【宅建過去問】(平成23年問36)広告に関する規制
宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事が完了するまでの間は、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の処分があった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることはできない。
- 宅地建物取引業者が、複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をするときは、最初に行う広告以外には取引態様の別を明示する必要はない。
- 宅地建物取引業者は、建物の貸借の媒介において広告を行った場合には、依頼者の依頼の有無にかかわらず、報酬とは別に、当該広告の料金に相当する額を受領することができる。
- 宅地建物取引業の免許を取り消された者は、免許の取消し前に建物の売買の広告をしていれば、当該建物の売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。
正解:1
1 正しい
宅地造成又は建物建築に関する工事の完了前においては、開発許可又は建築確認があった後でなければ、宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることができません(宅建業法33条)。「その他の業務」の中には、貸借の媒介や代理も含まれます。したがって、貸借に関する広告をすることは許されません。
※自ら当事者として売買契約を締結したり、売買契約を代理又は媒介することも許されません(同法36条)。
■類似過去問
内容を見る
広告開始時期の制限(宅建業法[09]2(1)(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-27-2 | 宅地建物取引業者は、建築確認申請中の建物について、建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として当該建物を販売する旨の広告をすることができる。 | × |
2 | R02s-27-3 | 宅地建物取引業者は、宅地の造成工事の完了前においては、当該造成工事に必要とされる許可等の処分があった後であれば、当該宅地の販売に関する広告をすることができる。 | ◯ |
3 | R02-27-エ | 宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に必要な都市計画法に基づく開発許可、建築基準法に基づく建築確認その他法令に基づく許可等の申請をした後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない。 | × |
4 | R01-30-ア | 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。 | × |
5 | R01-30-エ | 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。 | × |
6 | 30-26-3 | 建築基準法第6条第1項の確認を申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。 | × |
7 | 28-32-1 | 宅地の造成に当たり、工事に必要とされる許可等の処分があった宅地について、当該処分があったことを明示して、工事完了前に、当該宅地の販売に関する広告を行うことができる。 | ◯ |
8 | 28-32-2 | 新築マンションを分譲するに当たり、建築確認申請中であったため、「建築確認申請済」と明示して、広告を行い、建築確認を受けた後に売買契約を締結した。 | × |
9 | 27-37-2 | 建築確認申請中である旨を表示すれば、自ら売主として建物を販売する広告をすることができる。 | × |
10 | 27-37-3 | 建築確認を受けた後でなければ、建物の貸借の代理を行う旨の広告をしてはならない。 | ◯ |
11 | 26-30-1 | 建築確認前のマンションにつき、売買契約は締結できないが、広告をすることはできる。 | × |
12 | 25-32-ア | 建築確認前の賃貸住宅の貸主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
13 | 25-32-エ | 建築確認前の建売住宅の売主から媒介を依頼された場合、取引態様を明示すれば広告ができる。 | × |
14 | 24-28-イ | 建築確認申請中の建物について、貸借の媒介の依頼を受けた場合、広告はできない。 | ◯ |
15 | 24-28-エ | 建築確認申請中である旨を表示すれば、広告ができる。 | × |
16 | 23-36-1 | 開発許可・建築確認を受けなければ、売買その他の業務の広告はできない。 | ◯ |
17 | 20-32-2 | 工事完了前は、開発許可・建築確認を申請した後でなければ、売買その他の業務の広告をしてはならない。 | × |
18 | 19-38-2 | 建築確認を受ける前においては、マンションの売買の広告も契約締結もできない。 | ◯ |
19 | 19-38-3 | 開発許可を受ける前においては、貸借の広告はできるが、貸借の媒介をすることはできない。 | × |
20 | 17-34-2 | 宅地造成工事の完了検査を受けるまで、広告はできない。 | × |
21 | 16-36-1 | 開発許可を受けていれば、検査済証の交付を受けていなくても、広告ができる。 | ◯ |
22 | 14-32-3 | 「建築確認申請中のため、建築確認を受けるまでは、売買契約はできません」と表示すれば広告ができる。 | × |
23 | 13-34-ウ | 「建築確認を受けることができるのは確実である」旨表示した広告は宅建業法に違反する。 | ◯ |
24 | 12-38-1 | 開発許可を必要とする宅地の分譲をする場合、許可を受ける前であっても、許可申請中である旨表示して、広告することができる。 | × |
25 | 11-40-1 | 「建築確認申請済」と表示して広告を行い、販売の契約は建築確認後に締結した場合、宅建業法に違反しない。 | × |
26 | 10-42-4 | 宅建業者が、広告開始時期の制限に違反した場合、免許権者は、必要な指示ができ、その指示に従わないとき業務停止処分ができる。 | ◯ |
27 | 09-43-2 | 「契約は、建築確認を受けた後に締結」と明記して広告を行った場合、宅建業法に違反する。 | ◯ |
28 | 08-45-1 | 国土法の事前届出をする必要がある場合、届出後でなければ、分譲の広告をしてはならない。 | × |
29 | 08-50-4 | 建築確認を受ける前にマンション分譲の広告をした場合、指示処分の対象になる。 | ◯ |
30 | 06-40-1 | 契約締結時期を建築確認後にするのであれば、「建築確認申請中」であることを表示して広告ができる。 | × |
31 | 06-44-2 | 開発許可取得後に分譲パンフレットを郵送することは宅建業法に違反する。 | × |
32 | 05-42-4 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告した場合、50万円以下の罰金に処せられることがある。 | × |
33 | 04-37-2 | 建築確認を受ける前に「建築確認申請済」と広告し、契約は建築確認後だった場合、宅建業法に違反しない。 | × |
34 | 02-47-1 | 「建築確認前」である旨を表示すれば、販売広告が可能である。 | × |
2 誤り
取引態様の別とは、自ら売主・買主、売買・貸借の代理・媒介、といった取引形態の区別のことです。宅建業者は、(1)広告時に取引態様の別を明示し、さらに、(2)注文を受けた際にも取引態様を明示する必要があります(宅建業法34条1項、2項)。
取引態様の明示は、広告の度にする必要があります。数回に分けて広告する場合、各回ごとに取引態様を明示しなければなりません。
「最初に行う広告」についてのみ明示しても不十分です。
■類似過去問
内容を見る
取引態様の明示(●●のとき不要)(宅建業法[09]4)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-27-ウ | 複数の区画がある宅地の売買について、数回に分けて広告をする場合は、広告の都度取引態様の別を明示しなければならない。 | ◯ |
2 | R01-30-イ | 一団の宅地の売買について、数回に分けて広告する際に、最初に行った広告以外には取引態様の別を明示しなかった。 | × |
3 | 28-32-3 | 中古建物の売買において、建物所有者から媒介の依頼を受け、取引態様の別を明示せずに自社ホームページに広告を掲載したが、広告を見た者からの問い合わせはなく、契約成立には至らなかった場合、宅建業法に違反しない。 | × |
4 | 26-30-4 | 数回に分けた広告→最初の広告以外は、明示不要。 | × |
5 | 23-36-2 | 数回に分けた広告→最初の広告のみ明示義務。 | × |
6 | 17-34-1 | 相手方に明らかな場合、広告時に、明示不要。 | × |
7 | 16-36-2 | 広告印刷時には未定だった場合、明示不要。 | × |
8 | 10-42-2 | 取引態様が未定の場合、広告で明示不要。 | × |
9 | 05-42-2 | 数回に分けた広告→最終回の広告では明示不要。 | × |
3 誤り
宅建業者が国土交通大臣の定める報酬上限額を超えて受領することができるのは、以下のものに限られます(宅建業法46条。解釈・運用の考え方)。
■類似過去問
内容を見る
依頼者の依頼による費用(宅建業法[21]5(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-34-4 | 宅地建物取引業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金に相当する額を報酬額に合算する場合は、代理又は媒介に係る報酬の限度額を超える額の報酬を依頼者から受けることができる。 | × |
2 | R01-30-ウ | 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。 | × |
3 | R01-32-3 | 既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。 | ◯ |
4 | 30-30-3 | 建物が店舗用である場合、Aは、Bからの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が賃貸借契約の成立に寄与したときは、報酬とは別に、その広告料金に相当する額をBに請求することができる。 | × |
5 | 30-33-3 | [宅地建物取引業者Aは、Bから、Bが所有し居住している甲住宅の売却について媒介の依頼を受けた。]Aは、甲住宅の評価額についての根拠を明らかにするため周辺の取引事例の調査をした場合、当該調査の実施についてBの承諾を得ていなくても、同調査に要した費用をBに請求することができる。 | × |
6 | 29-26-2 | 宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、依頼者の依頼によって行った広告の料金に相当する額を別途受領することができない。 | × |
7 | 29-26-3 | 宅地建物取引業者は、限度額の報酬に加えて、法第35条の規定に基づく重要事項の説明を行った対価として、報酬を受領することができる。 | × |
8 | 29-43-エ | 専任媒介契約に係る通常の広告費用は宅地建物取引業者Aの負担であるが、指定流通機構への情報登録及び依頼者BがAに特別に依頼した広告に係る費用については、成約したか否かにかかわらず、国土交通大臣の定める報酬の限度額を超えてその費用をBに請求することができる。 | × |
9 | 28-33-イ | 依頼者の依頼によらない通常の広告の料金に相当する額を報酬に合算して、依頼者から受け取ることができる。 | × |
10 | 26-37-1 | 居住用建物の貸借の媒介をするに当たり、依頼者からの依頼に基づくことなく広告をした場合でも、その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、報酬とは別に、広告料金に相当する額を請求できる。 | × |
11 | 25-37-ウ | 依頼者の特別の依頼に基づき行った遠隔地への現地調査に要した特別の費用を受領できる。 | ◯ |
12 | 24-35-エ | 依頼者の依頼の有無にかかわらず、通常の広告料金相当額を受領できる。 | × |
13 | 23-36-3 | 依頼者の依頼の有無にかかわらず、通常の広告料金相当額を受領できる。 | × |
14 | 22-42-2 | 依頼者が好意で支払う謝金は、報酬限度額とは別に受領できる。 | × |
15 | 19-42-2 | 依頼者の依頼によらない通常の広告料金相当額を受領できる。 | × |
16 | 18-43-イ | 依頼者の特別の依頼による広告に要した実費を受領できる。 | ◯ |
17 | 17-34-4 | 依頼者の依頼による広告料金を請求できない。 | × |
18 | 13-45-エ | 国交大臣の定める額をこえて報酬を受けることは宅建業法に違反しない。 | × |
19 | 12-35-2 | 依頼者から特別の依頼を受けて広告をし、契約成立した場合、報酬限度額の報酬のほかに、広告に要した実費を超える料金を受領できる。 | × |
20 | 12-38-3 | 依頼者からの依頼に基づくことなく広告した場合でも、広告が貸借の契約の成立に寄与したとき、報酬とは別に、その広告料金を請求できる。 | × |
21 | 11-36-3 | 宅建業者が報酬限度額の報酬を受けた場合でも、宅建士は、別途報酬を受けることができる。 | × |
22 | 09-43-1 | 依頼者の依頼により特別の広告を行った場合、売買が不成立に終わったときでも、広告料金を受領できる。 | ◯ |
23 | 07-42-2 | 業者間取引であれば、報酬限度額を超える報酬を受領できる。 | × |
4 誤り
免許の取消し前に契約を締結していた場合であれば、免許の取消し後であっても、自らが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅建物業者とみなされます(宅建業法76条)。
しかし、本肢のケースでは、取消し前に広告をした、というだけです。この場合、免許取消処分の後に契約を締結することは許されません。また、宅建業者とみなされることもありません。
■類似過去問
内容を見る
免許取消し等に伴う取引の結了(宅建業法[04]2(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-43-2 | 宅地建物取引業者である個人Bが死亡した場合、その相続人Cは、Bが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされ、Bが売主として締結していた売買契約の目的物を買主に引き渡すことができる。 | ◯ |
2 | 29-36-4 | 宅地建物取引業者である法人Dが、宅地建物取引業者でない法人Eに吸収合併されたことにより消滅した場合、一般承継人であるEは、Dが締結した宅地又は建物の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされる。 | ◯ |
3 | 28-35-4 | 個人である宅建業者E(丙県知事免許)が死亡した場合、Eの一般承継人Fがその旨を丙県知事に届け出た後であっても、Fは、Eが生前締結した売買契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅建業者とみなされる。 | ◯ |
4 | 28-37-イ | 宅建業者が自ら売主として宅地の売買契約を成立させた後、当該宅地の引渡しの前に免許の有効期間が満了したときは、当該契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、宅建業者として当該取引に係る業務を行うことができる。 | ◯ |
5 | 23-30-4 | 廃業により免許が効力を失い、自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。 | × |
6 | 23-36-4 | 免許を取り消された者は、取消前に売買の広告をしていれば、売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。 | × |
7 | 22-28-1 | 個人業者が死亡した場合、相続人は、業者が生前に締結した契約に基づく取引を結了した後に廃業届を提出すればよい。 | × |
8 | 14-44-2 | 廃業届を提出し、免許の効力を失った場合でも、廃業前に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。 | ◯ |
9 | 08-45-2 | 宅建業廃止の届出をした後でも、届出前に締結した宅地分譲の契約に基づく宅地の引渡しを不当に遅延する行為をしてはならない。 | ◯ |
10 | 06-49-4 | 不正手段により免許を取得したとして、免許を取り消された場合でも、取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については、無免許事業の禁止規定に違反しない。 | ◯ |
11 | 05-45-4 | 宅建業者A社を宅建業者B社が吸収合併した場合、B社は、A社の宅建士が行った重要事項説明について責任を負わない。 | × |
12 | 03-37-4 | 宅建業者である法人Fと宅建業者でない法人Gが合併し、法人Fが消滅した場合において、法人Gが法人Fの締結していた売買契約に基づくマンションの引渡しをしようとするときは、法人Gは、宅建業の免許を受けなければならない | × |
13 | 02-43-1 | 宅建業者が死亡した場合、その一般承継人は、宅建業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、なお宅建業者とみなされる | ◯ |
2+