【宅建過去問】(令和03年12月問37)宅建士
宅地建物取引士に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「登録」とは、宅地建物取引士の登録をいうものとする。
- 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。
- 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていない一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるが、専任の宅地建物取引士の氏名は、当該名簿に登載されていない。
- 宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。
- 未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは登録を受けることができない。
正解:2
1 誤り
本肢の宅建士は甲県知事の登録を受けています。そして、今後は、乙県に主たる事務所を置く宅建業者の専任宅建士となるわけです。乙県内に所在する事務所で業務に従事するのであれば、この宅建士は、乙県知事に登録の移転をすることができます(宅建業法19条の2本文)。
しかし、登録の移転は、あくまで、「必要であればできる」という任意の手続に過ぎません。
本肢は、「登録の移転を申請しなければならない」と義務付ける点が誤りです。
| ポイント | ヒッカケ |
|---|---|
| 登録地以外の都道府県に所在する宅建業者の事務所の業務に従事する場合 | 他の都道府県に住所を変更した場合 |
| 登録の移転を申請することができる(任意的移転) | 申請しなければならない(必要的移転) |
■参照項目&類似過去問
内容を見る登録の移転ができる場合(宅建業法[05]7(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 登録移転の義務?(他県で業務に従事) | |||
| 1 | R04-33-イ | 甲県知事登録の宅地建物取引士が、宅地建物取引業者(乙県知事免許)の専任の宅地建物取引士に就任するためには、宅地建物取引士の登録を乙県に移転しなければならない。 | × |
| 2 | R03s-37-1 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者の専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。 | × |
| 3 | R03-28-1 | 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事することとなったときは、Aは甲県知事を経由せずに、直接乙県知事に対して登録の移転を申請しなければならない。 | × |
| 4 | H30-42-2 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士は、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事しようとするときは、乙県知事に対し登録の移転の申請をし、乙県知事の登録を受けなければならない。 | × |
| 5 | H29-37-2 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士Aは、乙県に主たる事務所を置く宅地建物取引業者Bの専任の宅地建物取引士となる場合、乙県知事に登録を移転しなければならない。 | × |
| 6 | H23-29-3 | 宅地建物取引業者(甲県知事免許)に勤務する宅地建物取引士(甲県知事登録)が、乙県に住所を変更するとともに宅地建物取引業者(乙県知事免許)に勤務先を変更した場合は、乙県知事に登録の移転の申請をしなければならない。 | × |
| 7 | H19-31-1 | 甲県知事の登録を受けて、甲県に所在する宅地建物取引業者Aの事務所の業務に従事する者が、乙県に所在するAの事務所の業務に従事することとなったときは、速やかに、甲県知事を経由して、乙県知事に対して登録の移転の申請をしなければならない。 | × |
| 8 | H16-34-1 | 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が、宅地建物取引業者B社(乙県知事免許)に従事した場合、Aは乙県知事に対し、甲県知事を経由して登録の移転を申請しなければならない。 | × |
| 9 | H10-44-3 | 甲県知事登録を受けた宅地建物取引士Aが、甲県に所在するB社の事務所に従事していたが、転職して乙県に所在するC社の事務所で業務に従事した場合、Aは、30日以内に、甲県知事を経由して乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。 | × |
| 10 | H08-39-4 | 甲県に本店を、乙県に支店を設けて国土交通大臣免許を受けている宅地建物取引業者Aは、甲県知事登録の宅地建物取引士Bを本店の専任の宅地建物取引士として従事させている。Aが本店を廃止し、乙県内にのみ事務所を有することとなった場合には、Aは乙県知事を経由して国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならないが、Bは乙県知事に登録の移転の申請をする必要はない。 | × |
| 11 | H07-38-1 | 甲県知事登録の宅建士が、乙県の支店に従事する場合、2週間以内に登録の移転をしなければならない。 | × |
| 登録移転の義務?(宅建士の住所移転) | |||
| 1 | H10-44-1 | 甲県知事の登録を受けた宅地建物取引士Aが、乙県に自宅を購入し、甲県から住所を移転した場合、Aは、遅滞なく、甲県知事を経由して乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。 | × |
| 2 | H08-42-2 | 甲県知事の登録を受けて宅地建物取引業に従事している宅地建物取引士が、転居により自宅の住所を甲県から乙県に変更した場合、当該宅地建物取引士は、乙県知事に対し、甲県知事を経由して登録の移転の申請をしなければならない。 | × |
| 登録移転の義務? | |||
| 1 | H11-45-3 | 宅地建物取引業者Aの宅地建物取引士Bが、甲県知事の宅地建物取引士資格試験に合格し、同知事の登録を受けている。Bは、乙県知事への登録の移転を受けなくても、乙県に所在するAの事務所において専任の宅地建物取引士となることができる。 | ◯ |
| 登録移転の可否(宅建士の住所移転) | |||
| 1 | R03-35-ウ | 宅地建物取引士(甲県知事登録)が甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。 | × |
| 2 | H29-30-1 | 宅地建物取引士(甲県知事登録)が、甲県から乙県に住所を変更したときは、乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。 | × |
| 3 | H21-29-4 | 甲県知事の宅地建物取引士の登録を受けている者が、その住所を乙県に変更した場合、甲県知事を経由して乙県知事に対し登録の移転を申請することができる。 | × |
| 4 | H14-35-1 | 甲県知事の登録を受けている宅地建物取引士が、乙県に住所を移転し、丙県知事免許を受けている宅地建物取引業者に勤務先を変更した場合、甲県知事を経由して乙県知事に対し、登録の移転の申請をすることができる。 | × |
| 5 | H11-45-1 | 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が甲県から乙県に転居しようとする場合、Aは、転居を理由として乙県知事に登録の移転を申請することができる。 | × |
| 6 | H03-36-3 | 宅地建物取引士A(甲県知事登録)が甲県から乙県に住所を変更し、丙県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Bに勤務先を変更した場合、Aは、甲県知事を経由して、乙県知事に登録の移転を申請することができる。 | × |
2 正しい
■宅建士資格登録簿
知事は、氏名等を登載した宅建士資格登録簿を作成・管理します(宅建業法18条2項)。
しかし、これが一般の閲覧に供されることはありません(登載事項は個人情報だらけですから!)。
| 事項 | 書換え交付申請 | |
|---|---|---|
| 1 | 氏名(旧姓の併記が可能) | 必要 |
| 2 | 住所 | 必要 |
| 3 | 本籍 | 不要 |
| 4 | 勤務先宅建業者の商号・名称・免許証番号 | 不要 |
■宅建業者名簿
国土交通省と都道府県に、それぞれ宅建業者名簿が備えられています(宅建業法8条1項)。免許権者は、この名簿を一般の閲覧に供する義務を負います(同法10条)。しかし、この名簿に専任宅建士の氏名は、登載されていません(表の7。これも、専任宅建士の個人情報を守るための措置です)。
※ただし、専任宅建士の氏名に変更があった場合には、「変更の届出」が必要です(宅建業法9条1項、4条1項5号)。専任宅建士が変わったのに、それを知らないのでは、免許権者がその宅建業者を監督できないからです。また、免許権者に届け出たからといって個人情報の侵害にはなりません。
| 事項 | 名簿の登載事項 | 変更の届出 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 免許証番号・免許の年月日 | ◯ | - |
| 2 | 商号・名称 | ◯ | ◯ |
| 3 | 役員・政令で定める使用人の氏名 | ◯ | ◯ |
| 4 | 事務所の名称・所在地 | ◯ | ◯ |
| 5 | 監督処分の年月日・内容 | ◯ | × |
| 6 | 兼業の種類 | ◯ | × |
| 7 | 専任宅建士の氏名 | × | ◯ |
■参照項目&類似過去問
内容を見る宅建士資格登録簿の閲覧(宅建業法[05]5(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R03s-37-2 | 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていない一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるが、専任の宅地建物取引士の氏名は、当該名簿に登載されていない。 | ◯ |
| 2 | H28-38-エ | 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはない一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるが、専任の宅地建物取引士の氏名は、当該名簿に登載されていない。 | ◯ |
宅建業者名簿の閲覧(宅建業法[04]1(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R03s-37-2 | 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはされていない一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるが、専任の宅地建物取引士の氏名は、当該名簿に登載されていない。 | ◯ |
| 2 | H28-38-エ | 宅地建物取引士の氏名等が登載されている宅地建物取引士資格登録簿は一般の閲覧に供されることとはない一方、宅地建物取引業者名簿は一般の閲覧に供されるが、専任の宅地建物取引士の氏名は、当該名簿に登載されていない。 | ◯ |
| 3 | H04-48-1 | 国土交通大臣及び都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿をその閲覧所に備え、請求があったときは、一般の閲覧に供しなければならないが、この名簿には、宅地建物取引業者の業務停止処分の内容も記載される。 | ◯ |
3 誤り
傷害罪により罰金刑に処せられることは、登録消除事由に該当します(宅建業法68条の2第1項第1号、18条1項7号)。登録を消除された場合、再び登録を受けることができるのは、「刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日」から5年経過したときです(宅建業法18条1項7号)。
「登録が消除された日から5年」ではありません。
※罰金刑を科せられたことが欠格要件となるのは、以下の犯罪です。
| 1 | 宅建業法違反 |
| 2 | 傷害罪 |
| 3 | 傷害現場助勢罪 |
| 4 | 暴行罪 |
| 5 | 凶器準備集合・結集罪 |
| 6 | 脅迫罪 |
| 7 | 背任罪 |
| 8 | 暴力団対策法違反 |
| 9 | 暴力行為等処罰法違反 |
■参照項目&類似過去問
内容を見る宅建士の欠格要件(罰金刑)(宅建業法[05]4(1)③)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R03s-37-3 | 宅地建物取引士が、刑法第204条(傷害)の罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。 | × |
| 2 | R02s-43-4 | 宅地建物取引士が、刑法第222条(脅迫)の罪により、罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合、刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。 | ◯ |
| 3 | H23-29-2 | 宅地建物取引士が、刑法第204条の傷害罪により罰金の刑に処せられ、登録が消除された場合は、当該登録が消除された日から5年を経過するまでは、新たな登録を受けることができない。 | × |
| 4 | H15-33-3 | 宅地建物取引士Aが無免許営業等の禁止に関する宅地建物取引業法に違反して宅地建物取引業を営み、懲役1年、執行猶予3年及び罰金10万円の刑に処せられ、登録を消除されたとき、執行猶予期間が満了すれば、その翌日から登録を受けることができる。 | × |
| 5 | H12-33-2 | 宅地建物取引士は、刑法第209条(過失傷害)の罪により罰金の刑に処せられた場合は、30日以内に登録の消除を申請しなければならず、当該登録が消除された日から5年を経過しなければ、新たな登録を受けることができない。 | × |
| 6 | H08-42-3 | 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反して、罰金の刑に処せられ罰金を納付した宅地建物取引士は、その日から60日以内に、その旨を登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。 | × |
| 7 | H06-36-3 | 宅地建物取引士Aが公職選挙法に違反して禁錮刑に処せられた場合、Aは、届出をしなければならないが、刑法第247条の罪(背任罪)を犯して罰金刑に処せられた場合は、その必要はない。 | × |
| 8 | H05-38-2 | 宅地建物取引士Aが知人に頼まれて無免許で宅地の売買の媒介を数回行った場合、Aは、その登録を消除されることがある。 | ◯ |
| 9 | H05-38-4 | 宅地建物取引士Aが刑法第211条(業務上過失傷害)の罪を犯し、10万円の罰金の刑に処せられた場合、Aは、その登録を消除されることはない。 | ◯ |
| 拘留・科料刑 |
|||
| 1 | H01-37-2 | 登録を受けている者が刑法第208条の罪(暴行罪)を犯し、科料に処せられた場合、当該登録をしている都道府県知事は、当該登録を消除しなければならない。 | × |
4 誤り
宅建士として登録を受けることができないのは、「宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」です(宅建業法18条1項1号)。
逆にいえば、成年者と同一の行為能力を有していれば、成年に達する以前であっても、宅建士の登録が可能です。具体的には、法定代理人から宅建業に関し営業の許可を受けた場合(民法6条1項)です。
■参照項目&類似過去問
内容を見る宅建士の欠格要件(未成年者)(宅建業法[05]4(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R04-33-ア | 宅地建物取引士資格試験は未成年者でも受験することができるが、宅地建物取引士の登録は成年に達するまでいかなる場合にも受けることができない。 | × |
| 2 | R03s-37-4 | 未成年者は、宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは登録を受けることができない。 | × |
| 3 | H23-28-2 | 未成年者は、成年者と同一の行為能力を有していたとしても、成年に達するまでは宅地建物取引士の登録を受けることができない。 | × |
| 4 | H22-30-1 | 未成年者は、法定代理人から宅地建物取引業を営むことについての許可を受けていても、成人に達しなければ登録を受けることができない。 | × |
| 5 | H05-37-1 | 宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者は、専任の宅地建物取引士となることはできないが、専任でない宅地建物取引士となることができる。 | × |
| 6 | H04-36-1 | 宅建業に係る営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が3年前に建設業法違反で過料に処せられているものは、宅建士登録を受けることができない。 | ◯ |
| 7 | H01-41-3 | 未成年者は、成人に達しないと、登録を受けることができない。 | × |
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