存在しない旨を説明すればよい。
4R03-33-2宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む「洪水」、「雨水出水(内水)」、「高潮」の水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明の際にいずれか1種類の水害ハザードマップを提示すればよい。
×
5R03-33-3宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、売買又は交換の媒介のときは重要事項説明の際に水害ハザードマップを提示しなければならないが、貸借の媒介のときはその必要はない。
×
6R03-33-4宅地建物取引業者は、市町村が取引の対象となる宅地又は建物の位置を含む水害ハザードマップを作成している場合、重要事項説明書に水害ハザードマップを添付すれば足りる。
×

4 誤り

宅地・建物の売買・貸借について、「引渡しの時期」は、重要事項とされていません。

※「引渡しの時期」は、37条書面の必要的記載事項です。他にも37条書面特有の事項があるので、下の表でまとめておきましょう。

■参照項目&類似過去問
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37条書面特有の事項(引渡しの時期)(宅建業法[12]3(3)② )
年-問-肢内容正誤
1R05-33-2宅地の売買における当該宅地の引渡しの時期について、重要事項説明において説明しなければならない。×
2R04-36-4自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、当該建物の引渡しの時期について説明しなければならない。×
3R03-26-4宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bに対し建物の売却を行う。Aは、Bに対し、売買の対象となる建物の引渡しの時期について説明しなければならない。×
4R02-33-2宅地建物取引業者が媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合において、当該宅地の引渡しの時期について重要事項説明書に記載して説明を行ったときは、その内容を37条書面に記載する必要はない。×
5H24-31-4宅地建物取引業者は、居住用建物の貸借を媒介し、当該賃貸借契約を成立させた。この際、当該建物の引渡しの時期に関する定めがあったが、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において、既に借主へ伝達していたことから、37条書面にはその内容を記載しなかった。
×
6H23-32-4宅地建物取引業者が自ら売主となって建物の売買契約を締結する場合、買主が宅地建物取引業者でないときは、当該建物の引渡時期を説明する必要がある。
×
7H13-39-3宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買の媒介に際して、宅地及び建物の引渡しの時期については、特に定めをしなかったため、重要事項説明書にはその旨記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。
×
8H09-40-3宅地建物取引業者Aが、売主B、買主Cとする建物の売買を媒介しようとしている。Aは、建物の引渡しの時期についてBとCの合意が不確定であったので、売買契約が成立するまでの間に、当該事項をCに説明しなかった。
9H05-44-2当該物件の引渡時期については、未だ定まっていなかったので、何も説明しなかった。

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