【宅建過去問】(平成25年問14)不動産登記法

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不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
  2. 共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者である全ての登記名義人が共同してしなければならない。
  3. 敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得ることなく、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができる。
  4. 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。

正解:3

1 正しい

ややこしい話なので、具体例で説明しましょう。
甲土地の所有権の登記名義人Aは、甲土地について表示に関する登記(例えば、分筆の登記)をすることができる状況にありました。しかし、その登記を申請する前にAは死亡してしまい、Bが単独で相続しました。この場合、Bは、甲土地に関する所有権移転の登記を受けなくても、A名義の登記のまま、表示に関する登記を申請することができます(不動産登記法30条)。

■参照項目&類似過去問
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表示に関する登記の通則(不動産登記法[02])
年-問-肢内容正誤
1R02s-14-1表題部所有者が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者について相続があったときは、その相続人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
2H25-14-1所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができる。
3H21-14-2表題部所有者について住所の変更があったときは、当該表題部所有者は、その変更があった日から1月以内に、当該住所についての変更の登記を申請しなければならない。×
4H08-15-3不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができず、申請にあたっては、表題部所有者の承諾が必要である。

2 正しい

共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記は、共有者であるすべての登記名義人が共同で申請する必要があります(不動産登記法65条)。このような申請の方法を合同申請といいます。

■参照項目&類似過去問
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共有物分割禁止の定めの登記(不動産登記法[03]3(1))
年-問-肢内容正誤
1R05-14-3共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者である全ての登記名義人が共同してしなければならない。
2H25-14-2共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者である全ての登記名義人が共同してしなければならない。
3H19-16-2共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければならない。

3 誤り

区分建物については、表題部所有者に加えて、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存の登記を申請することができます(不動産登記法74条2項前段)。
25-14-3その建物が敷地権付き区分建物であるときは、敷地権の登記名義人の承諾を得る必要があります(同項後段)。

■参照項目&類似過去問
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区分建物の所有権保存の登記(不動産登記法[04]3(2))
年-問-肢内容正誤
1R05-14-4区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。
2R02-14-1敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得なければ、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができない。
3H28-14-4区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。
4H25-14-3敷地権付き区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者は、当該敷地権の登記名義人の承諾を得ることなく、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができる。×
5H12-14-41棟の建物を区分した建物の登記簿の表題部所有者から所有権を取得したことを証明できる者は、直接自己名義に当該建物の所有権の保存の登記を申請することができる。
6H08-16-2区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。
7H01-16-3区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。

4 正しい

所有権に関する仮登記に基づく本登記を申請する場合、登記上の利害関係を有する第三者があるときは、その第三者の承諾を得る必要があります(不動産登記法109条1項)。

図の例で説明しましょう。①Bが所有権移転の仮登記をした後に、②Cが所有権移転の本登記を受けたとします。この場合、Bは、③本登記を申請するに当たり、④利害関係者であるCの承諾を受ける必要があります。

※利害関係者の承諾が必要になるのは、所有権に関する仮登記の場合に限られます。所有権以外、例えば、抵当権の仮登記の場合、承諾を受ける必要はありません。

■参照項目&類似過去問
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仮登記に基づく本登記(不動産登記法[05]3)
年-問-肢内容正誤
1R02-14-2所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合であっても、その承諾を得ることなく、申請することができる。×
2H25-14-4所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
3H20-16-1所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
4H10-15-3抵当権設定の仮登記に基づき本登記を申請する場合に、その本登記について登記上利害関係を有する第三者があるときは、申請情報と併せてその者の承諾情報を提供しなければ、当該本登記を申請することができない。×
5H06-16-3A名義の所有権の登記がされている土地について、B名義への所有権移転の仮登記がされた後、A名義からC名義への売買による所有権移転登記がされている場合には、Bは、Cの登記が抹消されるまでは、仮登記に基づく本登記をすることはできない。×
6H02-16-2仮登記に基づく本登記は、登記記録中あらかじめ設けられている仮登記の次の余白に記録される。
7H02-16-4所有権に関する仮登記をした後、本登記を申請する場合においては、その仮登記後第三者に所有権移転の登記がされているときでも、申請情報と併せて、その者の承諾を証する情報又はこれに対抗することのできる裁判があったことを証する情報を提供することを要しない。×

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【宅建過去問】(平成25年問14)不動産登記法” に対して6件のコメントがあります。

  1. 齋藤美香 より:

    先生今日は。いつも過去問の解説で先生にお世話になっています^ ^

    質問なんですが、こちらの過去問はかなり昔までありますが、解説のほうは現在の法改正に対応していただいてるんですよね?

    過去問12年分はできるのですが、なかなかできないです(;_;)

    1. 家坂 圭一 より:

      齋藤様

      御質問ありがとうございます。
      このサイトの過去問は、次の本試験に出題される法令に合致するよう、毎年メンテナンスを行っています。
      もしも見逃しがあれば、お手数ですが、お知らせください。

  2. 2019年宅建受かりたいです。 より:

    回答ありがとうございます!!

    1. 家坂 圭一 より:

      どういたしまして。
      ラスト1か月、頑張りましょう!

  3. 2019年宅建受かりたいです。 より:

    いつもわかりやすい解説をありがとうございます。
    本問題の3番について、わからないことがありました。

    当該敷地権の登記名義人の承諾を得ることなく、当該区分建物に係る所有権の保存の登記を申請することができる→出来ないが正しいとのことですが

    そもそも区分建物はマンション(建物)と土地の名義はバラバラにならないと思うのですが、敷地権の登記名義人の承諾というのは、だれからの許可なのでしょうか?
    表題部所有者は、借地に建物を建てて、土地を持っている人は別に存在するのでしょうか?

    わからなくなってしまいました。
    もしよろしければご教授頂けますと幸いです。

    1. 家坂 圭一 より:

      2019年宅建受かりたいです。様

      御質問ありがとうございます。
      本問の肢3は、「区分建物の表題部所有者」自身ではなく、「区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者」が所有権の保存登記をするケースについて考えています(不動産登記法74条2項)。

      この場合、敷地権については、「敷地権の登記名義人」から「区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者」への権利移転が起こっています。

      つまり、この登記は、
      ・区分建物に関する所有権「保存」登記であるものの、
      ・敷地権に関しては、「移転」登記である
      という性質を持ちます。

      実質的には「移転」登記なのですから、本来であれば、登記義務者と登記権利者の共同申請が必要です。
      その手続を登記権利者である「区分建物の表題部所有者から所有権を取得した者」が単独で申請できるようにするため、登記義務者である「敷地権の登記名義人」の承諾が要求されています。

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