【宅建過去問】(平成03年問07)担保物権
不動産を目的とする担保物権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。
- 不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても存在するものがある。
- 不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後による。
- 不動産を目的とする担保物権は、被担保債権の全部が弁済されるまでは、目的物の全部の上にその効力を及ぼす。
正解:3
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担保物権全体(民法[14]2&3)
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | 03-07-1 | 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。 | ◯ |
2 | 03-07-2 | 不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても存在するものがある。 | ◯ |
3 | 03-07-3 | 不動産を目的とする担保物権の順位は、すべて登記の先後による。 | × |
4 | 03-07-4 | 不動産を目的とする担保物権は、被担保債権の全部が弁済されるまでは、目的物の全部の上にその効力を及ぼす。 | ◯ |
1 正しい
不動産を目的とする担保物権のうち、留置権については、留置物を占有すること自体が対抗要件である。言い換えれば、登記がなくても、第三者に対抗することができる。
※留置権は、登記することができない(民法295条、不動産登記法3条)。
※留置権以外の担保物権、すなわち、先取特権・質権・抵当権については、登記が対抗要件である。
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留置権(民法[14]1(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
目的物 | |||
1 | 21-05-3 | 留置権は動産についても不動産についても成立するのに対し、先取特権は動産については成立するが不動産については成立しない。 | × |
内容 | |||
1 | R03-01-1 | 賃借人の家屋明渡債務が賃貸人の敷金返還債務に対し先履行の関係に立つと解すべき場合、賃借人は賃貸人に対し敷金返還請求権をもって家屋につき留置権を取得する余地はない。 | ◯ |
2 | 25-04-1 | 建物の賃借人が賃貸人の承諾を得て建物に付加した造作の買取請求をした場合、賃借人は、造作買取代金の支払を受けるまで、当該建物を留置することができる。 | × |
3 | 25-04-2 | 不動産が二重売買され、第2買主が所有権移転登記を備えたため、第1買主が所有権を取得できなくなった場合、第1買主は、損害賠償を受けるまで不動産を留置できる。 | × |
4 | 25-04-3 | 建物の賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された後に、賃借人が建物に関して有益費を支出した場合、賃借人は、有益費の償還を受けるまで当該建物を留置することができる。 | × |
5 | 25-04-4 | 建物賃借人が必要費を支出した場合、建物所有者ではない第三者所有の敷地を留置できない。 | ◯ |
6 | 21-05-4 | 留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有する必要があるのに対し、質権者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、質物を占有する必要がある。 | × |
7 | 19-07-2 | 建物の賃借人が造作買取代金債権を有している場合、弁済を受けるまで、建物を留置できる。 | × |
8 | 17-05-4 | 不動産に留置権を有する者は、目的物が金銭債権に転じた場合には、当該金銭に物上代位することができる。 | × |
9 | 09-03-1 | 建物の賃借人が、賃借中に建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき当該建物の返還を拒否できる。 | ◯ |
10 | 09-03-2 | 建物の賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除された後に、賃借人が建物の修繕のため必要費を支出した場合、必要費の償還を受けるまで、留置権に基づき建物の返還を拒否できる。 | × |
11 | 09-03-3 | 賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、当該建物に引き続き居住したとき、それによる利益(賃料相当額)は返還しなければならない。 | ◯ |
12 | 09-03-4 | 建物の賃借人は、留置権に基づき建物の返還を拒否している場合に、さらに当該建物の修繕のため必要費を支出したとき、その必要費のためにも留置権を行使できる。 | ◯ |
13 | 03-07-1 | 不動産を目的とする担保物権の中には、登記なくして第三者に対抗することができるものもある。 | ◯ |
2 正しい
不動産を目的とする担保物権のうち、根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を担保するものである(民法398条の2第1項)。すなわち、将来発生する債権を被担保債権とする担保物権である。
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根抵当権:被担保債権の範囲・特定(民法[13]2(1))
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
---|---|---|---|
1 | H26-04-1 | 普通抵当権では被担保債権の特定が必要だが、根抵当権ではあらゆる範囲の不特定の債権を極度額の限度で被担保債権にできる。 | × |
2 | H15-06-1 | 普通抵当権でも、根抵当権でも、被担保債権の特定が必要である。 | × |
3 | H15-06-2 | 普通抵当権でも、根抵当権でも、現在は発生しておらず、将来発生する可能性がある債権を被担保債権とすることができる。 | ◯ |
4 | H12-05-1 | 根抵当権は、根抵当権者が債務者に対して有する現在及び将来の債権をすべて担保するという内容で、設定することができる。 | × |
5 | H08-07-1 | 根抵当権は、将来有することとなる不特定の貸付金債権であっても、一定の種類の取引によって生ずるものに限定されているときは、設定することができる。 | ◯ |
6 | H03-07-2 | 不動産を目的とする担保物権の中には、被担保債権が将来のものであっても存在するものがある。 | ◯ |
3 誤り
同一の不動産について登記した権利の順位は、原則として、登記の前後によって決する(不動産登記法4条1項)。しかし、このルールには、例外があり、不動産保存の先取特権(民法337条)と不動産工事の先取特権(同法338条)は、これより先に登記を受けた抵当権に先立って行使することができる(同法339条)。したがって、本肢の「すべて登記の先後による」という記述は、誤りである。
4 正しい
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる(民法296条)。これを留置権の不可分性という。そして、この条文は、先取特権(同法305条)、質権(同法350条)、抵当権(同法372条)に準用されている。したがって、不可分性は、不動産を目的とする担保物権全てに共通する属性となっている。
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