【宅建過去問】(令和05年問37)従業者名簿・従業者証明書

次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、非常勤役員には従業者であることを証する証明書を携帯させる必要はない。
  2. 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。
  3. 宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。
  4. 宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。

正解:3

1 誤り

宅建業者は、その従業者に従業者証明書を携帯させなければなりません。従業者証明書を携帯させなければならない「従業者」には、非常勤の役員単に一時的に事務の補助をする者も含まれます(宅建業法48条1項、解釈・運用の考え方)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
従業者証明書(携帯させる義務)(宅建業法[08]4(4)①)
年-問-肢内容正誤
1R05-37-1
宅地建物取引業者は、非常勤役員には従業者であることを証する証明書を携帯させる必要はない。×
2R02-39-2
宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならず、その者が宅地建物取引士であり、宅地建物取引士証を携帯していても、従業者証明書を携帯させなければならない。
3R02-39-4
宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯させなくてもよい。×
4H29-35-4
宅地建物取引業者は、その業務に従事する者であっても、一時的に事務の補助のために雇用した者については、従業者名簿に記載する必要がない。×
5H28-38-イ
宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、従業者証明書の提示を求められたときは、宅地建物取引業者の代表取締役である宅地建物取引士は、当該証明書がないので提示をしなくてよい。×
6H25-41-4宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が宅地建物取引士で宅地建物取引士証を携帯していれば、従業者証明書は携帯させなくてもよい。×
7H20-42-4宅地建物取引業者は、その業務に従事させる者に、従業者証明書を携帯させなければならないが、その者が非常勤の役員や単に一時的に事務の補助をする者である場合には携帯をさせなくてもよい。×
8H18-42-2宅地建物取引業者は、従業者を業務に従事させる際に、その従業者であることを証する証明書を携帯させなければならないが、当該証明書を携帯させなかった場合でも、業務停止処分を受けることはない。×
9H12-42-3宅地建物取引業者は、その業務に従事する者であっても、アルバイトとして一時的に事務の補助をする者については、従業者名簿に記載する必要はない。×
10H07-44-3宅地建物取引業者Aが本店及び支店の全ての従業者に従業者証明書を携帯させている場合、Aは、本店以外の事務所に従業者名簿を備え、取引の関係者に閲覧させる必要はない。
×
11H04-48-4宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者の発行する従業者証明書をその業務中携帯し、取引の関係者から請求がなくても、提示しなければならないが、この証明書には、従業者証明書番号も記載される。×

2 誤り

宅建業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備える義務を負います(宅建業法48条3項)。また、取引の関係者から請求があったときは、従業者名簿を閲覧に供しなければなりません(同条4項)。
宅建業者が秘密を守る義務を負うのは事実です(同法45条)。しかし、秘密を守る義務は、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を保護するためのものです。この義務を理由に、従業者名簿を閲覧に供するという宅建業法上の義務を無視することは許されません。

従業者名簿の備付け義務

■参照項目&類似過去問
内容を見る
従業者名簿の備付け(備付場所)(宅建業法[08]4(3)①)
年-問-肢内容正誤
1R05-37-2宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。×
2R04-26-3宅地建物取引業者は、主たる事務所については、免許証、標識及び国土交通大臣が定めた報酬の額を掲げ、従業者名簿及び帳簿を備え付ける義務を負う。×
3R03-29-1宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者の氏名、従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載した従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。
×
4R02-39-3宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は、個人情報保護の観点から従業者名簿から消去しなければならない。
×
5H26-41-4宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、退職した従業者に関する事項は従業者名簿への記載の対象ではない。×
6H24-40-ウ宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、当該名簿については最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。
7H22-29-2宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備える義務を怠った場合、監督処分を受けることはあっても罰則の適用を受けることはない。
×
8H20-42-3宅地建物取引業者は、主たる事務所には、設置しているすべての事務所の従業者名簿を、従たる事務所には、その事務所の従業者名簿を備えなければならない。
×
9H19-45-2宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、当該名簿をその者の閲覧に供しなければならないが、当該名簿を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、ディスプレイの画面に表示する方法で閲覧に供することもできる。
10H18-42-1
宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。×
11H12-42-1
宅地建物取引業者は、その業務に関する各事務所の帳簿を一括して主たる事務所に、従業者名簿を各事務所ごとに備えなければならない。×
12H09-30-3従業者名簿を、それぞれの事務所ごとに作成して備え付け、主たる事務所に一括して備え付けることはしなかった。
13H08-40-1宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介契約を締結しようとする場合において、当該業者が宅地の購入をしようとしている依頼者に対して「事務所ごとに従業者名簿を備えていますので、ご希望なら閲覧してください。今お見せした私の従業者証明書の番号も記載されています。」と説明した。
14H07-44-3宅地建物取引業者Aが本店及び支店の全ての従業者に従業者証明書を携帯させている場合、Aは、本店以外の事務所に従業者名簿を備え、取引の関係者に閲覧させる必要はない。
×
従業者名簿の備付け(閲覧させる義務)(宅建業法[08]4(3)④)
年-問-肢内容正誤
1R05-37-2宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。×
2R02-39-1宅地建物取引業者は、従業者名簿の閲覧の請求があったときは、取引の関係者か否かを問わず、請求した者の閲覧に供しなければならない。×
3H19-45-2宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、当該名簿をその者の閲覧に供しなければならないが、当該名簿を事務所のパソコンのハードディスクに記録し、ディスプレイの画面に表示する方法で閲覧に供することもできる。
4H16-44-3宅地建物取引業者は、その事務所に従業者名簿を備えることとされているが、取引の関係者から請求があった場合、当該名簿をその者に閲覧させなければならない。
5H09-30-4宅地建物取引業者は、取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたが、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、この申出を断った。
×
6H08-40-1宅地建物取引業者が宅地の売買の媒介契約を締結しようとする場合において、当該業者が宅地の購入をしようとしている依頼者に対して「事務所ごとに従業者名簿を備えていますので、ご希望なら閲覧してください。今お見せした私の従業者証明書の番号も記載されています。」と説明した。
7H07-44-3宅地建物取引業者Aが本店及び支店の全ての従業者に従業者証明書を携帯させている場合、Aは、本店以外の事務所に従業者名簿を備え、取引の関係者に閲覧させる必要はない。
×
8H04-48-3宅地建物取引業者は、その事務所に従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、その閲覧に供しなければならないが、この名簿には、宅地建物取引士の事務禁止処分の内容も記載される。
×
秘密を守る義務(宅建業法[09]6)
年-問-肢内容正誤
宅建業者
1R05-37-2宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。×
2R03-40-4宅地建物取引業者は、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密に関し、税務署の職員から質問検査権の規定に基づき質問を受けたときであっても、回答してはならない。
×
3R02s-36-1宅地建物取引業者は、依頼者本人の承諾があった場合でも、秘密を他に漏らしてはならない。×
4R02s-36-2宅地建物取引業者が、宅地建物取引業を営まなくなった後は、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしても、法に違反しない。×
5R02s-36-3宅地建物取引業者は、裁判の証人として、その取り扱った宅地建物取引に関して証言を求められた場合、秘密に係る事項を証言することができる。
6R02s-36-4宅地建物取引業者は、調査の結果判明した法第35条第1項各号に掲げる事項であっても、売主が秘密にすることを希望した場合は、買主に対して説明しなくてもよい。×
7R01-27-ウ宅地建物取引業者は、いかなる理由があっても、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
×
8H24-40-イ宅地建物取引業者は、個人情報の保護に関する法律第2条第3項に規定する個人情報取扱事業者に該当しない場合、業務上取り扱った個人情報について、正当な理由なく他に漏らしても、秘密を守る義務(法第45条)に違反しない。
×
9H19-36-3宅地建物取引業者Aが、正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他人に漏らした場合、Aは、甲県知事から業務停止処分を受けることがあるほか、罰則の適用を受けることもある。
10H16-45-2宅地建物取引業者A社は、業務上知り得た秘密について、正当な理由がある場合でなければ他にこれを漏らしてはならないが、A社の従業者aについても、aが専任の宅地建物取引士であるか否かにかかわらず同様に秘密を守る義務を負う。
11H13-45-ア宅地建物取引業者は、正当な理由なしに、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
12H09-30-4宅地建物取引業者は、取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたが、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、この申出を断った。
×
13H07-37-3宅地建物取引業者は、宅地建物取引業を営まなくなった後においても、本人の承諾のある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
×
宅建業者の使用人等
1H17-32-3宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、本人の同意がある場合を除き、正当な理由がある場合でも、宅地建物取業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
×
2H16-45-2宅地建物取引業者A社は、業務上知り得た秘密について、正当な理由がある場合でなければ他にこれを漏らしてはならないが、A社の従業者aについても、aが専任の宅地建物取引士であるか否かにかかわらず同様に秘密を守る義務を負う。
3H12-31-3宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、正当な理由がある場合又はその従業者でなくなった場合を除き、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
×
4H01-49-4宅地建物取引業者の使用人は、正当な理由なくして、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らした場合、5万円以下の過料に処せられることがある。
×

3 正しい

宅建業者の従業者は、取引関係者から請求があったときには、従業者証明書を提示しなければなりません(宅建業法48条2項)。
取引関係者が宅建業者である場合も例外ではありません。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
従業者証明書(提示する義務)(宅建業法[08]4(4)②)
年-問-肢内容正誤
1R05-37-3
宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。
2R04-35-1
宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。×
3R01-40-1
宅地建物取引業者の従業者は、取引の関係者の請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、宅地建物取引士は、重要事項の説明をするときは、請求がなくても説明の相手方に対し、宅地建物取引士証を提示しなければならない。
4H29-37-4
宅地建物取引士は、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、法第35条に規定する重要事項の説明をする際は、宅地建物取引士証の提示が義務付けられているため、宅地建物取引士証の提示をもって、従業者証明書の提示に代えることができる。
×
5H28-38-イ
宅地建物取引士は、取引の関係者から宅地建物取引士証の提示を求められたときは、宅地建物取引士証を提示しなければならないが、従業者証明書の提示を求められたときは、宅地建物取引業者の代表取締役である宅地建物取引士は、当該証明書がないので提示をしなくてよい。
×
6H21-43-1宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から事務所で従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて従業者名簿又は宅地建物取引士証を提示することで足りる。
×
7H19-45-1宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者が発行する従業者証明書をその業務に従事する間、常に携帯し、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければならないが、従業者が宅地建物取引士である場合は、宅地建物取引士証の提示をもってこれに代えることができる。
×
8H15-40-2宅地建物取引業者の従業者である宅地建物取引士は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたときは、この証明書に代えて宅地建物取引士証を提示すればよい。
×
9H08-36-2宅地建物取引業者A(個人)は、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたが、それに代えて宅地建物取引士証を提示した。
×
10H04-48-4宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者の発行する従業者証明書をその業務中携帯し、取引の関係者から請求がなくても、提示しなければならないが、この証明書には、従業者証明書番号も記載される。
×
11H01-40-2宅地建物取引士は、取引の関係者から従業者証明書の提示の請求があったときは、宅地建物取引士証の提示をもってこれに代えることができる。
×
相手方が宅建業者である場合(単発で出題された論点)(宅建業法[総合3]))
年-問-肢内容正誤
1R05-37-3宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。

4 誤り

(肢2の表参照。)
従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存する必要があります(宅建業法規則17条の2第4項)。
「5年間」では短過ぎます。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
従業者名簿の備付け(保存期間)(宅建業法[08]4(3)③)
年-問-肢内容正誤
1R05-37-4宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。×
2R03-29-1宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者の氏名、従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載した従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。
×
3H24-40-ウ宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、従業者名簿を備えなければならず、当該名簿については最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。
4H18-42-1宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならず、当該名簿を最終の記載をした日から5年間保存しなければならない。
×
5H15-40-3宅地建物取引業者は、国土交通省令に定める事項を記載した従業者名簿を、最終の記載をした日から5年間保存すればよい。
×
6H09-30-2宅地建物取引業者は、従業者名簿を、最終の記載をした日から5年間保存し、その後直ちに廃棄した。×
7H02-38-1宅地建物取引業者は、従業者名簿を、最終の記載をした日から10年間保存しなければならない。

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