【宅建過去問】(令和04年問14)不動産登記法

不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 所有権の移転の登記の申請をする場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
  2. 所有権の移転の登記の申請をする場合において、当該申請を登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってするときは、登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由があるとみなされるため、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。
  3. 所有権の移転の登記の申請をする場合において、登記権利者が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたときは、当該登記に係る登記識別情報は通知されない。
  4. 所有権の移転の登記の申請をする場合において、その登記が完了した際に交付される登記完了証を送付の方法により交付することを求めるときは、その旨及び送付先の住所を申請情報の内容としなければならない。

正解:2

はじめに

本問は、どの選択肢も、所有権の移転の登記に関するものです。
そこで、はじめに、所有権の移転の登記の流れを見ておくことにしましょう。売主Aと買主Bとの間の土地売買契約に基づき、AからBへ所有権の移転の登記をするケースで考えます。

所有権の移転の登記を典型とする権利に関する登記は、登記義務者と登記権利者が共同申請するのが原則とされています。売買契約でいえば、登記義務者=売主、登記権利者=買主です。
申請にあたっては、①申請情報、②登記原因証明情報、③登記識別情報提供が必要です。このうち、③登記識別情報とは、登記義務者が登記名義人本人であることを確認するための情報で、具体的には、12桁の英数字です。本人確認のためのパスワードとイメージしてください。
登記手続きが完了すると、新しい所有者であるBに対して、(a)登記識別情報が通知されます。また、AとBに対して、(b)登記完了証が交付されます。

1 正しい

登記を申請する際は、申請情報を登記所に提供する必要があります(不動産登記法18条)。電子申請が原則なので「申請情報の提供」という言い回しになっていますが、書面申請でいえば、「申請書を提出」というイメージです。これは、表示に関する登記と権利に関する登記の双方に共通するルールです。
これに加えて、権利に関する登記の申請にあたっては、登記原因を証する情報(登記原因証明情報)を提供する必要があります(同法61条)。売買契約の例でいえば、売買契約書がこれに該当します。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
登記原因証明情報の提供(不動産登記法[03]1(1)②)
年-問-肢内容正誤
1R04-14-1所有権の移転の登記の申請をする場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
2H26-14-1表示に関する登記を申請する場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。×
3H04-14-2権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

2 誤り

(「はじめに」参照。)
所有権の移転の登記など権利に関する登記を申請する場合には、登記識別情報提供する必要があります(不動産登記法22条本文)。ただし、正当な理由がある場合には、提供する必要がありません。
ここでいう「正当な理由」とは、「申請人が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をしたため、登記識別情報が通知されなかった」ようなケースをいいます(同条ただし書き。肢3参照)。ただ単に、「申請を登記の申請の代理を業とすることができる代理人(資格者代理人。典型は司法書士さん)によってする」というだけで、「正当な理由があるとみなされる」ことはありませんし、「登記識別情報を提供する」義務がなくなるわけではありません。

※登記識別情報を提供できない場合には、事前通知(不動産登記法23条1項)や資格者代理人による本人確認(同条4項1号)といった方法を使って、本人であることを確認します。本肢は、資格者代理人による本人確認とのヒッカケだと思われます。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
登記原因証明情報の提供(不動産登記法[03]1(1)②)
年-問-肢内容正誤
1R04-14-1所有権の移転の登記の申請をする場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
2H26-14-1表示に関する登記を申請する場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。×
3H04-14-2権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

3 正しい

(「はじめに」参照。)
登記官は、登記が完了したときは、登記名義人となる申請人に対して、登記識別情報通知しなければなりません(不動産登記法21条本文)。ただし、申請人があらかじめ登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合には、通知しません(同条ただし書き)。

4 正しい

(「はじめに」参照。)
登記完了時に交付される登記完了証を送付の方法で受け取ることも可能です。つまり、郵便で送ってもらうということです。送付による交付を希望する場合、その旨と送付先の住所を申請情報の内容とする必要があります(不動産登記規則182条2項)。


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