借地借家法[07]定期建物賃貸借
契約期間の満了後、更新されることなく終了する建物賃貸借を定期建物賃貸借といいます。定期建物賃貸借契約を締結するためには、事前に書面を交付して説明した上で、契約自体も書面で行う必要があります。
定期建物賃貸借契約については、借賃を増額しないという特約(不増額特約)だけでなく、減額しないという特約(不減額特約)も有効とされています。
Contents
1.定期建物賃貸借
(1).定期建物賃貸借とは
契約更新のない建物賃貸借
★過去の出題例★
定期建物賃貸借契約の成立(用途の限定)(借地借家法[07]1(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-12-2 | 甲建物が居住の用に供する建物である場合には、契約の更新がない旨を定めることはできない。 | × |
2 | 20-14-1 | 賃貸人は、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難であり、かつ、その期間経過後はその本拠として使用することになることが明らかな場合に限って、定期建物賃貸借契約を締結することができる。 | × |
3 | 15-14-1 | 居住用建物の賃貸借においては、定期建物賃貸借契約とすることができない。 | × |
(2).定期建物賃貸借契約の成立
①期間の定めがあること
1年未満でも◯
【比較】普通建物賃貸借の場合(⇒[05]1(1))
②書面による契約
公正証書など書面による契約
★過去の出題例★
定期建物賃貸借契約の成立(書面による契約)(借地借家法[07]1(2)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-12-1 | 建物の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約すれば足りる。 | × |
2 | 26-12-1 | 定期建物賃貸借契約を締結するには、公正証書による等書面によらなければならない。 | ◯ |
3 | 24-12-3 | 定期建物賃貸借契約では、更新がない旨の特約を記載した書面を契約に先立って賃借人に交付さえしておけば当該特約は有効となる。 | × |
4 | 19-14-1 | 定期建物賃貸借契約は書面によって契約しなければ有効とならない。 | ◯ |
5 | 18-13-3 | 20年後に賃貸借契約を更新させずに終了させるという建物賃貸借契約が可能である。 | ◯ |
6 | 15-14-2 | 定期建物賃貸借契約は、公正証書でしなければ、無効である。 | × |
7 | 07-13-2 | 定期建物賃貸借契約は、公正証書でしなければならない。 | × |
③事前説明
契約の更新がなく、期間満了により賃貸借は終了」
事前に書面を交付して説明
→説明がない場合、定期建物賃貸借の特約は無効
★過去の出題例★
定期建物賃貸借契約の成立(事前説明)(借地借家法[07]1(2)③)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-12-1 | 建物の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約すれば足りる。 | × |
2 | 29-12-4 | 賃貸借契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借で、契約の更新がない旨を定めるものである場合、当該契約前に賃貸人が賃借人に契約の更新がなく期間の満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければ、契約の更新がない旨の約定は無効となる。 | ◯ |
3 | 26-12-3 | 定期建物賃貸借契約につき、契約書と同じ書面内に記載して説明すれば足りる。 | × |
4 | 26-12-4 | 定期建物賃貸借契約につき説明しなかったときは、契約の更新がない旨の定めは無効となる。 | ◯ |
5 | 24-12-3 | 定期建物賃貸借契約につき、書面を交付さえすれば特約は有効。 | × |
6 | 20-14-2 | 公正証書で契約を締結すれば、書面の交付・説明の必要はない。 | × |
7 | 15-14-3 | 定期建物賃貸借契約を締結する場合、書面の交付・説明が必要である。 | ◯ |
④成立要件でないもの(ヒッカケ対策)
居住用建物でないこと
賃貸人に一定の事情があること
★過去の出題例★
定期建物賃貸借契約の成立(用途の限定)(借地借家法[07]1(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R01-12-2 | 甲建物が居住の用に供する建物である場合には、契約の更新がない旨を定めることはできない。 | × |
2 | 20-14-1 | 賃貸人は、建物を一定の期間自己の生活の本拠として使用することが困難であり、かつ、その期間経過後はその本拠として使用することになることが明らかな場合に限って、定期建物賃貸借契約を締結することができる。 | × |
3 | 15-14-1 | 居住用建物の賃貸借においては、定期建物賃貸借契約とすることができない。 | × |
(3).定期建物賃貸借のルール
①終了通知
- 期間が1年以上である場合、
- 期間満了の1年前から6か月前までの間に通知が必要
通知がないと
→契約終了を建物の賃借人に対抗できない
定期建物賃貸借(終了通知)(借地借家法[07]1(3)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 28-12-4 | 定期建物賃貸借でも、賃貸人は賃借人に対し、所定の通知期間内に、期間満了により契約が終了する旨の通知をしなければ、契約の終了を賃借人に対抗することができない。 | ◯ |
2 | 23-12-2 | 「期間満了前に通知がなくても契約が終了」という特約は有効。 | × |
3 | 20-14-3 | 定期建物賃貸借契約の場合、期間満了1年前から6か月前までに終了を通知しなければ、賃借人に対抗できない。 | ◯ |
4 | 15-14-4 | 期間満了1か月前に通知すればよい。 | × |
②建物賃貸借の中途解約
(a).普通建物賃貸借
中途解約権を留保する特約がない限り、中途解約×
(b).定期建物賃貸借の特例
以下の要件をみたせば、中途解約権の留保がなくても、中途解約◯
建物賃貸借の中途解約(借地借家法[07]1(3)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 27-12-4 | 賃貸人も賃借人も契約期間中の中途解約をすることができない旨の規定は、定期借家契約では有効であるが、普通借家契約では無効である。 | × |
2 | 24-12-4 | 普通建物賃貸借では中途解約不可、定期建物賃貸借契約では途中解約可能。 | ◯ |
3 | 23-12-4 | 一時使用目的の場合、中途解約は特約がなければ不可。 | ◯ |
4 | 20-14-4 | 定期建物賃貸借契約では、床面積に関わらず、中途解約が可能。 | × |
5 | 19-14-3 | 定期建物賃貸借契約では中途解約不可、一時使用賃貸借ではいつでも中途解約可能。 | × |
6 | 17-15-4 | 建物の賃貸借では、中途解約権の留保は不可。 | × |
7 | 02-09-3 | (Aは、その所有する建物を明らかな一時使用のためBに賃貸したが、Bは期間満了後も居住を続け、Aもその事実を知りながら異議を述べなかった。)Aは、正当事由のない場合でも解約の申入れをし、Bに対し、その3ヵ月後に明渡請求をすることができる。 | ◯ |
③ルールに反する特約の効力
賃借人に不利なもの→無効
(4).賃料に関する特約
2.取壊し予定の建物の賃貸借
(1).取壊し予定とは
法令又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合
(2).書面による契約
建物を取り壊すべき事由を記載した書面
×公正証書
★過去の出題例★
取壊し予定の建物の賃貸借(借地借家法[07]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 23-12-3 | 取壊し予定建物の賃貸借は書面による契約で可能。 | ◯ |
2 | 22-11-3 | 取壊し予定建物の賃貸借契約は公正証書によることが必要。 | × |
3 | 11-14-3 | 取壊し予定建物の賃貸借契約は公正証書によることが必要。 | × |
4 | 07-12-2 | 借地人が定期借地権に基づき建てた家屋を賃貸する場合は、借家人との間で「賃貸借は、定期借地権の期間満了に伴い家屋を取り壊すこととなる時に終了し、更新はしない」とする契約を締結することができる。 | ◯ |
5 | 05-12-3 | 法令又は契約により一定の期間を経過した後に取り壊すことが明らかな場合には、「建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する」と特約することができる。 | ◯ |
3.一時使用目的の建物の賃貸借
一時使用が明らかな場合
→借地借家法の規定は、適用されない
→民法のみ適用(⇒民法[26])
★過去の出題例★
一時使用目的の建物の賃貸借(借地借家法[07]3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 23-12-4 | 中途解約は特約がなければ不可。 | ◯ |
2 | 19-14-1 | 書面ではなく口頭で契約しても有効。 | ◯ |
3 | 19-14-2 | 契約期間を1年以上とすることができない。 | × |
4 | 19-14-3 | 契約期間中はいつでも賃借人から中途解約を申し入れできる。 | × |
5 | 19-14-4 | 賃借権の登記も建物の引渡しもないまま建物が売却された場合でも、借主は賃借権を新所有者に主張できる。 | × |
6 | 02-09-1 | (期間が満了後も賃借人が居住を続け、賃貸人は異議を述べなかった。)賃貸人は、期間満了を理由に、賃借人に対し、直ちに明渡請求をすることができる。 | × |
7 | 02-09-2 | 賃貸人は、正当事由のある場合に限り解約し、賃借人に対し、直ちに明渡請求をすることができる。 | × |
8 | 02-09-3 | 賃貸人は、正当事由のない場合でも解約の申入れをし、賃借人に対し、その3ヵ月後に明渡請求できる。 | ◯ |
9 | 02-09-4 | 賃貸人は、正当事由のある場合に限り解約の申入れをし、賃借人に対し、その6ヵ月後に明渡請求をすることができる。 | × |
[Step.1]基本習得編講義
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[Step.2]実戦応用編講義
ご視聴方法 ((1)(2)(3)は同内容、価格は税込です。) |
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(1)eラーニング版講座 | 12,000円 |
(2)DVD版講座(全16巻) | 20,800円 |
(3)ニコニコチャンネル | 1講義150円 or 月額4,800円 |
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