7月
08
1995

【宅建過去問】(平成07年問04)通謀虚偽表示

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AとBは、A所有の土地について、所有権を移転する意思がないのに通謀して売買契約を締結し、Bの名義に移転登記をした。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. Bがこの土地にCに対する抵当権を設定し、その登記をした場合で、CがAB間の契約の事情を知っていたときは、Aは、Cに対して抵当権設定行為の無効を主張することができる。
  2. Bがこの土地をDに売却し、所有権移転登記をした場合で、DがAB間の契約の事情を知らなかったことについて過失があるときは、Aは、Dに対してこの土地の所有権を主張することができる。
  3. Aの債権者Eは、自己の債権を保全するため、Bに対して、AB間の契約の無効を主張して、Aの所有権移転登記抹消請求権を代位行使することができる。
  4. BがFに、さらにFがGに、それぞれこの土地を売却し、所有権移転登記をした場合で、AB間の契約の事情について、Fは知っていたが、Gが知らなかったとき、Gは、Aに対しこの土地の取得を主張することができる。

正解:2

通謀虚偽表示による売買契約は、当事者間(AB間)では無効である(民法94条1項)。
しかし、この無効は、善意の第三者に対抗することができない(同条2項)。逆にいえば、悪意の第三者には対抗できることになる。

1 正しい

抵当権設定者Cは、AB間の通謀虚偽表示について悪意である。
したがって、Aは、Cに対して抵当権設定行為の無効を主張することができる。

■類似過去問(通謀虚偽表示:第三者への対抗)
  • 平成22年問04肢4(第三者は、善意悪意によらず、所有権を主張できない:×)
  • 平成20年問02肢2(仮装売買の売主→虚偽表示に善意無過失だが登記を備えていない第三者|対抗できる:×)
  • 平成15年問03肢4(土地の買主B[未登記]→Bと二重譲渡の関係に立ち登記を有する仮想譲渡の買主F|土地所有権を主張できる:◯)
  • 平成12年問04肢2(善意無過失で未登記の第三者→売主|対抗できる:◯)
  • 平成07年問02肢1(土地の買主B→Bと二重譲渡の関係に立ち登記を有する仮想譲渡の買主C|登記がなければ土地所有権を主張できない:×)
  • 平成07年問04肢1(仮想譲渡の売主→悪意の抵当権設定者|抵当権設定の無効を主張できる:◯)
  • 平成07年問04肢2(仮想譲渡の売主→善意有過失の転得者|所有権を主張できる:×)
  • 平成07年問04肢4(仮想譲渡の売主→悪意の転得者|対抗可、仮想譲渡の売主→悪意の転得者から取得した善意の転得者|対抗不可:◯)
  • 平成05年問03肢1(売主→善意の第三者に対抗可:×)
  • 平成05年問03肢2(売主の善意の債権者→善意の転得者に対抗可:×)
  • 平成05年問03肢3(売主→善意で未登記の第三者に対抗可:×)
  • 平成05年問03肢4(善意の転得者→売主に対抗可:◯)
  • 平成02年問04肢4(通謀虚偽表示は当事者間では無効だが、善意無過失の転得者には所有権を主張できない:◯)

2 誤り

土地の転得者Dは、AB間の通謀虚偽表示について善意である。
したがって、Aは、Dに対して土地の所有権を主張することができない。

※Dに過失があるかないか、は結論に無関係である。善意か悪意か、だけに注目すること。

■類似過去問(通謀虚偽表示:第三者への対抗)
  • →肢1

3 正しい

AB間の契約は、通謀虚偽表示によるものであり、無効である(民法94条1項)。したがって、Aは、Bに対して、所有権移転登記の抹消を請求することができる。
Aがこの権利を行使しない場合、Aの債権者であるEは、債権者代位権に基づき、Aの登記抹消請求権を代位行使することができる(民法423条1項。最判昭39.04.17)。

■類似過去問(債権者代位権の転用)
  • 平成26年問07肢2(賃借した土地が不法占拠されている場合、借地権者は、土地所有者の所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使して妨害排除を求めることができる:◯)
  • 平成22年問07肢2(未登記建物の買主は、売主に対する建物の移転登記請求権を保全するため、売主に代位して、建物の所有権保存登記手続を行うことができる:◯)
  • 平成22年問07肢3(建物賃借人が、賃貸人に代位し、建物の不法占拠者から直接自己への明渡請求が可能:◯)
  • 平成22年問07肢4(抵当権者は、抵当不動産の所有者が有する妨害排除請求権を代位行使し、不動産の不法占有者に対し不動産を直接自己に明け渡すよう請求できる:◯)
  • 平成13年問02肢2(錯誤による表意者の債権者は、表意者が錯誤を認めず、無効を主張する意思がないときでも、表意者に代位して、無効を主張できる:×)
  • 平成07年問04肢3(売主A・買主B間の売買契約が通謀虚偽表示によるものであった場合、Aの債権者Eは、自己の債権を保全するため、Bに対して、AB間の契約の無効を主張して、Aの所有権移転登記抹消請求権を代位行使することができる:◯)
  • 平成07年問05肢3(不動産がA→B→Cと譲渡され、登記がAにあるとき、Cは、BのAに対する登記請求権を代位行使できる:◯)
  • 平成07年問05肢4(建物賃借人が、賃貸人に代位し、不法占拠者に対する妨害排除請求権の行使が可能:◯)

4 正しい

【転得者Fについて】
転得者Fは、AB間の通謀虚偽表示について悪意である。
したがって、Fは、Aに対して土地の取得を主張することができない。
【Fからの転得者Gについて】
Gは、AB間の通謀虚偽表示について善意である。
したがって、Gは、Aに対して土地の取得を主張することができる。
【絶対的構成】
善意の転得者Gが一旦現れた以上、この後の転得者については、善意であろうが悪意であろうが、その取引は有効である。このような考え方を絶対的構成という。

■類似過去問(通謀虚偽表示:第三者への対抗)
  • →肢1

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Written by 家坂 圭一 in: 平成07年過去問,民法 |

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