【宅建過去問】(令和02年12月問08)相続(組合せ問題)
1億2,000万円の財産を有するAが死亡した場合の法定相続分についての次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものの組み合わせはどれか。
- ア Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
- イ Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3,000万円、Dが6,000万円である。
- ウ Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。
- エ Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3,000万円、Gが6,000万円である。
- ア、ウ
- ア、エ
- イ、ウ
- イ、エ
正解:3
問題の構造
本問は、組合せ問題の体裁になっています。しかし、肢アとイの想定する家系図、肢ウとエの想定する家系図は、それぞれ同じです。以下では、これらをケース①(肢ア・イの家系図)、ケース②(肢ウ・エの家系図)と呼ぶことにします。
■参照項目&類似過去問
内容を見る年-問-肢 | 内容 | 正誤 | |
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1 | R03-09-1 | Aには死亡した夫Bとの間に子Cがおり、Dには離婚した前妻Eとの間に子F及び子Gがいる。Fの親権はEが有し、Gの親権はDが有している。AとDが婚姻した後にDが死亡した場合における法定相続分は、Aが2分の1、Fが4分の1、Gが4分の1である。 | ◯ |
2 | R02s-08-ア | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。 | × |
3 | R02s-08-イ | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの長男の子B及びC、Aの次男の子Dのみが相続人になる場合の法定相続分は、B及びCがそれぞれ3,000万円、Dが6,000万円である。 | ◯ |
4 | R02s-08-ウ | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、それぞれ4,000万円である。 | ◯ |
5 | R02s-08-エ | 1億2,000万円の財産を有するAが死亡した。Aの父方の祖父母E及びF、Aの母方の祖母Gのみが相続人になる場合の法定相続分は、E及びFがそれぞれ3,000万円、Gが6,000万円である。 | × |
6 | 29-06-1 | (Aが死亡し、相続人がBとCの2名であった。)①BがAの配偶者でCがAの子である場合と②BとCがいずれもAの子である場合とでは、Bの法定相続分は①の方が大きい。 | × |
7 | 29-09-全 | 計算問題 | |
8 | 26-10-全 | 計算問題 | |
9 | 25-10-全 | 計算問題 | |
10 | 24-10-1 | 計算問題 | |
11 | 24-10-3 | 計算問題 | |
12 | 16-12-全 | 計算問題 | |
13 | 13-11-全 | 計算問題 | |
14 | 08-10-全 | 計算問題 | |
15 | 02-11-1 | (Aが死亡し、相続人として、妻Bと子C・D・Eがいる。)Cが相続を放棄した場合、DとEの相続分は増えるが、Bの相続分については変わらない。 | ◯ |
16 | 01-11-全 | 計算問題 |
ケース①
Aの長男と次男がもし相続人だったとすると、Aの財産を1/2(6,000万円)ずつ相続したことになります(民法900条4号本文)。しかし、実際には、長男や次男は相続人ではないため、その相続分は、長男や次男の子に代襲相続されます。
長男の相続分は、長男の子であるBとCに代襲相続されます。B、Cの相続分は、それぞれ均等です(同条901条1項、900条4号本文)。つまり、それぞれ3,000万円を代襲相続します。
次男の相続分は、唯一の子であるDがすべて代襲相続します。Dの法定相続分は、6,000万円です。
以上より、肢イが正しく、肢アが誤りであることが分かります(残る選択肢は、肢3or4)。
ケース②
直系尊属が法定相続人となる場合、被相続人から近い世代から順に考えていきます(民法889条1項1号)。
まず、父母の世代ですが、ここには、法定相続人がいません。つぎに、もう一つ上の世代、つまり祖父母の世代を考えます。ここには、E、F、Gの3人が存在するわけです。
この3人の間では、各自の相続分は均等です(同法900条4号本文)。つまり、1/3ずつ相続します。具体的な金額でいうと、E、F、Gの法定相続分は、それぞれ4,000万円ずつです。
以上より、肢ウが正しく、肢エが誤りであることが分かります。
※直系卑属(被相続人の孫やひ孫など)や兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)が相続する場合と違って、直系尊属が法定相続人となるケースについて、代襲相続という考えかたはしません。
まとめ
ケース①については肢イ、ケース②については肢ウが正しい記述です。正解は、これらを組合せた肢3。