【宅建過去問】(平成09年問01)無権代理
Aが、Bの代理人としてB所有の土地をCに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Bは、Aに代理権を与えたことはなく、かつ、代理権を与えた旨の表示をしたこともないものとする。
- 契約は、B又はCのいずれかが追認したときは、有効となる。
- Aは、Bの追認のない間は、契約を取り消すことができる。
- AがBに対し追認をするかどうか確答すべき旨催告し、Bが確答をしないときは、Bは追認を拒絶したものとみなされる。
- Bが追認を拒絶したときは、Aは自ら契約を履行する責任を負うことがある。
正解:4
無権代理の場合の相手方の権限を、主観別に分けてまとめておく。
1 誤り
無権代理による契約の効果は本人に帰属しないのが原則である(民法113条)。 しかし、本人が追認すると、当初より有効な代理行為があったものとされ、契約は有効になる(民法116条)。
※追認権を有するのは本人Bである。相手方であるCが追認することはできない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
無権代理:本人の権限(追認権・追認拒絶権)(民法[04]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02s-02-4 | AがBに対して、A所有の甲土地を売却する代理権を授与した。Bが、Aから代理権を授与されていないA所有の乙土地の売却につき、Aの代理人としてFと売買契約を締結した場合、AがFに対して追認の意思表示をすれば、Bの代理行為は追認の時からAに対して効力を生ずる。 | × |
2 | R01-05-1 | 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできない。 | ◯ |
3 | R01-05-3 | 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。 | ◯ |
4 | 26-02-ア | 無権代理行為を本人が追認する場合、契約の効力は、追認をした時から将来に向かって生ずる。 | × |
5 | 24-04-1 | 無権代理行為を本人が追認した場合、売買契約は有効となる。 | ◯ |
6 | 17-03-ウ | 無権代理行為を本人が追認した場合、売買契約は有効となる。 | ◯ |
7 | 14-02-4 | [Aが、Bの代理人としてCとの間で、B所有の土地の売買契約を締結する。]AがBに無断でCと売買契約をしたが、Bがそれを知らないでDに売却して移転登記をした後でも、BがAの行為を追認すれば、DはCに所有権取得を対抗できなくなる。 | × |
8 | 11-07-1 | 本人は無権代理行為を相手方に対して追認することができる。 | ◯ |
9 | 09-01-1 | 無権代理行為を本人または相手方が追認した場合、売買契約は有効となる。 | × |
10 | 06-04-3 | 本人の追認により契約は有効となるが、その追認は相手方に対して直接行うことを要し、無権代理人に対して行ったときは、相手方がその事実を知ったとしても、契約の効力を生じない。 | × |
11 | 04-03-4 | 無権代理行為は無効であるが、本人が追認すれば、新たな契約がなされたとみなされる。 | × |
2 誤り
無権代理につき善意である相手方Cは、本人Bが追認をしない間は、契約を取り消すことができる(民法115条)。
※取消権を有するのは相手方Cである。無権代理人であるAが追認することはできない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
無権代理:相手方の取消権(民法[04]3(2))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 18-02-3 | 本人が無権代理行為を追認しない間は、相手方は契約を取消可能。ただし、相手方が悪意のときには取消不能。 | ◯ |
2 | 09-01-2 | 無権代理人は、本人の追認のない間は、契約を取り消すことができる。 | × |
3 | 05-02-1 | 本人が追認するまでの間、相手方は、無権代理について悪意であっても、契約を取り消すことができる。 | × |
4 | 05-02-3 | 相手方は、無権代理について善意無過失であれば、本人が追認しても、契約を取り消すことができる。 | × |
5 | 04-03-2 | 無権代理行為は有効であるが、本人が取り消すことができる。 | × |
6 | 04-03-3 | 善意無過失の相手方は、本人が追認するまでは、契約を取り消すことができる。 | ◯ |
7 | 02-05-4 | BがAに代理権を与えていなかった場合は、相手方Cは、そのことについて善意であり、かつ、Bの追認がないとき、当該売買契約を取り消すことができる。 | ◯ |
3 誤り
相手方Cは、本人Bに対して追認するかどうか確答すべき旨催告することができ、Bが確答しないときは追認を拒絶したものとみなされる(民法114条)。
※催告権を有するのは相手方Cである。無権代理人であるAが催告することはできない。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
無権代理:相手方の催告権(民法[04]3(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 16-02-2 | 相手方は本人に対して追認するか否か催告でき、本人が確答しない場合、追認とみなされ契約は有効となる。 | × |
2 | 11-07-2 | 相手方が本人に催告するには、代金を用意しておく必要がある。 | × |
3 | 09-01-3 | 無権代理人が本人に追認するかどうか催告し、本人が確答しない場合、本人は追認拒絶したものとみなされる。 | × |
4 正しい
相手方Cが本人Bの無権代理につき善意無過失である場合で、本人Bの追認を得られないときは、Cは、無権代理人Aに対し履行または損害賠償の責任を追及することができる(民法117条)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る
無権代理人の責任追及(民法[04]3(3))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 18-02-4 | 本人が無権代理行為を追認しない場合、無権代理人は相手方の選択に従い、契約履行または損害賠償責任を負う。ただし、相手方が契約時に悪意の場合は責任を負わない。 | ◯ |
2 | 11-07-4 | 表見代理に該当する場合でも、相手方は無権代理を主張し、無権代理人に対し損害賠償請求できる場合がある。 | ◯ |
3 | 09-01-4 | 本人が追認を拒絶した場合、無権代理人が自ら契約を履行する責任を負うことがある。 | ◯ |
4 | 05-02-2 | 本人が追認しないときは、相手方は、無権代理につき善意であれば過失の有無に関係なく、無権代理人に履行を請求できる。 | × |
5 | 02-05-1 | 本人BがAに代理権を与えていなかった場合は、相手方Cは、そのことについて善意無過失であり、かつ、Bの追認がないとき、Aに対して契約の履行の請求又は損害賠償の請求をすることができる。 | ◯ |
令和6年 宅建解答速報・解説
毎年好評の「解答速報」は、本試験当日17:04に終了しました。
現在は、解説動画の収録・編集と解説文の執筆が進行中です。
これらを収めた【無料公開講座】も開講中。本試験の振り返りのため、気軽に受講しましょう。
現在は、解説動画の収録・編集と解説文の執筆が進行中です。
これらを収めた【無料公開講座】も開講中。本試験の振り返りのため、気軽に受講しましょう。