【宅建過去問】(令和01年問08)請負契約



Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

  1. 本件契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して本件契約の内容に適合しないためこれを建て替えざるを得ない場合には、AはBに対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
  2. 本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合で、当該建物が種類又は品質に関して本件契約の内容に適合しないときは、Aは、当該建物の引渡しを受けた時から1年以内にその旨をBに通知しなければ、本件契約を解除することができない。
  3. 本件契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。
  4. Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。

正解:2

設定の確認

1 正しい

請負契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合、Aは、当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができます(最判平14.09.24)。

※令和2年改正前の民法と異なり、現在の民法では、建物その他の工作物を目的とする請負契約についても、契約の解除が認められています。請負契約を解除することも、損害賠償を請求することも可能なのです。このため、「建替費用相当額の損害賠償」に特別な意味がなくなっています。

■類似過去問
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請負人の担保責任:建替費用相当額の損害賠償(民法[28]3(1))
 年-問-肢内容正誤
1R01-08-1請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないためこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は請負人に対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
224-05-2請負の目的物である建物が種類又は品質に関して本件契約の内容に適合しないためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は、請負人に対し、建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることができる。
318-06-2請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないためにこれを建て替えざるを得ない場合には、注文者は当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。

2 誤り

請負人の担保責任を追及するためには、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知する必要があります(民法637条1項)。
本肢は、「引渡しを受けた時から」とする点が誤りです。

※令和2年改正前の民法と異なり、建物の構造による区別はありません。「コンクリート造の建物」という表現は、出題時のものですが、このことに特に意味はありません。

■類似過去問
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請負人の担保責任:担保責任を追及できる期間(民法[28]3(2))
 年-問-肢内容正誤
1R01-08-2請負契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合で、当該建物が種類又は品質に関して本件契約の内容に適合しないときは、注文者は、当該建物の引渡しを受けた時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ、注文者は、本件契約を解除することができない。
×
307-10-1建物の完成後その引渡しを受けた注文者は、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合は、引渡しの時から2年以内に限り、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求又は契約の解除をすることができる。×
406-08-3引渡しを受けた住宅に契約不適合があるとき、注文者は、不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ、担保責任を追及することができない。
501-08-3完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物が引き渡しを受けてから3年目に契約の内容に適合しない欠陥により損傷したときは、注文者は、その時から2年以内にその旨を請負人に通知しなければ、請負人の担保責任を追及することができない。
×

3 正しい

注文者Aの失火により、請負人Bは、建物を増築することができなくなっています。つまり、仕事完成請求権に関する債権者(注文者)の責任で、仕事完成請求権が実現不可能となったのです。この場合、請負人は残りの工事をする義務を免れます。

※請負人Bの報酬請求権は、消滅しません(同法536条2項前段)。つまり、報酬全額を請求することができます。

■類似過去問
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危険負担(民法[23]5)
 年-問-肢内容正誤
1R01-08-3Aを注文者、Bを請負人とする請負契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。
229-07-2請負契約が注文者の責めに帰すべき事由によって中途で終了した場合、請負人は、残債務を免れるとともに、注文者に請負代金全額を請求できるが、自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還しなければならない。
[共通の設定]
本年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立した。
319-10-1甲建物が同年8月31日時点でAB両者の責に帰すことができない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立するが、Aは甲建物を引き渡す債務を負わないものの、Bは、代金の支払いを拒むことができない。×
419-10-3甲建物が同年9月15日時点でBの責に帰すべき火災により滅失した場合、Aは甲建物を引き渡す債務を負わず、Bは、代金の支払いを拒むことができる。×
519-10-4甲建物が同年9月15日時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との取決めがある場合、Aは甲建物を引き渡す債務を負わず、Bは、代金の支払いを拒むことができる。
608-11-1代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物が地震によって全壊したときは、Bは、Aに対して代金の支払いを拒むことはできない。×
708-11-2代金の支払い及び建物の引渡し前に、その建物の一部が地震によって損壊したときは、Aは、代金の額から損壊部分に見合う金額を減額した額であれば、Bに対して請求することができる。×
808-11-3Aが自己の費用で建物の内装改修工事を行って引き渡すと約束していた場合で、当該工事着手前に建物がBの責めに帰すべき火災で全焼したときは、Aは、内装改修工事費相当額をBに対して償還しなければならない。
901-09-1甲建物の所有権移転登記後、引渡し前に、甲建物が天災によって滅失した場合、Bは、Aに対し代金の支払いを拒むことができない。×
1001-09-2甲建物の所有権移転登記後、引渡し前に、甲建物が放火によって半焼した場合、Bは、Aに対し代金の減額を請求することができない。×

4 正しい

請負人Bが仕事を完成しない間であれば、注文者Aは、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができます(民法641条)。

■類似過去問
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注文者による契約の解除(民法[28]2(2))
 年-問-肢内容正誤
1R01-08-4[Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(本件契約)]Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。
207-10-4注文者Aは、請負人Bが建物の建築を完了していない間にBに代えてDに請け負わせ当該建物を完成させることとする場合、損害を賠償してBとの請負契約を解除することができる。
302-08-4請負契約において請負人が仕事を完成しない間は、請負人は、損害を賠償して契約を解除することができる。×

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