【宅建過去問】(平成25年問27)営業保証金

宅地建物取引業者の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。

  1. 宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。
  2. 信託業法第3条の免許を受けた信託会社で宅地建物取引業を営むものは、国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者とみなされるため、営業保証金を供託した旨の届出を国土交通大臣に行わない場合は、国土交通大臣から免許を取り消されることがある。
  3. 宅地建物取引業者は、本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、国債証券をもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、従前の本店の最寄りの供託所に対し、営業保証金の保管換えを請求しなければならない。
  4. 宅地建物取引業者は、その免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事から、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった旨の通知を受けたときは、供託額に不足を生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。

正解:1

1 正しい

免許の取消処分を受けた場合(宅地建物取引業法66条1項9号)でも、営業保証金を取り戻すことは可能である(宅地建物取引業法30条1項)。
営業保証金は、あくまで取引関係者に弁済できなくなった場合の還付のために、供託しているだけである。違法行為を行った場合のペナルティではない(ペナルティとしては、免許取消しなどの監督処分や、懲役・罰金の刑罰が用意されている)。
ただし、還付請求者が還付の機会を逃さないために、6か月以上の期間に申し出るよう公告する必要がある。この期間に申出がなかった場合に限り、営業保証金を取り戻すことができる(同条2項)。

※以下の理由で営業保証金を取り戻そうとするときには、あらかじめ公告の手続をとらなければならない(宅地建物取引業法30条1項、2項)。

  1. 免許の有効期間満了(同法3条2項)
  2. 廃業等の届出(同法11条)
  3. 免許取消し(同法25条7項、66条、67条1項)
  4. 一部事務所の廃止

一方、以下の理由による営業保証金の取戻しについては、公告は不要である。

  1. 主たる事務所の移転により供託所が変更した場合(同法29条1項)
  2. 取戻し事由の発生から10年経過したとき
  3. 保証協会加入により供託の免除を受けたとき(同法64条の14)
■類似過去問
内容を見る
宅建業法[06]4(3)
営業保証金の取戻し(公告が必要なケース)
 年-問-肢内容正誤 
有効期間満了
122-31-2宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。×
219-37-2宅地建物取引業者は、免許の有効期間の満了に伴い、営業保証金の取戻しをするための公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
廃業等の届出
123-30-3宅地建物取引業者A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。×
免許取消し
125-27-1宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。
222-31-1宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いとして免許を取り消されたときであっても、営業保証金を取り戻すことができる場合がある。
304-43-3宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をしたため、免許を取り消されたときは、その営業保証金を取り戻すことができない。×
一部事務所の廃止
129-32-3宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。
227-42-2営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aと保証協会の社員である宅地建物取引業者Bが一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金又は弁済業務保証金を取り戻すときは、A、Bはそれぞれ還付を請求する権利を有する者に対して6か月以内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。×
323-30-3宅地建物取引業者A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。×
422-31-3宅地建物取引業者は、一部の支店を廃止したことにより、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合は、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかったときに、その超過額を取り戻すことができる。
516-35-2(宅地建物取引業者は、本店と2つの支店を有する。]Aが2つの支店を廃止し、その旨の届出をしたときは、営業保証金の額が政令で定める額を超えることとなるので、その超過額1,000万円について公告をせずに直ちに取り戻すことができる。×
615-34-4宅地建物取引業者Aは、支店を廃止したため、Aの営業保証金につき、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は3ヵ月以内に申し出るべき旨の公告をしたが、申出がなかったので、営業保証金を取り戻した。×
709-34-4宅地建物取引業者Aが支店aを廃止し、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合において、Aは、その超過額について、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をし、その期間内に申出がないとき、当該超過額を取り戻すことができる。

2 誤り

信託業法3条の免許を受けた信託会社は、宅建業の免許を受ける必要はなく、国土交通大臣に届け出るだけで宅建業を適法に営むことができる(宅地建物取引業法77条1項、3項)。
免許を受けていない以上、そもそも免許の取消しということがありえない。営業保証金を供託した旨の届出を怠ったとしても、免許取消処分を受けることはない(宅地建物取引業法77条1項、25条7項)。

■類似過去問(信託会社に関する特例)
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宅建業法[01]5(2)②
信託会社に関する特例

 年-問-肢内容正誤
125-27-2信託会社が営業保証金を供託しない場合、国交大臣から免許を取り消されることがある。×
222-26-4信託会社は免許不要、届出のみで足りる。
321-45-1信託会社が国交大臣の指示処分を受けることがある。
415-35-1信託会社は営業保証金の供託or保証協会への加入が不要。×
511-30-4信託会社は免許不要だが、信託を兼営する銀行は免許が必要。×

3 誤り


営業保証金の保管替え手続が利用できるのは「金銭のみをもって営業保証金を供託しているとき」に限られる(宅地建物取引業法29条1項)。
本肢のように、国債証券で供託している場合には、保管替え手続を利用することはできず、いったん二重供託した上で取り戻しの手続をしなければならない。

■類似過去問(営業保証金の保管替え)
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宅建業法[06]2(5)
主たる事務所が移転した場合
 年-問-肢内容正誤
129-32-1
宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。
×
228-40-1
[Aは甲県内に本店と支店を有し、営業保証金を金銭と国債証券で供託している宅建業者]Aは、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合は、遅滞なく、移転後の本店の最寄りの供託所に新たに営業保証金を供託しなければならない。
326-29-4金銭と有価証券で供託している場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
425-27-3国債のみで供託していた場合、遅滞なく、保管替えを申請しなければならない。×
520-34-2金銭と国債で供託していた場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
618-34-3金銭のみで供託していた場合、遅滞なく、保管替えを申請しなければならない。
712-44-4営業保証金を金銭のみで供託している場合で、免許換えにより主たる事務所のもよりの供託所が変更したとき、営業保証金の保管替えを請求しなければならない。
811-38-4金銭と有価証券で供託していた場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
907-36-2金銭と国債で供託していた場合、金銭の部分に限り、保管替えを請求できる。×
1006-45-3現金と国債で供託していた場合、保管替えを請求できる。×
1102-36-2金銭と有価証券で供託していた場合、保管替えを請求しなければならない。×

4 誤り

営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった場合、宅建業者は、免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日(図の⑤)から2週間以内にその不足額を供託しなければならない(図の⑥、宅地建物取引業法28条1項、営業保証金規則4条)。
本肢は、「供託額に不足を生じた日から2週間」とする点が誤り。

21-30-4

 

■類似過去問(営業保証金の不足額の供託)
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宅建業法[06]3(4)
営業保証金の不足額の供託
 年-問-肢内容正誤
129-32-4
宅地建物取引業者は、営業保証金の還付があったために営業保証金に不足が生じたときは、国土交通大臣又は都道府県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内に、不足額を供託しなければならない。
228-40-2
[Aは甲県内に本店と支店を有し、営業保証金を供託している宅建業者]Aは、営業保証金が還付され、営業保証金の不足額を供託したときは、供託書の写しを添附して、30日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。
×
325-27-4営業保証金の不足額供託の通知があった場合、不足を生じた日から2週間以内に供託しなければならない。×
421-30-4営業保証金の不足額供託の通知があった場合、2週間以内に供託しなければならない。
520-34-4営業保証金の不足額供託の通知から2週間以内に供託しない場合、免許取消となり得る。
618-34-4営業保証金の不足額供託の通知があった場合、2週間以内に不足額を金銭で供託しなければならない。×
716-35-4不足額を供託したときは、2週間以内に免許権者に届出なければならない。
814-33-4営業保証金の不足額供託の通知から2週間以内に供託しない場合、業務停止となることはあるが、免許取消となることはない。×
914-44-1営業保証金の不足額の供託は、金銭で行わなければならない。×
1013-33-3営業保証金の不足額供託の通知があった場合、2週間以内に供託しなければならない。
1111-38-2営業保証金の不足額供託の通知があった場合、2週間以内に供託しなければならない。
1208-47-4営業保証金の不足が生じた場合、不足が生じた日から2週間以内に供託しなければならない。×
1307-36-3営業保証金の不足額供託の通知があった場合、2週間以内に供託しなければならない。
1406-45-4営業保証金の還付がされたときは、通知がなくても、不足額を供託しなければならない。×
1502-36-4営業保証金の不足額供託の通知から2週間以内に供託しない場合、10万円以下の罰金に処せられることがある。×
1601-43-3営業保証金の不足額を供託する代わりに、事務所を閉鎖することができる。×

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【宅建過去問】(平成25年問27)営業保証金” に対して1件のコメントがあります。

  1. Matsui より:

    お世話になっております。

    営業保証金の取戻しにおきまして「主たる事務所の移転に際して、移転後の最寄りの供託所に供託をした場合」は公告は必要ないことから、二重供託して取戻しをする際も公告は不要で問題ないでしょうか?

    よろしくお願い申し上げます。

    1. 家坂 圭一 より:

      Matsui様

      講師の家坂です。
      返答が遅くなり、申し訳ありません。

      御質問への回答は、肢1の解説にあります。
      ここにある「主たる事務所の移転により供託所が変更した場合(同法29条1項)」というのは、まさに営業保証金の保管替えのケースを指しています。
      この場合、営業保証金の取戻しに際して、公告は不要です。

      理解を確実にするため、お手持ちの基本書(基本書がなければ宅建業法の条文)で御確認下さい。

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