【宅建過去問】(平成20年問18)都市計画法
都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)に届け出なければならない。
- 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内において当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設を行おうとする者は、当該事業の施行者の同意を得て、当該行為をすることができる。
- 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡した者は、当該譲渡の後速やかに、譲渡価格、譲渡の相手方その他の事項を当該事業の施行者に届け出なければならない。
- 市町村長は、地区整備計画が定められた地区計画の区域内において、地区計画に適合しない行為の届出があった場合には、届出をした者に対して、届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。
正解:4
1 誤り
「都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内」というのですから、計画段階における制限について問われています。この段階では、建築物の建築が制限されています。建築物を建築する場合、知事等の許可が必要となるのです(都市計画法53条1項本文)。ただし、以下の場合は、例外であり、許可不要とされています(同項ただし書き)。
- 軽易な行為
- 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
- 都市計画事業の施行として行う行為
本肢は、「届出」とする点が誤りです。
※「知事等」とは、「知事(市の区域内にあっては、当該市の長)」のことです(同法26条1項)。つまり、市・町・村のうち、市のエリアではその市の長、町村エリアでは知事、を指します。
※「都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内」ということは、まだ事業認可前、すなわち計画段階ということです。事業認可の告示後、すなわち計画の実行段階では、より厳しい制限が課されます(都市計画法65条1項)。これについては、肢2を参照。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H29-16-ア | 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
2 | H25-15-1 | 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者であっても、当該建築行為が都市計画事業の施行として行う行為である場合には都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可は不要である。 | ◯ |
3 | H21-16-1 | 市街地開発事業の施行区域内においては、非常災害のために必要な応急措置として行う建築物の建築であっても、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | × |
4 | H20-18-1 | 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)に届け出なければならない。 | × |
5 | H12-18-1 | 都市計画施設の区域内において建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
6 | H12-18-2 | 市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
7 | H09-17-3 | 都市計画施設の区域内において建築物の新築をしようとする者は、原則として都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならないが、階数が2以下の木造建築物で、容易に移転し、又は除却することができるものの新築であれば、許可が必要となることはない。 | × |
8 | H07-18-3 | 市街地開発事業の施行区域又は都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとする者は、非常災害のため必要な応急措置として行う行為についても、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | × |
9 | H03-19-2 | 都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとする者は、原則として都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
10 | H03-19-3 | 都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)は、市街地開発事業の施行区域内において、木造2階建ての建築物を建築しようとする者から許可申請があった場合には、必ず許可しなければならない。 | × |
2 誤り
「都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内」というのですから、事業段階での制限について問われています。この段階では、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある以下の行為について、知事等の許可が必要です(都市計画法65条1項)。
- 建築物の建築
- 工作物の建設
- 土地の形質の変更
本肢は、「事業施行者の同意」とする点が誤りです。
※この許可制度に例外はありません。
※「都市計画事業の認可の告示があった後」ということは、すでに都市計画は実行段階です。施行区域の段階、すなわち計画段階(都市計画法53条1項)よりも一層厳しい制限が課されます。「施行区域内の制限」については、肢1を参照。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H29-16-ウ | 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内において、当該都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
2 | H25-15-3 | 都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該事業地内において、当該都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更又は建築物の建築その他工作物の建設を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
3 | H20-18-2 | 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内において当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築、工作物の建設を行おうとする者は、当該事業の施行者の同意を得て、当該行為をすることができる。 | × |
4 | H18-18-2 | 都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該都市計画事業を施行する土地内において、当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)及び当該事業の施行者の許可を受けなければならない。 | × |
5 | H16-17-2 | 都市計画事業の認可等の告示があった後においては、事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある建築物の建築等を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
6 | H14-24-3 | 都市計画法によれば、都市計画事業の事業地内において、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行う者は、原則として都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
7 | H12-18-4 | 都市計画事業の認可等の告示があった後に、当該事業地内において都市計画事業の施行の障害となるおそれがある建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | ◯ |
8 | H10-17-4 | 都市計画事業の認可の告示後、事業地内において行われる建築物の建築については、都市計画事業の施行の障害となるおそれがあるものであっても、非常災害の応急措置として行うものであれば、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受ける必要はない。 | × |
3 誤り
都市計画事業の認可の告示があった以上、事業地内の土地は、最終的には強制収用されることになります。それにもかかわらず譲渡が行われるとすれば、投機的なものであるとか、事業妨害の意図によるものである可能性が疑われます。
これらの弊害を防止するため、事業地内の土地建物を有償で譲渡しようとする場合には、事前に、施行者に届け出なければならないという義務を課しました(都市計画法67条1項)。この届出に対し、施行者は、土地建物を自ら買い取ることができます(同条2項)。これが先買いの制度です。
本肢は、届出のタイミングに関し、「譲渡の後速やかに」とする点が誤っています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02-15-2 | 都市計画事業の認可の告示があった後に当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、施行者の許可を受けなければならない。 | × |
2 | H29-16-エ | 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする者は、当該事業の施行者の許可を受けなければならない。 | × |
3 | H20-18-3 | 都市計画事業の認可の告示があった後、当該認可に係る事業地内の土地建物等を有償で譲り渡した者は、当該譲渡の後速やかに、譲渡価格、譲渡の相手方その他の事項を当該事業の施行者に届け出なければならない。 | × |
4 正しい
地区整備計画が定められている地区計画の区域内で以下の行為を行おうとする場合、着手する日の30日前までに、市町村長に届け出る必要があります(都市計画法58条の2第1項本文、令38条の4)。
- 土地の区画形質の変更
- 建築物の建築
- 工作物の建設
市町村長は、届出を受けた行為が地区計画に適合しないときは、設計の変更その他の必要な措置をとるよう勧告することができます(同法58条の2第3項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | H29-16-イ | 地区整備計画が定められている地区計画の区域内において、建築物の建築を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。 | × |
2 | H24-16-4 | 地区計画の区域のうち地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築等の行為を行った者は、一定の行為を除き、当該行為の完了した日から30日以内に、行為の種類、場所等を市町村長に届け出なければならない。 | × |
3 | H21-16-3 | 工作物の建設を行おうとする場合は、地区整備計画が定められている地区計画の区域であっても、行為の種類、場所等の届出が必要となることはない。 | × |
4 | H20-18-4 | 市町村長は、地区整備計画が定められた地区計画の区域内において、地区計画に適合しない行為の届出があった場合には、届出をした者に対して、届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。 | ◯ |
5 | H19-18-3 | 地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、土地の区画形質の変更又は建築物の建築を行おうとする者は、当該行為に着手した後、遅滞なく、行為の種類、場所及び設計又は施行方法を市町村長に届け出なければならない。 | × |
6 | H12-18-3 | 地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められている区域内において、建築物の建築を行おうとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
7 | H09-17-4 | 地区整備計画が定められている地区計画の区域内において建築物の建築を行う場合には、市町村長の許可が必要であり、市町村長は、地区計画の内容と建築行為の内容とが適合するとき許可をすることができる。 | × |
8 | H03-19-4 | 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、建築物の建築をしようとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 | × |
9 | H01-19-2 | 地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行った者は、当該行為の後30日以内に、行為の種類、場所等一定の事項を市町村長に届け出なければならない。 | × |