【宅建過去問】(令和06年問01)法律行為
法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
- 公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
- 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。
- 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。
正解:1
はじめに
法律行為とは
「法律行為に関する」という問題です。しかし、「法律行為とは?」と真面目に考えはじめると、宅建試験を越えた「民法学」の勉強が必要になってしまいます。
宅建を勉強するうえでは、「法律行為の代表例が契約」くらいの意識があれば、問題を解決可能です。
無効と取消し
全ての選択肢に「無効」という言葉が含まれます。
法律行為が当初から「無効」なのか、「取り消すことができる」だけなのか。各分野で繰返し出題されています。ここで整理しておきましょう。


1 正しい
意思能力とは、自分のした法律行為の結果を判断できる能力のことをいいます。意思表示を欠く状態で行った法律行為は、無効です(民法3条の2)。
※未成年者であることや、営業を許されていることは、行為能力に関する問題です。営業を許された未成年者であったとしても、意思表示の時点で意思能力を有しないのであれば、その意思表示は、無効です。
☆「未成年者」というテーマは、問08肢4でも出題されています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る意思能力(民法[01]1(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-01-1 | 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。 | ◯ |
| 2 | R03-05-4 | 意思能力を有しないときに行った不動産の売買契約は、後見開始の審判を受けているか否かにかかわらず効力を有しない。 | ◯ |
| 3 | H30-03-4 | AとBとの間で、A所有の甲建物をBに贈与する旨を書面で約した。本件約定の時点でAに意思能力がなかった場合、Bは、本件約定に基づき甲建物の所有権を取得することはできない。 | ◯ |
| 4 | H24-03-1 | 意思能力を欠く状態での意思表示は、無効である。 | ◯ |
| 5 | H20-01-1 | 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。 | ◯ |
| 6 | H19-01-4 | A所有の甲土地についてのAB間の売買契約が、Aが泥酔して意思無能力である間になされたものである場合、Aは、酔いから覚めて売買契約を追認するまではいつでも売買契約を取り消すことができ、追認を拒絶すれば、その時点から売買契約は効となる。 | × |
| 7 | H17-01-2 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方である買主Bが意思無能力者であった場合、Bは、Aとの間で締結した売買契約を取り消せば、当該契約を無効にできる。 | × |
| 8 | H15-01-1 | 意思能力を欠いている者が土地を売却する意思表示を行った場合、その親族が当該意思表示を取り消せば、取消しの時点から将来に向かって無効となる。 | × |
| 9 | H02-04-1 | A所有の土地が、AからBへと売り渡された。Aが成年被後見人の場合、Aは、契約の際完全な意思能力を有していてもAB間の契約を取り消し、Cに対して所有権を主張することができる。 | ◯ |
未成年者(民法[01]2)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-01-1 | 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。 | ◯ |
| 2 | R06-08-4 | 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。 | ◯ |
| 3 | R04-03-4 | 成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。 | ◯ |
| 4 | R03-05-1 | 19歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。 | × |
| 5 | R03-05-3 | 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。 | × |
| 6 | H28-02-1 | 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。 | × |
| 7 | H26-09-3 | 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。 | × |
| 8 | H26-09-4 | 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。 | ◯ |
| 9 | H25-02-2 | 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。 | × |
| 10 | H22-01-1 | 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。 | × |
| 11 | H20-01-2 | 未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。 | × |
| 12 | H17-01-4 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。 | × |
| 13 | H14-02-3 | 未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。 | × |
| 14 | H11-01-1 | 満18歳に達した者は、成年とされる。 | ◯ |
| 15 | H01-03-2 | A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。 | × |
2 誤り
公の秩序又は善良の風俗(略して公序良俗)に反する法律行為は、無効です(民法90条)。たとえ、当事者が納得して合意していたとしても、その法律行為の効力は認められません。
■参照項目&類似過去問
内容を見る公序良俗
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-01-2 | 公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。 | × |
| 2 | H14-07-3 | 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合に限り、賠償額の減額をすることができる。 | × |
| 3 | H08-05-2 | A所有の土地について、AがBに、BがCに売り渡し、AからBへ、BからCへそれぞれ所有権移転登記がなされた。Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約が公序良俗に反し無効であることを知らなかった場合、Cは、Aに対して土地の所有権の取得を対抗できる。 | × |
| 4 | H06-02-1 | Aは、「近く新幹線が開通し、別荘地として最適である」旨のBの虚偽の説明を信じて、Bの所有する原野(時価20万円)を、別荘地として 2,000万円で購入する契約を締結した。Aは、当該契約は公序良俗に反するとして、その取消しを主張するとともに、Bの不法行為責任を追及することができる。 | × |
| 5 | H09-07-2 | 建物の所有者Aが、公序良俗に反する目的でその建物をBに贈与し、その引渡し及び登記の移転が不法原因給付である場合、AがBに対しその返還を求めることはできないが、その建物の所有権自体は引き続きAに帰属する。 | × |
3 誤り
詐欺による意思表示は、取り消すことができます(民法96条1項)。取り消すことにより、その意思表示は、始めから無効であったとみなされます(同法121条)。

このことは、強迫についても、全く同じです。強迫による意思表示も、取り消すことにより、初めて無効となります(同法96条1項、121条)。「取り消すまでもなく無効」というわけではありません。

☆「詐欺:当事者間の効果」というテーマは、問04肢4でも出題されています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る詐欺:当事者間の効果(民法[02]5(2))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-03-エ | 詐欺による意思表示は取り消すことができるが、その詐欺につき善意でかつ過失がない取消し前の第三者には、その取消しを対抗することができない。 | ◯ |
| 2 | R06-01-3 | 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。 | × |
| 3 | R06-04-4 | Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約が締結された直後にAが死亡し、CがAを単独相続した。本件契約が、Aの詐欺により締結されたものである場合、BはCに対して、本件契約の取消しを主張することができる。 | ◯ |
強迫の効果(民法[02]6(2)(3))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 当事者間の効果 | |||
| 1 | R06-01-3 | 詐欺による意思表示は取り消すことによって初めから無効であったとみなされるのに対し、強迫による意思表示は取り消すまでもなく無効である。 | × |
| 2 | H29-02-4 | AがBに甲土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、甲土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。 | ◯ |
| 第三者に対する効果 | |||
| [共通の前提] AがBにAの所有する甲土地を売却した。Bは、甲土地をCに売却した。 | |||
| 1 | R07-01-4 | AB間の売買契約が、BC間の売買契約よりも前にBの強迫を理由として取り消されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にBの強迫を理由として取り消された場合のいずれの場合であっても、Cは、Bの強迫につき善意でかつ過失がなければ、Aに対して自己の所有権を主張することができる。 | × |
| 2 | H23-01-4 | BがCに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合には、CがBによる強迫につき知らず、かつ、知ることができなかったときであっても、AはCから甲土地を取り戻すことができる。 | ◯ |
| 3 | H22-04-2 | 甲土地はAからB、BからCと売却されており、AB間の売買契約がBの強迫により締結されたことを理由として取り消された場合には、BC間の売買契約締結の時期にかかわらず、Aは登記がなくてもCに対して所有権を主張することができる。 | × |
| 4 | H20-02-4 | CはBとの間で売買契約を締結して所有権移転登記をしたが、その後AはBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した場合、CがBによる強迫を知っていたときに限り、Aは所有者であることをCに対して主張できる。 | × |
| 5 | H10-07-2 | AのBに対する売却の意思表示がBの強迫によって行われた場合、Aは、売却の意思表示を取り消すことができるが、その取消しをもって、Bからその取消し前に当該土地を買い受けた善意無過失のDには対抗できない。 | × |
| 6 | H03-02-全 | Cが、Bからその土地を購入した後、AがBの強迫を理由としてAB間の売買契約を取り消した場合、Cは、Aによる土地の明渡しの請求を拒むことができない。 | ◯ |
| 7 | H01-03-4 | Aは、Bに強迫されて土地を売ったので、その売買契約を取り消した場合、そのことをBからその取消し前に当該土地を買い受けた善意無過失のCに対し対抗することができる。 | ◯ |
4 誤り
他人の所有物を売却するようなケースを他人物売買といいます。民法は、このような契約も契約として有効と扱っています(同法561条)。「無効」ではありません。

※この契約に基づき、売主は、所有者からこの土地を取得し、これを買主に移転する義務を負います(民法561条)。

■参照項目&類似過去問
内容を見る他人物売買:有効性(民法[24]1(3)①)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R07-06-1 | BがA所有の甲土地をAに無断でCに売却し、その後、BがAから甲土地を購入した場合、Cは、Bから甲土地を購入した時点に遡って甲土地の所有権を取得する。 | × |
| 2 | R06-01-4 | 他人が所有している土地を目的物にした売買契約は無効であるが、当該他人がその売買契約を追認した場合にはその売買契約は有効となる。 | × |
| 3 | H29-02-2 | Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。 | × |
| 4 | H29-05-4 | Aは、中古自動車を売却するため、Bに売買の媒介を依頼し、報酬として売買代金の3%を支払うことを約した。Bの媒介によりAは当該自動車をCに100万円で売却した。売買契約締結時には当該自動車がAの所有物ではなく、Aの父親の所有物であったとしても、AC間の売買契約は有効に成立する。 | ◯ |
| 5 | H21-10-3 | Aを売主、Bを買主として甲土地の売買契約を締結した。甲土地がAの所有地ではなく、他人の所有地であった場合には、AB間の売買契約は無効である。 | × |
| 6 | H13-01-1 | A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている。Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。 | ◯ |
| 7 | H11-10-1 | AからBが建物を買い受ける契約を締結した。この建物がCの所有で、CにはAB間の契約締結時からこれを他に売却する意思がなく、AがBにその所有権を移転することができない場合でも、AB間の契約は有効に成立する。 | ◯ |
| 8 | H01-04-1 | 売買契約の目的物である土地が第三者の所有であって、当該第三者に譲渡の意思がないときは、契約は無効となる。 | × |


