■講義編■民法[10]共有
ある土地をA・B・Cの3人で所有する、というように、1つの物を複数の人が共同して所有することを共有といいます。A・B・Cは、それぞれ、持分(所有権の割合)に応じて、その土地を使用することができます。
では、共有物の変更、利用・改良行為、保存行為を行う場合、それぞれが単独で判断できるのでしょうか。共有物を分割する場合には、どのような手続が必要になるのでしょうか。
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Contents
1.共有とは
1つの物を複数の人が共同して所有すること
各共有者(A、B、C)は、持分に応じて共有物全体を使用することができる
2.持分
(1).持分の処分
各共有者が自由に処分できる
×他の共有者の同意
持分の処分(民法[10]2(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 15-04-1 | 共有者の一人は、他の共有者の同意を得なければ、共有持分権を売却できない。 | × |
| 2 | 13-01-1 | 共有者の一人が、他の共有者に無断で、共有する建物を自己の所有として売却した場合、その売買契約は有効であるが、他の共有者の持分については、他人の権利の売買となる。 | ◯ |
| 3 | 09-02-1 | 共有者の一人は、他の共有者の同意を得なければ、自己の持分を他に譲渡できない。 | × |
(2).持分の放棄
他の共有者に帰属
(3).共有者の死亡

持分の放棄(民法[10]2(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-08-2 | A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している。 Aが甲土地についての自己の持分を放棄した場合には、その持分は国庫に帰属する。 | × |
| 2 | H29-03-4 | AとBが共有する建物につき、Aがその持分を放棄した場合は、その持分はBに帰属する。 | ◯ |
| 3 | H19-04-4 | 共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は、国庫に帰属する。 | × |
| 4 | H15-04-3 | 共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は、他の共有者に帰属する。 | ◯ |
| 5 | H09-02-2 | 共有者の一人が持分を放棄した場合、その持分は、他の共有者に帰属する。 | ◯ |
3.共有物の利用関係
(1).共有物の使用
①持分に応じた使用
各共有者は、持分の割合に応じて、共有物全体を使用可能
②使用対価の償還義務
他の共有者に対し、自己の持分を超える使用対価を償還する義務
★過去の出題例★共有物の使用(民法[10]3(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-08-4 | AがB及びCに無断で甲土地を占有している場合であっても、Bは、Aに対し、当然には自己に甲土地を明け渡すように求めることができない。 | ◯ |
| 2 | H30-10-4 | 共同相続に基づく共有物の持分価格が過半数を超える相続人は、協議なくして単独で共有物を占有する他の相続人に対して、その共有物の明渡しを請求することはできない。 | × |
| 3 | H29-03-1 | 共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。 | ◯ |
| 4 | H29-03-2 | AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用貸借契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明渡しを請求することはできない。 | ◯ |
| 5 | H29-03-3 | DとEが共有する建物につき、DE間で協議することなくDがFと使用貸借契約を締結した場合、Fは、使用貸借契約を承認しなかったEに対して当該建物全体を排他的に占有する権原を主張することができる。 | × |
| 6 | H24-10-2 | 共同相続人の一人が相続財産である建物全部を占有する場合、他の相続人は明渡請求ができる。 | × |
| 7 | H23-03-4 | 他の共有者との協議に基づかないで、自己の持分に基づいて1人で現に共有物全部を占有する共有者に対し、他の共有者はその持分によらず単独で自己に対する共有物の明渡しを請求することができる。 | × |
| 8 | H19-04-1 | 共有者の一人から占有使用を承認された者は、承認した者の持分の限度で占有使用できる。 | ◯ |
| 9 | H13-01-2 | 共有者の一人が共有物全体を使用している場合、他の共有者はその明渡しを請求できる。 | × |
| 10 | H09-02-3 | 共有者は、その持分割合に応じて、共有物全体を使用する権利を有する。 | ◯ |
(2).共有物の変更
①重大変更
変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)
=形状又は効用の著しい変更を伴う変更
→他の共有者の同意が必要=全員一致
②軽微変更
=形状又は効用の著しい変更を伴わない変更
→持分価格の過半数で決定
共有物の変更(民法[10]3(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-03-1 | 甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない。甲土地に、その形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加える場合には、共有者の過半数の同意が必要であり、本件ではA、B、C3人の同意が必要となる。 | × |
| 2 | R02s-10-2 | 各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。 | ◯ |
| 3 | H15-04-2 | 共有者の一人は、他の共有者の同意を得なければ、建物に物理的損傷及び改変などの変更を加えることはできない。 | ◯ |
| 4 | H06-03-2 | 別荘の改築は、共有者全員の合意で行うことを要し、共有者の一人が単独で行うことはできない。 | ◯ |
| 5 | H03-05-1 | 共有物である建物の増築は、各共有者の持分価格の過半数の同意があれば、することができる。 | × |
(3).共有物の管理
①利用・改良行為
持分価格の過半数で決定
共有者間の決定に基づいて使用する共有者に特別の影響を及ぼす
→承諾が必要
②保存行為
各共有者が単独で可能
(4).まとめ
| 行為 | 決定方法 | |
| (1)使用行為 | 持分に応じて、共有物全体を使用可能 | |
| (2)変更行為 | ①重大変更 | 他の共有者の同意が必要=全員一致 |
| ②軽微変更 | 持分価格の過半数で決定 | |
| (3)管理行為 | ①利用・改良行為 | 持分価格の過半数で決定 |
| ②保存行為 | 各共有者が単独で可能 | |
(5).具体例
①不法占拠者の排除
明渡し請求
=保存行為
→各共有者が単独で請求◯
| 明渡し請求 | 単独で請求◯ | |
| 損害賠償請求 | 自らの持分について | 単独で請求◯ |
| 共有物全体について | 単独で請求× | |
共有物の保存行為(民法[10]3(3)②・(5)①)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-08-1 | A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している。 甲土地につき無権利のDが、自己への虚偽の所有権移転登記をした場合には、Aは、単独で、Dに対し、その所有権移転登記の抹消を求めることができる。 | ◯ |
| 2 | R06-03-2 | 甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない。 甲土地の所有権の登記名義人となっている者が所有者ではないEである場合、持分に基づいてEに対して登記の抹消を求めるためには、所在が判明しているA、B、Cのうち2人の同意が必要である。 | × |
| 3 | R02s-10-3 | 共有物の保存行為については、各共有者が単独ですることができる。 | ◯ |
| 不法占拠者の排除 | |||
| 1 | H28-10-1 | 相続人が、相続した建物を不法占拠する者に対し明渡しを求めたとしても、単純承認をしたものとはみなされない。 | ◯ |
| 2 | H23-03-3 | 共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。 | ◯ |
| 3 | H18-04-1 | 共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。 | ◯ |
| 4 | H13-01-3 | 共有物の不法占有者に対する明渡請求は、共有者の過半数の同意が必要。 | × |
| 5 | H06-03-3 | 共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。 | ◯ |
| 6 | H04-12-2 | 共有物の不法占有者に対する明渡請求は、各共有者が単独で可能。 | ◯ |
共有物に対する不法行為から生ずる損害賠償請求権(民法[10]3(5)①)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 18-04-2 | 共有物全体が不法に占有されている場合、共有者の一人は単独で、損害全額の賠償を請求できる。 | × |
| 2 | 06-03-3 | 共有物全体が不法に占有されている場合、共有者の一人は単独で、明渡請求を行うことができるが、損害全額の賠償を請求することはできない。 | ◯ |
②賃貸借契約の解除
契約の解除
=利用・改良行為
→過半数で決定◯
共有物の利用・改良行為(民法[10]3(3)①・(5)②)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-03-3 | 甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない。A、B、C3人の同意があれば、甲土地を資材置場として賃借したいFとの間で期間を3年とする賃貸借契約を締結することができる。 | ◯ |
| 共有物を目的とする賃貸借契約の解除 | |||
| 1 | H19-04-2 | 共有物に関する賃貸借契約の解除は、共有者の持分の過半数で決定できる。 | ◯ |
| 2 | H03-05-2 | 共有物に関する賃貸借契約の解除は、共有者(持分1/3)が単独ですることができる。 | × |
(6).裁判による変更・管理
①裁判による重大変更
所在等不明共有者(共有者の特定不能or共有者の所在不明)が存在
→裁判(他の共有者全員の同意があれば変更可能)
②裁判による軽微変更、利用・改良行為
- 所在等不明共有者が存在
- 賛否を明らかにしない共有者が存在
→裁判(他の共有者の持分価格の過半数で決定可能)
4.共有物の分割
(1).分割の可否
①原則
各共有者が、いつでも分割請求◯
②不分割の特約
5年を超えない期間
更新も可能(5年を超えない期間)
分割の可否(民法[10]4(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 23-03-1 | 各共有者はいつでも分割請求可能。5年を超えない期間で不分割契約も可能。 | ◯ |
| 2 | 19-04-3 | 5年を超えない期間で不分割契約が可能。 | ◯ |
| 3 | 15-04-4 | 各共有者はいつでも分割請求可能。5年を超えない期間で不分割契約も可能。 | ◯ |
| 4 | 09-02-4 | 持分が過半数に満たない共有者も分割請求が可能。 | ◯ |
| 5 | 06-03-4 | 各共有者はいつでも分割請求可能。協議が調わなければ、裁判所に請求可能。 | ◯ |
| 6 | 04-12-4 | 各共有者はいつでも分割請求可能。 | ◯ |
| 7 | 03-05-3 | 不分割特約の期間は5年を超えることができず、また、更新することができない。 | × |
(2).分割の方法
①協議による分割
共有者間の合意に基づいて分割
協議が調わないor協議ができない
→裁判による分割
②裁判による分割(一次的方法)
(a).現物分割

(b).賠償分割

③裁判による分割(二次的方法)
現物分割・賠償分割ができないor価格が著しく減少するおそれがあるとき
→競売分割

④まとめ

裁判による共有物の分割(民法[10]4(2)②)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-08-3 | A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している。 Aが死亡し、D及びEが相続した場合には、B及びCは、Aの遺産についての遺産分割がされる前であっても、D及びEに対して共有物分割の訴えを提起することができる。 | ◯ |
| 2 | 23-03-2 | 分割により価値が著しく減少する場合、裁判所は競売を命じることができる。 | ◯ |
| 3 | 18-04-3 | 共有物の分割にあたり、全面的価格賠償も認められる。 | ◯ |
| 4 | 13-01-4 | 共有物の分割にあたり、全面的価格賠償は許されない。 | × |
| 5 | 06-03-4 | 共有者間で共有物分割に関する協議がととのわないときは、裁判所に請求できる。 | ◯ |
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