【宅建過去問】(平成21年問21)土地区画整理法
土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 土地区画整理事業の施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。
- 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。
- 土地区画整理事業の施行者は、施行地区内の宅地について換地処分を行うため、換地計画を定めなければならない。この場合において、当該施行者が土地区画整理組合であるときは、その換地計画について都道府県知事及び市町村長の認可を受けなければならない。
- 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その公告があった日が終了した時において消滅する。
正解:3
1 正しい
土地区画整理事業の施行者は、必要に応じて、仮換地を指定することができます(土地区画整理法98条1項前段)。
■参照項目&類似過去問
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仮換地の指定(可否)(区画整理法[04]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H28-21-1 | 施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。 | ◯ |
2 | H23-21-4 | 個人施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。 | ◯ |
3 | H21-21-1 | 土地区画整理事業の施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。 | ◯ |
2 正しい
仮換地が指定された場合、従前の宅地を使用収益していた者は、仮換地指定の効力発生日から換地処分の公告日まで、仮換地を仮に使用収益することができます(肢1の図。土地区画整理法99条1項)。
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仮換地の指定の効果(区画整理法[04]2(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
仮換地とは | |||
1 | H05-25-4 | 仮換地が指定されても、従前の宅地を権原に基づき使用することができる者は、換地処分の公告のある日までの間、従前の宅地を使用することができる。 | × |
仮換地指定後の従前の土地の売却等 | |||
1 | H08-27-2 | 従前の宅地の所有者は、仮換地の指定により従前の宅地に抵当権を設定することはできなくなり、当該仮換地について抵当権を設定することができる。 | × |
2 | H08-27-3 | 従前の宅地の所有者は、換地処分の公告がある日までの間において、当該宅地を売却することができ、その場合の所有権移転登記は、従前の宅地について行うこととなる。 | ◯ |
3 | H05-25-3 | 仮換地が指定されても、土地区画整理事業の施行地区内の宅地を売買により取得した者は、その仮換地を使用することができない。 | × |
仮換地の使用収益開始日(原則) | |||
1 | H28-21-2 | 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。 | ◯ |
2 | H21-21-2 | 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。 | ◯ |
3 | H20-23-3 | 仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができる。 | ◯ |
4 | H02-27-2 | 仮換地の指定があった場合、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、従前の宅地の使用又は収益を行うことができない。 | ◯ |
仮換地の使用収益開始日(例外) | |||
1 | H30-21-4 | 土地区画整理事業の施行者は、仮換地を指定した場合において、当該仮換地について使用又は収益を開始することができる日を当該仮換地の効力発生の日と同一の日として定めなければならない。 | × |
2 | H28-21-3 | 施行者は、仮換地を指定した場合において、特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生日と別に定めることができる。 | ◯ |
3 | H14-22-1 | 施行者は、仮換地を指定した場合において、特別の事情があるときは、その仮換地について使用又は収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生日と別に定めることができる。 | ◯ |
4 | H08-27-4 | 仮換地の指定を受けた者は、その使用収益を開始できる日が仮換地指定の効力発生日と別に定められている場合、その使用収益を開始できる日まで従前の宅地を使用収益することができる。 | × |
3 誤り
施行者は、換地処分を行うために換地計画を定める必要があります。施行者の種類によっては、換地計画について知事の認可が必要です(土地区画整理法86条1項)。本肢では、施行者が土地区画整理組合ですから、知事の認可を受けなければなりません。
本肢は、「都道府県知事及び市町村長の認可」としている点が誤っています。
■参照項目&類似過去問
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換地計画を定める手続(区画整理法[03]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-20-4 | 市町村が施行する土地区画整理事業では、事業ごとに、市町村に土地区画整理審議会が設置され、換地計画、仮換地の指定及び減価補償金の交付に関する事項について法に定める権限を行使する。 | ◯ |
2 | R01-20-2 | 施行者が個人施行者、土地区画整理組合、区画整理会社、市町村、独立行政法人都市再生機構又は地方住宅供給公社であるときは、その換地計画について都道府県知事の認可を受けなければならない。 | ◯ |
3 | R01-20-3 | 個人施行者以外の施行者は、換地計画を定めようとする場合においては、その換地計画を2週間公衆の縦覧に供しなければならない。 | ◯ |
4 | H26-20-2 | 施行者は、施行地区内の宅地について換地処分を行うため、換地計画を定めなければならない。この場合において、当該施行者が土地区画整理組合であるときは、その換地計画について市町村長の認可を受けなければならない。 | × |
5 | H25-20-3 | 個人施行者は、換地計画において、保留地を定めようとする場合においては、土地区画整理審議会の同意を得なければならない。 | × |
6 | H21-21-3 | 土地区画整理事業の施行者は、施行地区内の宅地について換地処分を行うため、換地計画を定めなければならない。この場合において、当該施行者が土地区画整理組合であるときは、その換地計画について都道府県知事及び市町村長の認可を受けなければならない。 | × |
7 | H11-23-2 | 個人施行者が換地計画を定めようとする場合において、その内容が事業計画の内容と抵触するときは、当該個人施行者は、換地計画の認可を受けることができない。 | ◯ |
8 | H07-27-4 | 地方公共団体施行の場合、施行者は、縦覧に供すべき換地計画を作成しようとするとき及び縦覧に供した換地計画に対する意見書の内容を審査するときは土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。 | ◯ |
4 正しい
換地処分の公告があった場合、換地計画において定められた換地は、公告日の翌日から従前の宅地とみなされます。また、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、公告日が終了した時に消滅します(土地区画整理法104条1項)。
■参照項目&類似過去問
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換地処分の効果(換地計画に定められた換地)(区画整理法[05]2(3)①)
換地を定めなかった従前の宅地に存する権利(区画整理法[05]2(3)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-20-4 | 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その公告があった日が終了した時において消滅する。 | ◯ |
2 | H21-21-4 | 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その公告があった日が終了した時において消滅する。 | ◯ |
3 | H17-23-3 | 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされるため、従前の宅地について存した抵当権は、換地の上に存続する。 | ◯ |
4 | H05-25-1 | 換地計画において定められた換地は、換地処分の公告があった日の翌日から、従前の宅地とみなされる。 | ◯ |
参加組合員の場合 | |||
1 | R03-20-1 | 換地計画において参加組合員に対して与えるべきものとして定められた宅地は、換地処分の公告があった日の翌日において、当該宅地の所有者となるべきものとして換地計画において定められた参加組合員が取得する。 | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-20-4 | 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その公告があった日が終了した時において消滅する。 | ◯ |
2 | H21-21-4 | 換地処分の公告があった場合においては、換地計画において定められた換地は、その公告があった日の翌日から従前の宅地とみなされ、換地計画において換地を定めなかった従前の宅地について存する権利は、その公告があった日が終了した時において消滅する。 | ◯ |
躓いてしまったので教えて下さい。
4において、104条4項に「施行地区内の宅地について存する地役権は、第一項の規定にかかわらず、前条第四項の公告があつた日の翌日以後においても、なお従前の宅地の上に存する」とあるので、必ずしもそうは言えないと思うのですが、どう判断したら良いのでしょうか?
SHIMIZU様
勉強お疲れ様です。
ご質問ありがとうございます。
土地区画整理法の原則と例外
換地処分が行われた際に「従前の宅地に存する権利」がどのように扱われるか、に関しては、
という2つのルールがあります。
これは、SHIMIZUさんが挙げた条文(同条4項)が「第一項の規定にかかわらず」という言い回しをしていることからも分かります。
宅建試験での扱い(【例外】を考慮する必要があるか)
宅建試験では、「原則のことさえ考えればOK。」という場合が多々あります。
今回の問題は、このパターンです。
逆に、例えば、
宅建試験での扱い(【例外】に触れていないケース)
今回のように、【例外】について何も書かれていない場合が最も厄介です。
を選択しなければならないからです。
そして、その選択の基準は、他の選択肢に求めざるを得ません。
本問の場合、肢3の「都道府県知事及び市町村長の認可」がメチャクチャなので、こちらを「『誤り』で本問の正解」と判断します。
そして、そのことから逆算して、「肢4は【原則】だけ考えて『正しい』とするんだな。」と理解することになります。
他の過去問では
この選択肢については、ナント!一字一句同じという選択肢が令和元年問20肢4で出題されています。
(想像ですが、条文のコピペで作問したため、ソックリになったのでしょう。)
この問題を使って、以上の考え方を確認してみてください。
早速のご回答ありがとうございます。
条文の理解だけでなく宅建試験としての攻略が必要なんですね。
非常に納得が行きました。
引き続きサイトを使わせていただきます。
SHIMIZU様
返信ありがとうございます。
疑問が解消できて何よりです。
当社の教材は、過去問の徹底的な分析をベースに、出題の仕組みやクセまで考えた上で制作しています。
これを使って勉強を進めれば、自然と「攻略」につながるわけです。
私が言うのもヘンですが、当社の教材を信じて、最後まで勉強を進めていきましょう。
今後ともよろしくお願いします。