【宅建過去問】(平成25年問07)保証(判決文の読取り問題)

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次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
期間の定めのある建物の賃貸借において、賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人が更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負う趣旨で合意がされたものと解するのが相当であり、保証人は、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き、更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れないというべきである。

  1. 保証人が期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のために保証契約を締結した場合は、賃貸借契約の更新の際に賃貸人から保証意思の確認がなされていなくても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない限り、更新後の賃借人の債務について保証する旨を合意したものと解される。
  2. 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う趣旨で合意した場合には、賃借人の未払賃料が1年分に及んだとしても、賃貸人が保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる事情がなければ、保証人は当該金額の支払義務を負う。
  3. 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う場合、更新後の未払賃料について保証人の責任は及ぶものの、更新後に賃借人が賃借している建物を故意又は過失によって損傷させた場合の損害賠償債務には保証人の責任は及ばない。
  4. 期間の定めのある建物の賃貸借の賃借人のための保証人が更新後の賃借人の債務についても保証の責任を負う旨の合意をしたものと解される場合であって、賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められるときには、保証人は更新後の賃借人の債務について保証の責任を負わない。

正解:3

はじめに

期間の定めのある建物賃貸借契約の更新保証人の責任に関する最高裁判例(最判平09.11.13)からの出題です。与えられた「判決文」を簡潔にまとめると、以下のようになります。

結論
(原則)
期間の定めのある建物賃貸借の保証人は、更新後の賃借人の債務についても保証する
例外(1) 反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がある場合
例外(2) 賃貸人の請求が信義則に反する場合

あとは、各選択肢をよく読み、当てはめるだけです。つまり、

  1. 【例外(1)】又は【例外(2)】の要素がある場合は、保証人の責任は更新後の債務に及ばない
  2. そうでない場合は、【結論(原則)】の通りとなり、保証人の責任は更新後の債務に及ぶ

と判断していくわけです。

■参照項目&類似過去問
内容を見る
保証契約の成立(民法[18]1(2))
年-問-肢内容正誤
契約当事者
1H22-08-1保証人となるべき者が、主たる債務者と連絡を取らず、同人からの委託を受けないまま債権者に対して保証したとしても、その保証契約は有効に成立する。
要式契約
1R02-02-1ケース①(個人Aが金融機関Bから事業資金として1,000万円を借り入れ、CがBとの間で当該債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、口頭による合意でも有効であるが、ケース②(個人Aが建物所有者Dと居住目的の建物賃貸借契約を締結し、EがDとの間で当該賃貸借契約に基づくAの一切の債務に係る保証契約を締結した場合)の保証契約は、書面でしなければ効力を生じない。×
2H27-01-2事業のために負担した貸金債務を主たる債務とする保証契約は、保証人になろうとする個人が、契約締結の日の前1か月以内に作成された公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければ無効となる。
3H24-03-3保証契約は、書面でしなければその効力を生じない。
4H22-08-2口頭での意思表示で保証契約が成立する。×
保証人の責任
1H25-07判決文の読み取り問題

1 正しい

「反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情がない」というのですから、【例外(1)】に当てはまりません。したがって、【結論(原則)】の通りとなります。
「更新の際に保証意思の確認」があるかないか、は、「判決文」に挙げられた基準ではありませんから、無関係です。

2 正しい

「賃貸人が保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる事情がな」いというのですから、【例外(2)】には当てはまりません。したがって、【結論(原則)】の通りとなります。
「賃借人の未払賃料が1年分に及」ぶかどうか、は、「判決文」に挙げられた基準ではありませんから、無関係です。

3 誤り

「反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情」(【例外(1)】)もなければ、「賃貸人の請求が信義則に反するような状況」(【例外(2)】)でもありません。したがって、【結論(原則)】の通りとなります。また、「未払賃料債務」と「損害賠償債務」とを区別するような基準は、「判決文」中に存在しません。
本肢は、「故意又は過失によって損傷させた場合の損害賠償債務には保証人の責任は及ばない」とする点が誤りです。

4 正しい

「保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる」というのですから、【例外(2)】に該当します。したがって、保証人は、更新後の賃借人の債務について保証の責任を負いません。


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