■講義編■借地借家法[04]定期借地権等
契約期間の満了後、更新されることなく終了する借地権を定期借地権といいます。定期借地権には、一般的なものの他に、事業用定期借地権と建物譲渡特約付借地権があります。
それぞれの借地権について、どのような用途のときに設定できるのか、契約の期間はどれくらいか、契約にあたり公正証書などの書面が必要か、など様々な論点があります。
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1.定期借地権
(1).定期借地権とは
契約更新のない借地権
(2).定期借地権の種類
①まとめ
②一般定期借地権・③事業用定期借地権
適用されない規定(例)
- 契約の更新⇒[01]2(2)、3
- 建物築造による存続期間の延長⇒[01]4(1)
- 建物買取請求権⇒[02]3
一般定期借地権(借地借家法[04]1(2)②)
事業用定期借地権(借地借家法[04]1(2)③)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-11-2 | 本件契約が甲土地上で専ら賃貸アパート事業用の建物を所有する目的である場合、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めるためには、公正証書で合意しなければならない。 | × |
2 | R03-11-1 | 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。 | ◯ |
3 | R03-11-2 | 居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、公正証書によって借地契約を締結するときであっても、期間を20年とし契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることはできない。 | ◯ |
4 | R01-11-3 | 賃貸借契約が居住の用に供する建物の所有を目的とする場合、期間を50年と定めたときは契約の更新がないことを書面で定めればその特約は有効であるが、期間を15年と定めたときは契約の更新がないことを書面で定めても無効であり、期間は30年となる。 | ◯ |
5 | R01-11-4 | 賃貸借契約が専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合、期間を50年と定めたときは契約の更新がないことを公正証書で定めた場合に限りその特約は有効であるが、期間を15年と定めたときは契約の更新がないことを公正証書で定めても無効である。 | × |
6 | H29-11-4 | 土地の賃貸借契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、賃貸人はあらかじめ賃借人に対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 | × |
7 | H28-11-3 | Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した。AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。 | × |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R05-11-2 | 本件契約が甲土地上で専ら賃貸アパート事業用の建物を所有する目的である場合、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めるためには、公正証書で合意しなければならない。 | × |
2 | R03-11-1 | 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。 | ◯ |
3 | R03-11-2 | 事業の用に供する建物を所有する目的とし、期間を60年と定める場合には、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を書面で合意すれば、公正証書で合意しなくても、その旨を借地契約に定めることができる。 | ◯ |
4 | R01-11-4 | 賃貸借契約が専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合、期間を50年と定めたときは契約の更新がないことを公正証書で定めた場合に限りその特約は有効であるが、期間を15年と定めたときは契約の更新がないことを公正証書で定めても無効である。 | × |
5 | H30-11-1 | [AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約を締結する。]本件契約が専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする場合には、公正証書によらなければ無効となる。 | × |
6 | H30-11-2 | [AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約を締結する。]本件契約が居住用の建物の所有を目的とする場合には、借地権の存続期間を20年とし、かつ、契約の更新請求をしない旨を定めても、これらの規定は無効となる。 | ◯ |
7 | H29-11-4 | 賃貸借契約が建物所有を目的としている場合、契約の更新がなく、建物の買取りの請求をしないこととする旨を定めるには、賃貸人はあらかじめ賃借人に対してその旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。 | × |
8 | H28-11-3 | [Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。 | × |
9 | H22-11-1 | 社宅も事業用定期借地権の対象になる。 | × |
10 | H22-11-2 | 事業用定期借地権設定契約は公正証書以外の書面で締結することができる。 | × |
11 | H18-13-2 | 居住用賃貸マンションは、事業用定期借地権の対象にならない。 | ◯ |
12 | H18-13-3 | 小売業を行う目的の土地賃貸借は、期間20年の事業用定期借地権とすることができる。 | ◯ |
13 | H14-13-1 | 事業用定期借地権を設定した場合、借主は建物買取請求権を有しない。 | ◯ |
14 | H07-12-3 | 賃貸マンションも、事業用定期借地権の対象になる。 | × |
④建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権(借地借家法[04]1(2)④)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-11-3 | Aは、所有している甲土地につき、Bとの間で建物所有を目的とする賃貸借契約を締結する予定である。居住の用に供する建物を所有することを目的とする場合には、借地契約を書面で行えば、借地権を消滅させるため、借地権の設定から20年が経過した日に甲土地上の建物の所有権を相当の対価でBからAに移転する旨の特約を有効に定めることができる。 | × |
2 | 12-11-1 | 建物譲渡特約は、必ずしも公正証書によって締結する必要はない。 | ◯ |
3 | 12-11-2 | 建物譲渡特約が、当事者間の合意によらずに法定更新されることはない。 | ◯ |
4 | 12-11-3 | 建物譲渡により賃借人の借地権が消滅した場合で、賃借人がその建物に居住しているときは、直ちに、建物を明け渡さなければならず、賃借の継続を請求することはできない。 | × |
5 | 12-11-4 | 土地の賃借人から建物を賃借し、土地賃借人の借地権消滅後もそこに居住している建物賃借人が、土地の賃貸人に対して賃借の継続を請求したときは、一定の場合を除き、期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされる。 | ◯ |
6 | 05-11-4 | 「借地権の設定から30年経過後に、借地権設定者が借地権者の建物を時価で買い取り、契約は更新しない」と特約しても、その特約は、無効である。 | × |
2.一時使用目的借地権
(1).一時使用目的とは
臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合
(2).適用されない規定(例)
- 借地権の存続期間⇒[01]2
- 契約の更新⇒[01]2(2)、3
- 建物滅失時の対応⇒[02]1(3)
- 建物買取請求権⇒[02]3
一時使用目的借地権(借地借家法[04]2)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | R03-11-4 | 借地契約が臨時設備の設置その他一時使用のためになされることが明らかである場合には、期間を5年と定め、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を借地契約に定めることができる。 | ◯ |
2 | 24-11-4 | 一時使用目的の借地権にも、建物買取請求権の規定が適用される。 | × |
3 | 18-13-2 | 一時使用目的の借地権には、契約期間・更新に関する規定が適用されない。 | ◯ |
[Step.2]一問一答式実戦応用編講座
実戦応用編では、選択肢単位に分解・整理した過去問を実際に解き、その後に、(1)基本知識の確認、(2)正誤を見極める方法、の講義を視聴します。この繰返しにより、「本試験でどんなヒッカケが出るのか?」「どうやってヒッカケを乗り越えるのか?」という実戦対応能力を身につけます。
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令和3年問11の設問についてご質問いたします。
一時使用の賃貸借では次のものの適用はないと書いてあります。
1.借地権の存続期間
2.契約の更新
3.建物滅失時の対応
4.建物買取請求権
設問では「期間を5年と定め」とあります。これは借地権の存続期間を定めているので1.に矛盾します。よってこの設問は誤りだと考えます。
誤りをご指摘くだされば幸いです。
これについては解決いたしました。
借地権の存続期間制限「最短30年、それより短い期間を定めても30年」というルール(制限)が適用されず、定めた期間で存続するということだと理解しました。要するに「存続期間の制限がなくなる」ということでした。
その通りです。
上にある[Step.1]解説講義の5分50秒以降で説明しています。
もう一度、見直しておきましょう。
確認のためですから、1.5倍速や2倍速での再生でも構いません。
「令和3年問11」については、専用の解説ページが用意されています。
文章による解説に加えて、動画もありますので、ぜひご覧ください。もちろん、今回ご質問いただいた点に関しても、解説しています。
【宅建過去問】(令和03年10月問11)借地借家法(借地)
この例のように、同じ図表を使って、
というのが、「スリー・ステップ学習法」の特長です。
このシステムを使うと、自動的に「繰返し学習」が進むわけです。
■【スリー・ステップ学習】学習方法と教材のご紹介
借地契約についてご質問いたします。
借地権の存続期間中に建物が滅失した場合、借地権者は建物を再築できます。借地権設定者の承諾があれば、承諾日又は築造日の早い日から20年存続します。
では借地権設定者の承諾がない場合、先生の講義ノートでは「当初の存続期間満了時に建物があれば法定更新と判断」とありました。私には「法定更新と判断」の意味が理解できません。これは「法定更新したと判断される」のですか、それとも「法定更新するかどうか判断する」のでしょうか?
令和4年問11の1の設問では、借地権設定者の承諾がなければ借地権存続の延長効果は生じない」となっています。そういたしますと、法定更新となることはないように思われます。
お時間がございましたらお教えくださいませ。
薮下様
ご質問ありがとうございます。
以下、話を分けて回答します。
質問の方法について
このページは、「借地借家法[04]定期借地権等」に関するものです。
一方、ご質問の内容は「借地借家法[01]借地権の存続期間と更新」の
4.建物の滅失・取壊し
(1).当初の存続期間中の滅失・取壊し
に関するものです。
他の方がご覧になったときに、本文と質問の関係が分かりにくくなってしまいます。
「質問に関連した箇所」でご質問いただけると助かります。
質問への回答
また、ご質問の内容についても、「借地借家法[01]借地権の存続期間と更新」の講義で説明しています。
以下の図でお分かりいただけるように、当初の存続期間満了時に法定更新について改めての判断します。
「建物再築」の時点で、10年後の「法定更新」が確定するわけではありません。
令和04年問11肢1について
「令和4年問11」を例に挙げてらっしゃいます。
当サイトでは、平成以降の本試験過去問について、それぞれ専用のページを用意しています。
【宅建過去問】(令和04年問11)借地借家法(借地)
こちらの解説も、ご質問に対する回答になっています。
この問題は、「借地権の期間の延長の効果が生ずるかどうか」を問うものです。
「当初の存続期間満了時に法定更新されるかどうか」に関するものではありません。
2つの論点の関連を示すと、以下のようになります。
「先生の講義ノート」について
「講義ノート」というのは、合格者のかたかどなたかが、私の講義をまとめたものなのでしょうか。
ご苦労されたことと思いますが、当社が発行した教材ではないため、その内容には責任が持てません。
私の講義での説明は、以下のものです。
「当初の存続期間満了時に法定更新の判断」という意味を図解で説明しています。
繰り返しになりますが、「建物再築」の時点で、10年後の「法定更新」が確定する、などということはありません。
以上を踏まえて、該当箇所の講義をもう一度視聴してみてください。頭がスッキリすると思います。
理解できました。ありがとうございました。
どういたしまして。
質問の回答は、要するに、「[Step.1]の該当箇所を見直しておきましょう。」ということになります。
「一度見れば全て分かり、必要事項がもれなく記憶できる!」
という講義ができれば理想的です。
しかし、そのような講義は不可能と言わざるを得ません。
なぜなら、視聴する人により、理解できる点・疑問に思う点が異なるからです。
やはり、面倒がらず、「疑問があったら見直す。」という「繰返し学習」のクセを付けましょう。
決して「質問するな」という意味ではないので、誤解なきよう。
1(1)の②の次が④になっていますので、お知らせします。
新しいものにされる際は訂正されたほうが良いように思います。
読みにくいかも知れませんが、
「②一般定期借地権・③事業用定期借地権」
として、②と③を1つの項目と扱っています。
③が抜けているわけではありません。
私の早合点で、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ありませんでした。
今後はこのようなことのないよう気をつけたいと思います。
お気になさらず。
お気軽に御質問ください。