【宅建過去問】(平成26年問19)盛土規制法
宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとする。
- 宅地造成等工事規制区域内において、宅地を宅地以外の土地にするために行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600㎡で、かつ、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、一定の場合を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。
- 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可に付した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。
- 土地の占有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。
- 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該工事の計画を変更しようとするときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
正解:4
1 正しい
宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更で、一定規模のものは、「特定盛土等」に該当します(盛土規制法2条3号)。
①行為 | ②意味 | ③規模 | |
宅地造成等 | 宅地造成 | 宅地以外の土地を宅地にするために行う土地の形質の変更 | (a) |
特定盛土等 | 宅地又は農地等において行う土地の形質の変更 | ||
土石の堆積 | 宅地又は農地等において行う土石の堆積 | (b) |
後は規模の問題です。知事の許可を要する「特定盛土等」は、以下の規模のものに限られます(同法2条3号、令3条)。
本肢の工事では、「切土であって、当該切土をする土地の面積が600㎡で、かつ、高さ3mの崖を生ずる」というのですから、2と5に該当します。
したがって、工事主は、工事に着手する前に、知事の許可を受けなければなりません(同法12条1項)。
1 | 盛土 | 高さ1m超の崖ができる場合 |
2 | 切土 | 高さ2m超の崖ができる場合 |
3 | 盛土+切土 | 高さ2m超の崖ができる場合 |
4 | 盛土 | 高さ2m超 |
5 | 盛土・切土 | 面積500㎡超 |
■参照項目&類似過去問
内容を見る「宅地造成等」とは(盛土規制法[01]2(2)①)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R04-19-2 | 宅地造成等工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、工事主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
2 | R02-19-2 | 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。 | ◯ |
3 | H30-20-3 | 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。 | ◯ |
4 | H26-19-1 | 宅地造成等工事規制区域内において、宅地を宅地以外の土地にするために行われる切土であって、当該切土をする土地の面積が600㎡で、かつ、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事については、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
5 | H22-20-1 | 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。 | ◯ |
6 | H20-22-1 | 宅地造成等工事規制区域内において、森林を宅地にするために行う切土であって、高さ3mの崖を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、工事主は、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、工事に着手する前に、都道府県知事の許可を受けなければならない。 | ◯ |
7 | H16-23-1 | 宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、宅地造成に該当しない。 | ◯ |
8 | H09-20-3 | 宅地造成等工事規制区域内において、道路を公園にするため土地の形質の変更を行う場合でも、都道府県知事から宅地造成等に関する工事の許可を受けなければならない。 | × |
9 | H06-25-1 | 宅地造成等工事規制区域内の農地に盛土をして高さ2mの崖を生じる場合、引き続き農地として利用するときは、都道府県知事の許可を受ける必要はないが、宅地に転用するときは、その旨届け出なければならない。 | × |
10 | H05-27-1 | 宅地造成等工事規制区域内において、ゴルフ場の用地の造成のため10万㎡の土地について盛土又は切土を行う場合、都道府県知事の法第12条第1項本文の許可を要しない。 | × |
11 | H05-27-2 | 宅地造成等工事規制区域内において、宗教法人が建設する墓地の用地の造成のため10万㎡の土地について盛土又は切土を行う場合、都道府県知事の法第12条第1項本文の許可を要しない。 | × |
12 | H05-27-3 | 宅地造成等工事規制区域内において、果樹園の用地の造成のため10万㎡の土地について盛土又は切土を行う場合、都道府県知事の法第12条第1項本文の許可を要しない。 | × |
13 | H05-27-4 | 宅地造成等工事規制区域内において、公園の用地の造成のため10万㎡の土地について盛土又は切土を行う場合、都道府県知事の法第12条第1項本文の許可を要しない。 | ◯ |
14 | H04-25-2 | 宅地において行う土地の形質の変更で、高さが2mを超える崖を生ずる切土は、その造成の目的のいかんを問わず、宅地造成及び特定盛土等規制法にいう宅地造成である。 | × |
15 | H03-25-1 | 宅地造成とは、宅地以外の土地を宅地にするために行う土地の形質の変更をいい、宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更は、一定規模以上のものであっても含まれない。 | ◯ |
16 | H01-25-3 | 宅地造成等工事規制区域内の宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更を伴う工事は、一定規模以上のものであれば、都道府県知事の許可を要する場合がある。 | ◯ |
17 | H01-25-4 | 宅地造成等工事規制区域内において宅地造成等に関する工事を行う場合において、当該土地が宅地造成等工事規制区域の指定が行われる以前からの宅地であるときは、都道府県知事の許可を受ける必要はない。 | × |
2 正しい
知事は、宅地造成等工事に関する許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができます(盛土規制法12条3項)。
その条件に違反した場合、知事は、許可を取り消すことが可能です(同法20条1項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る許可に付す条件(盛土規制法[02]2(1)②(b))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H30-20-2 | 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。 | ◯ |
2 | H26-19-2 | 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可に付した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。 | ◯ |
3 | H24-20-2 | 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。 | ◯ |
4 | H21-20-4 | 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。 | ◯ |
5 | H16-23-2 | 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事についての許可に、当該工事の施行に伴う災害の防止その他良好な都市環境の形成のために必要と認める場合にあっては、条件を付することができる。 | × |
6 | H08-26-3 | 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可については、都道府県知事は、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができる。 | ◯ |
監督処分・罰則(盛土規制法[02]2(4))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03s-19-4 | 都道府県知事は、偽りその他不正な手段によって宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者に対して、その許可を取り消すことができる。 | ◯ |
2 | H26-19-2 | 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可に付した条件に違反した者に対して、その許可を取り消すことができる。 | ◯ |
3 | H23-20-2 | 都道府県知事は、偽りによって宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者に対して、その許可を取り消すことができる。 | ◯ |
4 | H15-24-4 | 宅地造成等工事規制区域内の宅地造成等に関する工事の検査済証が交付された後、宅地造成等に伴う災害防止上の必要性が認められるときは、都道府県知事は宅地の所有者に対して、当該宅地の使用を禁止又は制限をすることができる。 | × |
5 | H02-25-3 | 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内において、許可を受けないで宅地造成等工事が行われているときは、いつでも直ちに、当該工事主に対して、工事の施行の停止を命ずることができる。 | × |
3 正しい
知事(知事の命じた者や委任した者も含む。)は、基礎調査のため、測量又は調査の必要がある場合は、他人の占有する土地に立ち入る権限を持っています(盛土規制法5条1項)。土地の占有者は、正当な理由がない限り、この立ち入りを拒んだり、妨げることができません(同条5項)。
※都道府県は、立ち入りにより損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する必要があります(同法8条1項)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る基礎調査のための土地の立入り(盛土規制法[01]4(2)②)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R06-19-1 | 都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、当該土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができ、当該土地の占有者は、正当な理由がない限り、その立入りを拒み、又は妨げてはならない。 | ◯ |
2 | R02s-19-3 | 都道府県(地方自治法に基づく指定都市、中核市又は施行時特例市の区域にあっては、それぞれ指定都市、中核市又は施行時特例市)は、基礎調査のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。 | ◯ |
3 | R02-19-1 | 土地の占有者又は所有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。 | ◯ |
4 | H26-19-3 | 土地の占有者又は所有者は、都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者が、基礎調査のために当該土地に立ち入って測量又は調査を行う場合、正当な理由がない限り、立入りを拒み、又は妨げてはならない。 | ◯ |
5 | H21-20-3 | 都道府県は、基礎調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。 | ◯ |
6 | H20-22-3 | 都道府県知事は、基礎調査のために他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要があるときは、その必要の限度において、他人の占有する土地に、自ら立ち入り、又はその命じた者若しくは委任した者に立ち入らせることができる。 | ◯ |
4 誤り
工事の計画を変更しようとするときは、原則として、知事の許可を受ける必要があります(盛土規制法16条1項本文)。ただし、例外的に、軽微な変更にとどまる場合は、知事に届出するだけで済みます(同項ただし書き、2項)。
原則 | 知事の許可 |
例外(軽微な変更) | 知事に届出 |
本肢は、「軽微な変更を除き、~届け出なければならない」となっており、原則と例外が逆になっています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る変更の許可(盛土規制法[02]2(1)④)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R02-19-4 | 宅地造成等に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。 | ◯ |
2 | R01-19-2 | 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該許可に係る工事の計画の変更をしようとするときは、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出なければならない。 | × |
3 | H27-19-3 | 宅地造成等に関する工事の許可を受けた者が、工事施行者を変更する場合には、遅滞なくその旨を都道府県知事に届け出ればよく、改めて許可を受ける必要はない。 | ◯ |
4 | H26-19-4 | 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた者は、主務省令で定める軽微な変更を除き、当該工事の計画を変更しようとするときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。 | × |
大変分かりやすい解説をしていただき、ありがとうございます。
YouTubeでは他の方が違う解説をしていたので、疑問に思っていたため
とてもスッキリしました。
お忙しい中お手数をおかけして申し訳ありませんでした。
疑問が解消できて何よりです。
>YouTubeでは他の方が違う解説をしていたので、
↑
法改正に合わせて、問題文をどのようにメンテナンスするか、は、各社の方針により異なります。そして、私には当社の方針しか分かりません。
そのYouTubeの内容については、制作された受験指導校さん又は出演されている講師のかたに直接質問することをお勧めします。
ご回答ありがとうございます。
先ほどの照会が間違っており
平成26年問19の件でした。
申し訳ありません。
こちらの一問目は修正されていますか?
度々申し訳ありません。
間々様
(1)法改正前の問題文・法令
出題当時の本文肢1は、以下の内容でした。
改正前の宅地造成等規制法によれば、
(2)法改正点
しかし、改正後の盛土規制法では、
(3)当社の過去問改訂方針
当社では、法改正に合わせて問題文を改訂する場合、
という方針を取っています。
この方針に従って、選択肢の末尾を「都道府県知事の許可を受けなければならない。」と変更しました。
(4)復習ポイント
旧:宅地造成等規制法が「宅地造成」のみを規制していたのに対し、新:盛土規制法では、「宅地造成等(宅地造成+特定盛土等+土石の堆積)」を広く規制しています。

根本的な発想が変わっていますので、注意が必要です。
この機会に、[Step.1]基本習得編を確認しておきましょう。
■盛土規制法[01]盛土規制法のシステム
2.用語の整理
(2).宅地造成等