7月
11
1992

【宅建過去問】(平成04年問04)取得時効

【過去問本試験解説】発売中

AがBの所有地を長期間占有している場合の時効取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない。
  2. Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、その土地がB所有のものであることを知った場合、Aは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得することができる。
  3. Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、BがDにその土地を売却し、所有権移転登記を完了してもAは、その後3年間占有を続ければ、その土地の所有権を時効取得し、Dに対抗することができる。
  4. Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない。

正解:1

1 誤り

占有権は、代理人によって取得することができ、これを代理占有という(民法181条)。そして、他人に賃貸し、賃借人に占有させることも、「代理占有」に該当する。
したがって、Aは、A自身の占有期間(7年間)に、賃借人の占有期間(3年間)、を加算することができ、占有期間は合計10年間となる。
Aは、占有開始時に善意無過失だったのだから、10年の経過により所有権を時効取得することができる(民法162条2項)。

■類似過去問(代理占有)
  • 平成14年問03肢1(売主A・買主Bの売買契約解除後、Aが、Bに対して建物をCのために占有することを指示し、Cがそれを承諾しただけでは、AがCに建物を引き渡したことにはならない:×)
  • 平成10年問02肢2(A所有の甲土地をBが2年間自己占有し、引き続き18年間Cに賃貸していた場合には、Bに所有の意思があっても、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない:×)
  • 平成04年問04肢1(Bの所有地をAが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得することはできない:×)
■類似過去問(占有の承継)
  • 平成16年問05肢1(Bが平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて2年間占有した場合、当該土地の真の所有者はBではなかったとCが知っていたとしても、Cは10年の取得時効を主張できる:◯)
  • 平成16年問05肢2(Bが所有の意思をもって5年間占有し、CがBから土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合、Cが占有の開始時に善意・無過失であれば、Bの占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず、Cは10年の取得時効を主張できる:×)
  • 平成10年問02肢1(Bの父が15年間所有の意思をもって平穏かつ公然に甲土地を占有し、Bが相続によりその占有を承継した場合でも、B自身がその後5年間占有しただけでは、Bは、時効によって甲土地の所有権を取得することができない:×)
  • 平成04年問04肢1(Aが善意無過失で占有を開始し、所有の意思をもって、平穏かつ公然に7年間占有を続けた後、Cに3年間賃貸した場合、Aは、その土地の所有権を時効取得できない:×)

2 正しい

短期取得時効成立の要件となる善意無過失は、「占有開始の時」について判定する(民法162条2項)。逆にいえば、占有の途中で悪意になったとしても、何ら影響はない。
したがって、合計10年間の占有を続ければ、土地を時効取得することができる。

3 正しい

時系列に整理すると、

  1. BからDへの譲渡・所有権登記
  2. Aの時効完成

という順序であり、AにとってDは、時効完成の第三者にあたる。
この場合、AとDの関係は対抗関係ではなく、Aは登記なくしてDに所有権を対抗することができる(最判昭41.11.22)。
B→D→Aと順次所有権が移転したに過ぎず、対抗関係は生じていないからである。

※時効完成の第三者の場合には、対抗問題になる。比較して整理しておくこと。

■類似過去問(時効完成前後の第三者)
  • 平成24年問06肢1(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなければ対抗不可:×)
  • 平成22年問03肢3(時効期間は、時効の基礎たる事実が開始された時を起算点としなければならず、時効援用者において起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない:◯)
  • 平成22年問04肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)
  • 平成19年問06肢4(時効取得者→時効完成後の譲受人、登記がなければ対抗不可:◯)
  • 平成13年問05肢4(時効完成後の第三者→時効取得者、登記があれば対抗可能:◯)
  • 平成10年問02肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)
  • 平成09年問06肢4(時効取得者→時効完成後の第三者、登記がなくても対抗可能:×)
  • 平成07年問02肢4(時効取得者→時効完成後の第三者、登記がなくても対抗可能:×)
  • 平成04年問04肢3(時効取得者→時効完成前の第三者、登記がなくても対抗可能:◯)

4 正しい

取得時効は、「所有の意思をもって」占有(自主占有)した場合に限り、認められる(民法162条1項・2項)。「所有の意思がない」占有(他主占有)をいくら続けても、時効取得することはできない。
本肢のAの占有は、「賃借権に基づくもので所有の意思がない」というのだから、20年間継続したとしても、土地を時効取得することはできない。

■類似過去問(取得時効:所有の意思がない場合)
  • 平成26年問03肢4(20年間、平穏・公然と他人が所有する土地を占有した者は、占有取得の原因たる事実のいかんにかかわらず、土地の所有権を取得する:×)
  • 平成16年問05肢4(Cが期間を定めずBから土地を借りて利用していた場合、Cの占有が20年を超えれば、Cは20年の取得時効を主張することができる:×)
  • 平成04年問04肢4(Aが20年間平穏かつ公然に占有を続けた場合においても、その占有が賃借権に基づくもので所有の意思がないときは、Bが賃料を請求せず、Aが支払っていないとしても、Aは、その土地の所有権を時効取得することができない:◯)

>>年度目次に戻る

Written by 家坂 圭一 in: 平成04年過去問,民法 |

コメントはまだありません »

RSS feed for comments on this post. TrackBack URL

Leave a comment

Copyright (C) 2005- 株式会社ビーグッド教育企画 All Rights Reserved.
Powered by WordPress | Aeros Theme | TheBuckmaker.com WordPress Themes