【宅建過去問】(令和06年問08)民法に規定されていないもの
次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。
- 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
- 無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
- 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
- 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
正解:1
1 条文に規定されていない
契約は、申込みの意思表示に対して相手方が承諾の意思表示をしたときに成立します(民法522条1項)。そして、意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を発生します(同法97条1項)。
この2つの条文を組み合わせると、「隔地者間の契約が成立するのは、承諾の通知が到達した時」ということになります。「承諾の通知を発した時」ではありません。
つまり、本肢の内容は、民法の条文として規定されていません。それどころか、契約の成立時点について結論自体が誤っているわけです。
※令和03年12月問08の設定を利用すると、次のように図示することができます。
■参照項目&類似過去問
内容を見る契約の成立(民法[24]1(1))
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-08-1 | 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。 | × |
| [共通の設定] AはBに対して、Aが所有する甲土地を1,000万円で売却したい旨の申込みを郵便で発信したが、本件申込みがBに到達する前にAが死亡した。 | |||
| 2 | R03s-08-1 | Bが承諾の通知を発する前に、BがAの死亡を知ったとしても、本件申込みは効力を失わない。 | × |
| 3 | R03s-08-2 | Aが、本件申込みにおいて、自己が死亡した場合には申込みの効力を失う旨の意思表示をしていたときには、BがAの死亡を知らないとしても本件申込みは効力を失う。 | ◯ |
| 4 | R03s-08-3 | 本件申込みが効力を失わない場合、本件申込みに承諾をなすべき期間及び撤回をする権利についての記載がなかったときは、Aの相続人は、本件申込みをいつでも撤回することができる。 | × |
| 5 | R03s-08-4 | 本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する。 | × |
2 条文に規定されている
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負います(民法121条の2第1項)。つまり、本肢の内容は、民法の条文として規定されています。
例えば、以下のような例で考えると分かりやすいでしょう。
虚偽表示に基づく意思表示は、無効です(同法94条1項)。
虚偽表示による売買契約に基づいて、売主が買主に土地を引渡したとすると、買主は、この土地を売主に返還する義務を負います。これが原状回復義務です。
詐欺による意思表示は、取り消すことができます(同法96条1項)。
買主の詐欺により、売主が売買契約を締結し、この契約に基づいて売主が買主に土地を引渡しました。この後、売主が詐欺を理由に意思表示を取り消すと、契約は、始めから無効だったことになります(同法121条)。この場合にも、買主は原状回復義務を負います。つまり、この土地を売主に返還しなければなりません。
3 条文に規定されている
本肢の代理人は、代理権の範囲内の行為をしています。しかし、実際には、本人のためではなく、自己又は第三者の利益を図る目的で代理行為を行っているわけです。このようなケースを代理権の濫用といいます。
代理権の濫用があった場合、相手方がその目的について悪意又は善意でも過失があるときは、代理権を有しないものがした行為(=無権代理行為)とみなされます(民法107条)。つまり、本肢の内容は、民法の条文として規定されています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る代理権の濫用(民法[03]6)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| [共通の設定] 甲土地の所有者Aの代理人Bが、買主Cとの間で甲土地の売買契約を締結する。 |
|||
| 1 | R06-08-3 | 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。 | ◯ |
| 2 | R03s-05-1 | BがAの代理人として第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合、相手方Cがその目的を知っていたとしても、BC間の法律行為の効果はAに帰属する。 | × |
| 3 | R02s-02-1 | Bが自己又は第三者の利益を図る目的で、Aの代理人としてA所有の甲土地をCに売却した場合、Cがその目的を知り、又は知ることができたときは、Bの代理行為は無権代理とみなされる。 | ◯ |
| 4 | 30-02-1 | Bが売買代金を着服する意図で本件契約を締結し、Cが本件契約の締結時点でこのことを知っていた場合であっても、本件契約の効果は当然にAに帰属する。 | × |
4 条文に規定されている
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得る必要があります(民法5条1項本文)。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、例外です(同項ただし書き)。つまり、本肢の内容は、民法の条文として規定されています。
☆「未成年者」というテーマは、問01肢1でも出題されています。
■参照項目&類似過去問
内容を見る未成年者(民法[01]2)
| 年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
|---|---|---|---|
| 1 | R06-01-1 | 営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。 | ◯ |
| 2 | R06-08-4 | 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。 | ◯ |
| 3 | R04-03-4 | 成年年齢は18歳であるため、18歳の者は、年齢を理由とする後見人の欠格事由に該当しない。 | ◯ |
| 4 | R03-05-1 | 19歳の者は未成年であるので、携帯電話サービスの契約や不動産の賃貸借契約を1人で締結することはできない。 | × |
| 5 | R03-05-3 | 営業を許された未成年者が、その営業に関するか否かにかかわらず、第三者から法定代理人の同意なく負担付贈与を受けた場合には、法定代理人は当該行為を取り消すことができない。 | × |
| 6 | H28-02-1 | 古着の仕入販売に関する営業を許された未成年者は、成年者と同一の行為能力を有するので、法定代理人の同意を得ないで、自己が居住するために建物を第三者から購入したとしても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができない。 | × |
| 7 | H26-09-3 | 未成年後見人は、自ら後見する未成年者について、後見開始の審判を請求することはできない。 | × |
| 8 | H26-09-4 | 成年後見人は家庭裁判所が選任する者であるが、未成年後見人は必ずしも家庭裁判所が選任する者とは限らない。 | ◯ |
| 9 | H25-02-2 | 営業を許可された未成年者が、その営業のための商品を仕入れる売買契約を有効に締結するには、父母双方がいる場合、父母のどちらか一方の同意が必要である。 | × |
| 10 | H22-01-1 | 土地を売却すると、土地の管理義務を免れることになるので、未成年者が土地を売却するに当たっては、その法定代理人の同意は必要ない。 | × |
| 11 | H20-01-2 | 未成年者は、営業を許されているときであっても、その営業に関するか否かにかかわらず、その法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、取り消すことができる。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りではない。 | × |
| 12 | H17-01-4 | 自己所有の土地を売却するAの売買契約の相手方Bが未成年者であり、法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得ている場合、Bは未成年者であることを理由に当該売買契約を取り消すことができる。 | × |
| 13 | H14-02-3 | 未成年者であっても、成年者を代理人とすれば、法定代理人の同意を得ることなく、土地の売買契約を締結することができ、この契約を取り消すことはできない。 | × |
| 14 | H11-01-1 | 満18歳に達した者は、成年とされる。 | ◯ |
| 15 | H01-03-2 | A所有の土地が、AからB、BからCへと売り渡され、移転登記も完了している。Aは、Bに土地を売ったとき未成年者で、かつ、法定代理人の同意を得ていなかったので、その売買契約を取り消した場合、そのことを善意のCに対し対抗することができない。 | × |
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