【宅建過去問】(令和02年10月問11)借地借家法(借地)
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- Bは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、甲土地を令和XX年7月2日に購入したCに対して借地権を主張することができる。
- 本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、AもBも借賃の増減を請求することができない。
- 本件契約で「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BはAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。
- AとBとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。
正解:4
設定の確認
1 誤り
借地権の対抗要件となるのは、借地権の登記(民法605条)又は借地上の建物の登記(借地借家法10条1項)です。
甲土地の引渡しでは、対抗要件になりません。したがって、Bは、Cに対して借地権を主張することができません。
※引渡しが賃借権の対抗要件になるのは、建物賃貸借の場合です(借地借家法31条)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-06-2 | 土地の賃借人として当該土地上に登記ある建物を所有する者は、当該土地の所有権を新たに取得した者と対抗関係にある第三者に該当する。 | ◯ |
2 | R03s-11-3 | 借地権者が借地上の建物にのみ登記をしている場合、当該借地権を第三者に対抗することができるのは、当該建物の敷地の表示として記載されている土地のみである。 | ◯ |
3 | R02s-11-1 | 借地権者が借地権の登記をしておらず、当該土地上に所有権の登記がされている建物を所有しているときは、これをもって借地権を第三者に対抗することができるが、建物の表示の登記によっては対抗することができない。 | × |
4 | R02s-11-3 | 土地の賃借人が登記ある建物を所有している場合であっても、その賃借人から当該土地建物を賃借した転借人が対抗力を備えていなければ、当該転借人は転借権を第三者に対抗することができない。 | × |
5 | R02s-11-4 | 借地権者が所有する数棟の建物が一筆の土地上にある場合は、そのうちの一棟について登記があれば、借地権の対抗力が当該土地全部に及ぶ。 | ◯ |
6 | R02-11-1 | A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。Bは、借地権の登記をしていなくても、甲土地の引渡しを受けていれば、本件契約締結後に甲土地を購入したCに対して借地権を主張することができる。 | × |
7 | H30-11-4 | [AとBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で賃貸借契約を締結する。]Bは、甲土地につき借地権登記を備えなくても、Bと同姓でかつ同居している未成年の長男名義で保存登記をした建物を甲土地上に所有していれば、甲土地の所有者が替わっても、甲土地の新所有者に対し借地権を対抗することができる。 | × |
8 | H29-11-1 | (A所有の甲土地につき、平成29年10月1日にBとの間で賃貸借契約(本件契約)が締結された。)Aが甲土地につき、本件契約とは別に、平成29年9月1日にCとの間で建物所有を目的として賃貸借契約を締結していた場合、本件契約が資材置場として更地で利用することを目的とするものであるときは、本件契約よりもCとの契約が優先する。 | × |
9 | H28-11-1 | [Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。 | ◯ |
10 | H28-11-2 | [Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。 | × |
11 | H26-07-2 | 借地権者が借地上の建物につき自己名義で保存登記をしている場合、借地の不法占拠者に対し、賃借権に基づいて妨害排除を求めることができる。 | ◯ |
12 | H26-11-2 | 借地上の建物の登記があれば、土地が第三者に売却されても、借地権を対抗可。 | ◯ |
13 | H25-12-3 | 二筆ある土地の借地権者が、一筆の土地上に登記ある建物を所有し、他方の土地は庭として使用している場合、後者の土地には対抗力が及ばない。 | ◯ |
14 | H24-11-1 | 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において、借地権の登記がなくても、その土地上の建物に借地人が自己を所有者と記載した表示の登記をしていれば、借地権を第三者に対抗することができる。 | ◯ |
15 | H24-11-3 | 土地の転借人は、転貸人たる賃借人が対抗力ある建物を所有していれば、賃借権を対抗可。 | ◯ |
16 | H20-13-4 | 口頭の借地契約でも、借地上の建物の登記があれば、借地権を対抗可。 | ◯ |
17 | H18-13-4 | 公正証書で借地契約をしても、対抗力が認められない場合がある。 | ◯ |
18 | H15-13-1 | 借地上の建物の保存登記があれば、借地権を対抗可。 | ◯ |
19 | H11-13-1 | 自己名義の保存登記があっても、居住していなければ対抗不可。 | × |
20 | H11-13-2 | 配偶者名義の保存登記があっても、対抗不可。 | ◯ |
21 | H11-13-3 | 一筆の土地上にある2棟の建物のうち1棟について自己名義の保存登記があれば、全体について借地権を対抗可。 | ◯ |
22 | H11-13-4 | 所在地番が多少相違しても同一性が認識できれば対抗可。 | ◯ |
23 | H08-13-1 | 長男名義の保存登記があれば、対抗可。 | × |
24 | H08-13-2 | 自己名義の保存登記があれば、強制競売の競落者にも対抗可。 | ◯ |
25 | H08-13-4 | 定期借地権の場合、公正証書で契約締結していれば、建物の登記がなくても対抗可。 | × |
2 誤り
地代等を増額しないという特約(不増額特約)は、有効です(借地借家法11条1項ただし書き)。しかし、地代等を減額しないという特約(不減額特約)は、たとえ定めたとしても無効です(同条本文)。
本肢では、「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めています。
このうち、「増額しない」の部分は有効ですが、「減額しない」の部分は無効です。
したがって、特約にかかわらず、Bは、借賃の減額を請求することができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R05-11-1 | 本件契約に、当初の10年間は地代を減額しない旨の特約を定めた場合、その期間内は、BはAに対して地代の減額請求をすることはできない。 | × |
2 | R02-11-2 | A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。本件契約で「一定期間は借賃の額の増減を行わない」旨を定めた場合には、甲土地の借賃が近傍類似の土地の借賃と比較して不相当となったときであっても、当該期間中は、AもBも借賃の増減を請求することができない。 | × |
3 | H29-11-3 | 土地賃貸借契約が建物所有を目的として存続期間60年とし、賃料につき3年ごとに1%ずつ増額する旨を公正証書で定めたものである場合、社会情勢の変化により賃料が不相当となったときであっても、賃貸人も賃借人も期間満了まで賃料の増減額請求をすることができない。 | × |
4 | H25-12-1 | ゴルフ場経営を目的とする土地賃貸借契約については、対象となる全ての土地について地代等の増減額請求に関する借地借家法の規定が適用される。 | × |
5 | H05-11-3 | 「地代の増減は、借地権設定者・借地権者の協議によって定める」と約定した場合、借地権設定者は、協議を尽くさなければ、地代の増減を請求することはできない。 | × |
6 | H01-12-4 | 当事者間で借賃の増額について協議が調わない場合、借地権者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める借賃を支払えばよい。 | ◯ |
3 誤り
■建物買取請求権
建物買取請求権が認められるのは、賃貸借契約が期間の満了によって終了する場合に限られます(借地借家法13条)。
賃借人の債務不履行によって契約が終了した場合、建物買取請求権は認められません(最判昭35.02.09)。
■特約の有効性
建物買取請求権に関して、借地借家法よりも借地権者に不利な特約を締結することは、禁止されています(借地借家法16条)。しかし、本肢の特約は、条文や判例と同じ内容を定めているだけです。借地権者に不利なものではありません。したがって、この特約は、有効です(とはいっても、条文・判例通りの内容を定めただけなので、特に意味がある取り決めとはいえません。あってもなくても、結論は同じです)。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R05-11-3 | 本件契約に建物買取請求権を排除する旨の特約が定められていない場合、本件契約が終了したときは、その終了事由のいかんにかかわらず、BはAに対してBが甲土地上に所有している建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。 | × |
2 | R04-11-4 | 借地上の建物所有者が借地権設定者に建物買取請求権を適法に行使した場合、買取代金の支払があるまでは建物の引渡しを拒み得るとともに、これに基づく敷地の占有についても、賃料相当額を支払う必要はない。 | × |
3 | R02-11-3 | A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。本件契約で「Bの債務不履行により賃貸借契約が解除された場合には、BはAに対して建物買取請求権を行使することができない」旨を定めても、この合意は無効となる。 | × |
4 | H28-11-4 | [Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借]Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。 | × |
5 | H24-11-4 | 一時使用目的の借地権にも、建物買取請求権の規定が適用される。 | × |
6 | H14-13-1 | 事業用定期借地権を設定した場合、借主は建物買取請求権を有しない。 | ◯ |
7 | H14-13-2 | 借主の債務不履行を原因とする契約終了の場合にも、建物買取請求できる。 | × |
8 | H14-13-3 | 賃貸借契約・転貸借契約がともに期間満了し更新がなければ、転借人は賃貸人に対し直接建物買取請求権を有する。 | ◯ |
9 | H14-13-4 | 借主が適法に貸主に建物買取請求権を行使すると、その所有権は直ちに借主から貸主に移転するが、借主は貸主が代金を支払うまで、建物の引渡しを拒むことができる。 | ◯ |
10 | H10-11-4 | 建物が存続期間満了前に貸主の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべきものとして新たに築造されたものであるとき、建物買取請求権を行使できない。 | × |
11 | H03-12-3 | 借地権者は、借地権が消滅した場合において、家屋があるときは、自らが債務不履行のときでも土地所有者に対し家屋の買取りを請求することができる。 | × |
4 正しい
当初の存続期間が満了し、借地契約を更新する場合、その期間は20年以上であることが必要です(借地借家法4条)。これに反する特約で、借地権者に不利なものは無効とされます(同法9条)。
本肢では、最初の更新時に、更新後の契約期間を15年と定めています。しかし、この特約は、借地借家法の規定と比較して借地権者に不利なため無効です。契約期間は、借地借家法の原則通り、20年ということになります。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03s-11-1 | 借地権の存続期間を契約で30年と定めた場合には、当事者が借地契約を更新する際、その期間を更新の日から30年以下に定めることはできない。 | × |
2 | R02-11-4 | A所有の甲土地につき、Bとの間で居住の用に供する建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃貸借契約が締結された。AとBとが期間満了に当たり本件契約を最初に更新する場合、更新後の存続期間を15年と定めても、20年となる。 | ◯ |
3 | H21-11-4 | 当初の存続期間が満了し契約更新する場合、契約期間を10年と定めたときは、その定めは無効で契約期間は20年となる。 | ◯ |
4 | H10-11-2 | 存続期間満了時に借地権者が更新を請求し、借地権設定者が異議を述べたがその異議に正当事由がない場合、契約は更新され、その存続期間は30年である。 | × |
5 | H04-10-3 | 存続期間満了後、借地権者が土地使用を継続しており、借地権設定者が異議を述べなければ、期間の定めのない借地権が設定されたとみなされる。 | × |
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選択肢3は、借地借家法ではなく判例によるのではないかと思います。
(借地借家法で該当の条文を見つけられなかったので)
ただ、判例も具体的にいつのものか探すことができませんでした。
ご存じでしたら教えていただけないでしょうか。
タカサキ様
ご質問ありがとうございます。
判例を挙げるとすれば、「最判昭35.02.09(民集第14巻1号108頁)」が代表的なものです。
しかし、そこまで確認する必要はないように思います。
(1)借地借家法13条1項は、「借地権の存続期間が満了した場合において」と定めている。
(2)したがって、「債務不履行により終了した場合」を含まない。
↑
と考えれば、それで十分ではないでしょうか。
直近の出題は、平成28年問11肢4です。こちらの解説もご覧ください。
一番と4番目と悩みました。
で、1番に回答してしまいました。
不正解の理由がわかりません。
教えて下さい。
三浦様
ご質問ありがとうございます。
肢1の件ですが、借地権の対抗要件として認められるのは、以下の2つです。
(1)借地権の登記
(2)借地上の建物の登記
肢1のBは「土地の引渡し」を受けているだけで、これでは対抗要件になりません。
したがって、Cに対して借地権を主張することは不可能です。
以上については、【講義編】の以下の箇所で説明しています。
【講義編】借地借家法[02]借地権の効力
1.借地権の対抗要件
(1).対抗要件
(2).借地上の建物の登記