【宅建過去問】(平成23年問30)営業保証金
宅地建物取引業者A社(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
- A社は、甲県の区域内に新たに支店を設置し宅地建物取引業を営もうとする場合、甲県知事にその旨の届出を行うことにより事業を開始することができるが、当該支店を設置してから3月以内に、営業保証金を供託した旨を甲県知事に届け出なければならない。
- 甲県知事は、A社が宅地建物取引業の免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならず、その催告が到達した日から1月以内にA社が届出をしないときは、A社の免許を取り消すことができる。
- A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者(以下この問において「還付請求権者」という。)に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。
- A社は、宅地建物取引業の廃業によりその免許が効力を失い、その後に自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。
正解:2
1 誤り
宅建業者が事業の開始後に①事務所を新設した場合、②その事務所についても営業保証金を供託しなければなりません(宅建業法26条1項)。営業保証金を供託したときは、③供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、免許権者に届け出る必要があります(同条2項、25条4項)。④事業を開始することができるのは、供託した旨の届出をした後です(同法26条2項、25条5項)。
本肢では、④事業の開始後に、②供託と③届出をしています。これでは順序が違います。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02s-33-1 | 宅地建物取引業者は、事業の開始後、新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出なければならない。 | × |
2 | R02-35-2 | 宅地建物取引業者Aが甲県内に新たに支店を設置したときは、本店の最寄りの供託所に政令で定める額の営業保証金を供託すれば、当該支店での事業を開始することができる。 | × |
3 | 29-32-2 | 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに事務所を設置するため営業保証金を供託したときは、供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 | ◯ |
4 | 26-29-3 | 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに従たる事務所を設置したときは、その従たる事務所の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 | × |
5 | 23-30-1 | 支店新設→事業開始→供託→届出。 | × |
6 | 20-34-1 | 支店新設→供託→事業開始、届出なし。 | × |
7 | 18-34-2 | 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに支店を設置したときは、その支店の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 | × |
8 | 16-35-1 | 支店新設→供託→事業開始→届出。 | × |
9 | 15-34-3 | 支店新設→供託→事業開始→届出。 | × |
10 | 12-44-2 | 支店新設→2週間以内に供託→届出。 | × |
11 | 10-37-3 | 支店新設→供託→事業開始、届出なし。 | × |
12 | 01-43-2 | 支店新設→事業開始→供託。 | × |
2 正しい
宅建業者は、免許を受けた後に、営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出なければ、事業を開始することができません(宅建業法25条1項、4項、5項)。免許取得から3か月以内に供託完了の届出をしなかった場合、免許権者は、届出をするよう催告しなければなりません(同条6項)。この催告が宅建業者に到達してから1か月を経過しても届出がない場合、免許権者は、免許を取り消すことができます(任意的取消事由。同条7項)。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R02s-33-4 | 免許権者は、宅地建物取引業者が宅地建物取引業の免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければならず、その催告が到達した日から1月以内に届出がないときは、当該宅地建物取引業者の免許を取り消すことができる。 | ◯ |
2 | 30-43-1 | 宅地建物取引業者は、免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出を行わなかったことにより国土交通大臣又は都道府県知事の催告を受けた場合、当該催告が到達した日から1月以内に届出をしないときは、免許を取り消されることがある。 | ◯ |
3 | 23-30-2 | 免許を受けた日から3月以内に供託の届出。これがないときは催告し、1月以内に届け出なければ免許取消可。 | ◯ |
4 | 15-33-4 | 供託しないことを理由に免許が取消された場合、役員の宅建士登録も消除される。 | × |
5 | 12-44-1 | 免許の日から1月以内に、営業保証金を供託し、かつ、知事に届出なければ、事業を開始できない。 | × |
6 | 10-37-2 | 免許を受けた日から1月以内に供託の届出。これがないときは催告し、1月以内に届け出なければ免許取消可。 | × |
7 | 09-34-1 | 催告到達から1月以内に届出がない場合、実際に供託していても免許取消可。 | ◯ |
8 | 08-47-1 | 免許をした日から1月以内に供託の届出がない場合、免許権者は催告しなければならない。 | × |
9 | 04-43-4 | 免許をした日から3月以内に供託の届出がなく、情状が重いとき、免許権者は、催告なしに免許取消可。 | × |
3 誤り
供託していた営業保証金を取り戻すには、6か月以上の期間を定めて、公告手続を行う必要があります(宅建業法30条1項、2項)。公告手続の目的は、営業保証金から還付を受ける権利を持っている人が、そのチャンスを逃すことのないようにすることです。そのようなリスクがないケースでは、公告手続なしに営業保証金を取り戻すことができます。
本肢できかれている「宅建業の廃業」と「支店の廃止」は、いずれも公告手続不要のケースに当てはまりません。原則通り、公告手続が必要となります。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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免許の有効期間満了 | |||
1 | R02s-33-3 | 宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。 | × |
2 | 22-31-2 | 宅地建物取引業者は、免許の有効期間満了に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。 | × |
3 | 19-37-2 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、免許の有効期間の満了に伴い、営業保証金の取戻しをするための公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。 | ◯ |
4 | 10-37-4 | 宅地建物取引業者Aは、免許失効に伴う営業保証金の取戻しのため、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。 | ◯ |
廃業等の届出 | |||
1 | 23-30-3 | 宅地建物取引業者A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。 | × |
免許取消し | |||
1 | 25-27-1 | 宅地建物取引業者は、不正の手段により法第3条第1項の免許を受けたことを理由に免許を取り消された場合であっても、営業保証金を取り戻すことができる。 | ◯ |
2 | 22-31-1 | 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をし、情状が特に重いとして免許を取り消されたときであっても、営業保証金を取り戻すことができる場合がある。 | ◯ |
3 | 04-43-3 | 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をしたため、免許を取り消されたときは、その営業保証金を取り戻すことができない。 | × |
一部事務所の廃止 | |||
1 | 29-32-3 | 宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。 | ◯ |
2 | 27-42-2 | 営業保証金を供託している宅地建物取引業者Aと保証協会の社員である宅地建物取引業者Bが一部の事務所を廃止した場合において、営業保証金又は弁済業務保証金を取り戻すときは、A、Bはそれぞれ還付を請求する権利を有する者に対して6か月以内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。 | × |
3 | 23-30-3 | 宅地建物取引業者A社は、宅地建物取引業の廃業により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告しなければならないが、支店の廃止により営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対して公告する必要はない。 | × |
4 | 22-31-3 | 宅地建物取引業者は、一部の支店を廃止したことにより、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合は、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申出がなかったときに、その超過額を取り戻すことができる。 | ◯ |
5 | 16-35-2 | 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が本店と2つの支店を有する場合、Aが2つの支店を廃止し、その旨の届出をしたときは、営業保証金の額が政令で定める額を超えることとなるので、その超過額1,000万円について公告をせずに直ちに取り戻すことができる。 | × |
6 | 15-34-4 | 宅地建物取引業者Aは、支店を廃止したため、Aの営業保証金につき、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者は3ヵ月以内に申し出るべき旨の公告をしたが、申出がなかったので、営業保証金を取り戻した。 | × |
7 | 09-34-4 | 宅地建物取引業者Aが支店aを廃止し、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合において、Aは、その超過額について、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をし、その期間内に申出がないとき、当該超過額を取り戻すことができる。 | ◯ |
4 誤り
宅建業を廃業したとしても、取引を結了する目的の範囲内においては、引き続き宅建業者であるとみなされます(宅建業法76条)。したがって、取引結了までの期間においては、営業保証金還付の原因が発生する可能性があるわけです。
そして、営業保証金の取り戻しにあたって、公告が不要となるのは、「取りもどすことができる事由が発生した時から10年を経過したとき」です(肢3の表参照。同法30条2項但書)。
本肢でいうと、「取りもどすことができる事由」に該当するのは、「取引が結了したとき」です。「廃業の日から10年経過」したからといって、公告が不要になるわけではありません。
■類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-30-4 | Aは、免許を受けた都道府県知事から宅地建物取引業の免許の取消しを受けたものの、当該免許の取消し前に建物の売買の広告をしていた場合、当該建物の売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。 | × |
2 | R02-43-2 | 宅地建物取引業者である個人Bが死亡した場合、その相続人Cは、Bが締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされ、Bが売主として締結していた売買契約の目的物を買主に引き渡すことができる。 | ◯ |
3 | 29-36-4 | 宅地建物取引業者である法人Dが、宅地建物取引業者でない法人Eに吸収合併されたことにより消滅した場合、一般承継人であるEは、Dが締結した宅地又は建物の契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において宅地建物取引業者とみなされる。 | ◯ |
4 | 28-35-4 | 個人である宅建業者E(丙県知事免許)が死亡した場合、Eの一般承継人Fがその旨を丙県知事に届け出た後であっても、Fは、Eが生前締結した売買契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅建業者とみなされる。 | ◯ |
5 | 28-37-イ | 宅建業者が自ら売主として宅地の売買契約を成立させた後、当該宅地の引渡しの前に免許の有効期間が満了したときは、当該契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、宅建業者として当該取引に係る業務を行うことができる。 | ◯ |
6 | 23-30-4 | 廃業により免許が効力を失い、自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。 | × |
7 | 23-36-4 | 免許を取り消された者は、取消前に売買の広告をしていれば、売買契約を締結する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。 | × |
8 | 22-28-1 | 個人業者が死亡した場合、相続人は、業者が生前に締結した契約に基づく取引を結了した後に廃業届を提出すればよい。 | × |
9 | 14-44-2 | 廃業届を提出し、免許の効力を失った場合でも、廃業前に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては、なお宅地建物取引業者とみなされる。 | ◯ |
10 | 08-45-2 | 宅建業廃止の届出をした後でも、届出前に締結した宅地分譲の契約に基づく宅地の引渡しを不当に遅延する行為をしてはならない。 | ◯ |
11 | 06-49-4 | 不正手段により免許を取得したとして、免許を取り消された場合でも、取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については、無免許事業の禁止規定に違反しない。 | ◯ |
12 | 05-45-4 | 宅建業者A社を宅建業者B社が吸収合併した場合、B社は、A社の宅建士が行った重要事項説明について責任を負わない。 | × |
13 | 03-37-4 | 宅建業者である法人Fと宅建業者でない法人Gが合併し、法人Fが消滅した場合において、法人Gが法人Fの締結していた売買契約に基づくマンションの引渡しをしようとするときは、法人Gは、宅建業の免許を受けなければならない | × |
14 | 02-43-1 | 宅建業者が死亡した場合、その一般承継人は、宅建業者が締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内において、なお宅建業者とみなされる | ◯ |
年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
主たる事務所移転時 | |||
1 | 28-40-4 | 宅地建物取引業者は、本店を移転したため、その最寄りの供託所が変更した場合において、従前の営業保証金を取りもどすときは、営業保証金の還付を請求する権利を有する者に対し、一定期間内に申し出るべき旨の公告をしなければならない。 | × |
事由発生から10年経過時 | |||
1 | 23-30-4 | 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業の廃業によりその免許が効力を失い、その後に自らを売主とする取引が結了した場合、廃業の日から10年経過していれば、還付請求権者に対して公告することなく営業保証金を取り戻すことができる。 | × |
保証協会加入 | |||
1 | R01-33-2 | 保証協会の社員となった宅地建物取引業者が、保証協会に加入する前に供託していた営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対する公告をしなければならない。 | × |
2 | 22-31-4 | 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業保証協会の社員となった後において、社員となる前に供託していた営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をすることなく、営業保証金を取り戻すことができる。 | ◯ |
3 | 09-35-2 | 保証協会に加入している宅地建物取引業者A(甲県知事免許、事務所数1)は、保証協会加入前に供託していた営業保証金を取り戻す場合、還付請求権者に対する公告をした旨を甲県知事に届け出なければならない。 | × |
4 | 07-36-4 | 宅地建物取引業者Aは、甲県に本店aと支店bを設けて、額面金額1,000万円の国債証券と500万円の金銭を供託して営業している。Aは、宅地建物取引業保証協会の社員となったときは、還付請求権者に対する公告をせず、直ちに営業保証金を取り戻すことができる。 | ◯ |
5 | 03-48-4 | 宅地建物取引業者は、保証協会の社員になったことにより営業保証金を供託することを要しなくなった場合において、当該営業保証金の取戻しをしようとするときは、6月を下らない一定の期間内に債権の申出をすべき旨の公告をしなければならない。 | × |
6 | 01-43-4 | 宅地建物取引業者Aは、主たる事務所aとその他の事務所b及びcの3事務所を設けて、B県知事から、宅地建物取引業の免許を受けた。Aは、2,000万円を供託して届け出た後、a、b及びcで業務を開始したが、その後宅地建物取引業保証協会の社員となったので、直ちに、営業保証金として供託していた2,000万円を取り戻した。 | ◯ |
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>•平成22年問31肢4(保証協会の社員となった場合、公告不要:×) リンク先では○となっています。誤字指摘です、失礼しました。